表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紀元前0世紀の物語  作者: 熊さん
第1章 直江津王国から始まった
8/63

1-7 出発

出発


出発の行列は、先頭に二頭の馬が米を担いで歩き出した。

その横を、移動するグループの若者が先頭を歩き、ゆっくりと進む。


その後ろには、移住者達が二列、三列と続いた。

首には衣服を詰めた袋をくくりつけ、腰には干し肉や乾燥果物を入れた壺を布で包んで吊るし、それぞれが思い思いの荷を抱えて歩いていく。


中ほどには移動グループの仲間たちが散らばり、移住者の歩みを見守りながら声をかけていた。

最後尾には集落の管理役がつき、遅れる者がいないか確認しながら進む。

総勢五十人ほどの行列である。


春日山の麓から伸びる道を、これほどの人数が列をなして歩く姿は、麓の集落の者たちにとっても初めて見る光景だった。


先頭を歩く移住者たちは、興味津々で移動するグループの若者の背中を見つめていた。

若者は迷いのない足取りで、まっすぐ前を見て進んでいく。


「ねえ、道に迷ったりしないんですか」

一人の移住者が、若者に問いかけた。

「迷わないよ。この道は歩き慣れている。心配はいらない」

若者のあっさりとした返事に、移住者たちはさらに興味を深めたようだった。

歩みが進むにつれ、春の柔らかな風が頬を撫で、胸の中に期待が膨らんでいく。


妙高に着くと短い休息をとり、夕暮れには野尻湖のほとりへたどり着いた。



野尻湖畔では荷物を下ろし、火を焚き、いくつかの輪になって座った。

歩いてきた道のりを振り返り、皆がほっと息をついた。

火の番は交代で行い、夜が更けるとそれぞれ眠りについた。


翌朝、日が昇ると同時に起き出し、草を摘む者、罠を仕掛ける者などが動き始めた。

移動するグループの若者は、彼らが歩くのは専門でない事を理解していた。しかし彼らは、暮らしには貪欲だった。彼らは食事の用意の為に動き出したのである。若者は管理者と耕作労働の住民を、細かく観察することにした。彼は、管理者の動きにも注目していた。特に管理者の振る舞いを気にしていたのである。


日が沈むと再び火を囲み石を置いて石焼きのテーブルが出来上がった。簡単に切り分けられた小動物の肉を岩の上におくとジューッと湯気と同時に肉の焼く香ばしい香りが鼻を突いた。腰の袋から塩を取り出し振りかける。うまそうだ。

彼らは、語らい、そして眠りについた。

そんな日々が続いた。


出発から三日目の夕方、ついに長野盆地へ到着した。

皆は移動するグループに礼を述べ、無事の到着を喜び合った。


四日目の朝、いよいよ新しい生活が始まった。

数人ずつに分かれ、近くの山へ入り木を倒し、地面を掘り、小屋を建てる準備を進めた。

集落の管理役は田んぼに適した場所を示し、土を耕し、水を引くための工夫を始めた。

馬を使って土をならし、最初の田づくりが始まったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ