4-36 最後の攻防
最後の攻防
佐久の巫女は、森の動きが落ち着いたのを感じた。そして、最も重要だと思っていた。春日山の切込み的な穴を使うことを決断する。
春日山には、獣でも落ち込むと出てこれない穴が幾つか空いていた。亀裂のようなその穴を、木の枝や土を被せ、見えにくくし、準備していた。
次は、その穴を使うべきだと巫女は、判断したのだ。
南の国の戦略担当者は、残り50人程度、しかし、武力に勝るとしんじていた。
まず、二組に分け、それぞれ20人余りが、慎重に入りこんだ。
制圧出来ると決め込んでいた。
暫くして、二手に分けられた兵が、それぞれに、ゆっくりと山に入っていった。
巫女は、山の気配で、迫りくる兵が2つ来るのが分かった。
気配に緊張が走ったのだ。
兵がハッキリ二手に分かれ、前進する。
その前に、オヤジや移動するグループが顔を出し、弓で威嚇する。
二手に分かれていた兵たちは、敵が来たぞと、恐れずに敵に向かった。
どんどん迫る、南の国の兵たちは、勢いを増して追いかける。すると、ロープがを伝い、逃げる移動するグループの人間が、その先の罠を飛び越えた。
ガサ、バキバキ
あっという間に、二手に分かれた南の国の兵の姿が消えた。穴に落ちたのである。
南の国の戦略担当者は、残りの人数とともに音がしなくなったのに気が付き、何かをされたと思った。
このままでは、いけないと怒りがこみ上げていた。
佐久の巫女は、更に安堵の空気の中に獣の恐ろしい気配に身体が震えていた。
「若、ここに恐ろしい獣がいますか?」
「はい、います。巫女様には。わかるのですか?」
「ええ、多分亀裂の罠は上手くいきましたが、獣の恐ろしい気配で身体が震えています。」
「巫女様、熊だと思います。」
巫女は、なるほどと思い、その穴の方向に体を向けて、膝を折り、大きく身体を地面に伏せて祈ります。
身体の震えは収まらない。
「熊様、佐久の巫女です。私どもは力で押してくるものに抵抗しております。何卒、お力をお貸しくださいませ」
若と弓使いは、巫女の祈りに合わせて動き出した。
まずは、穴から熊を誘い出し、その後、南の国の兵たちに向けて、弓矢を射て牽制し、熊の来る道に導いた。
南の国の兵たちは、熊の存在を知らなかった。
のそっと動くその動きに、これなら排除できると、刀を使って大きく振りかぶり襲った。2人が、あっという間に、腕で払い飛ばされた。そして、今度は次々に襲われてしまう。
あっけない争いであったが、戦略担当者も含め全員を倒すことに成功するのであった。
熊は、何もなかったように穴に戻っていった。
巫女は山の気配が静かに戻り、小鳥の声が聞こえだした。
海風が辺に清々しさを呼んでいた。




