4-22 洪水
洪水
雨が降る。佐久平に雨が降る。
洪水が起きても遠い向こう側の川で起きる。雨の音だけが、続く。
縄文の森の前では、用意してあった木材を組み合わせて、小屋をどんどん組み立てていて、避難民が小屋に入って行った。
オヤジや若、移動するグループたちが見まりながら、小屋づくりも手伝い、準備が進み、避難が完了した。
準備万端で、1日で、全員の小屋が出来上がった。
雨が激しく降り続く。
神殿では巫女が火を焚き、祈りを続けていた。
侍女が、火に付き添い、消えないように見ながら、巫女の横に座っていた。
弓使いは、高い所を選び、遠く川のある方をや近くを流れる川の様子を懸命に見ていた。
雨が振り始めてから、1日目は何事もなかった。しかし、止む気配もない。二日目も同じだったが、三日目に、動きがあった。まず、小屋の方から水が上がってきた。
雨は続いている。音は雨音だけだ。
水が徐々に小屋を潰していく、気がつくと稲も水が一杯になり、穂が水に浸かりそうになっていた。
弓使いが、降りてきて叫ぶ。
「もうダメだ。丸木舟を用意してある。逃げるぞ」
「いや、しかし、お祈りが、、、」
侍女が巫女の手を引っ張り立たせようとする。弓使いは、
「約束だ。婆様に、オレが怒られる。いくぞ。」
神殿は高台だったが、下は水につかっていた。
丸木舟を押して、水面に乗せる。
弓使いは、2人をのせて、水の上を押しながら、船を走らせる。まだ、足のヒザ下まで、水につかっていた。
洪水は、音もなく、小屋を倒し、水笠が増えていった。弓使いの息は荒れていた。
暫くすると、舟が動かなくなって、2人を船から出し、歩いて縄文の森の前まで辿り着いた。
小屋は作ってあった。
若が気が付き、膝を立て、巫女を向かい入れた。
3人を若が導き、お疲れ様といって、テントの中に火をつけた。
辺に雨音以外の音はなかった。




