4-21 雨が降る
雨が降る
若がかけて来た。
「巫女様、出来ました。縄文の森前に移動して、テントを作れます」
巫女は、喜びの声を上げた。
「そうか、良しお手柄だ。」
若は照れ隠しして、答える。
「いや、弓使いが方法を教えて下さいました。あ、麻は洪水が来ると全滅ですよね。早めに切ってしまい、テントの屋根材に使うというのは、如何でしょうか?」
ほう、それは良い案だと、巫女は早速、準備に係ることを指示した。
若は、連れてきた弓使いに相談する。
この割り切りは父譲りか、オヤジの柔軟性を備えていた。
集落に入り、弓使いの意見は、さらに深くなっていた。集落の規模を見て、その大きさに驚いていたが、考えて、別の方法を支持するのであった。
この人数だと、森の手前まで行く必要があるぞと考え、テントの木の枝も森からも取ることを提案してきた。
集落の小屋は100以上あったのだ。
長とも相談して、オヤジと移動するグループ、有志を集め、テントの柱づくりが始まった。
そうこうしている内に日にちが過ぎ、浅間山の頂上付近に、皿のような雲が重なり、雨が降る気配が強くなってきた。
浅間山の婆様の小屋で侍女が話していると、弓使いが来て、
「空気がだいぶんと湿ってきたな」
と、雨の予感を告げた。
苗もかなり成長し青い絨毯が、風に揺れるようになってきている。麻もまだ短いが成長していた。
麻は、長のひと声で集落の皆に協力してもらい、切り落とした。
いよいよ、雨の避難が開始されることになった。
長と先代が、民に宣言する
「雨が来る。時期に洪水で佐久の土地に水があふれることになる。逃げるぞ」
民は、準備段階から話を理解しており、素直に従っていく。オヤジや移動するグループら若が皆をまとめて移動させていく。
オヤジの家族も、母が弟を先導し、乳飲み子を抱えて逃げ出してきた。
そこで、急に異変が起きる。
巫女が、突然、ここに残ると言い出す。
「巫女様、皆と逃げましょうよ」
侍女が説得するが、言うことを聞かない。長や先代は既に避難を開始している。
ほとほと困ってる侍女のところに、弓使いが来た。
婆様が予感していたようだ。
「巫女様、雨が降ったら、水の動きは早いぞ」
「弓使い殿、私は巫女です。神のご加護が、あるバスです」
「そんな、、、仕方ない。タメとなったら、オレの言う事を聞いてくれ」
巫女は、頷く。
仕方がないなと言う感じて、弓使いは、そこに座った。
侍女も巫女の袖から目が離せない。座ったまま、動けなくなっていた。
暫くすると、雨がポツポツと振り始めていた。




