4-20 洪水の予感
洪水の予感
巫女は焦って来ていた。
侍女のチビが浅間山から帰ってきて、報告された。雨が多いぞという言葉だった。
「巫女様、弓使いさんと浅間山の谷に行って、カエルが鳴いていて凄いと思ってたら、弓使いさんが今年は雨が多いぞっていうんです。」
巫女は、悔しそうに呟く。
「弓使いの観察は間違いないな、雨が多い。これは、洪水が起きる。長にも知らせねば、、、」
巫女は侍女に指示し長と先代を呼んだ。
「巫女よ、田植えもようやく終わり、安堵したとこだ。何があった」
父である長がのんびり構えているのに、イラッとしたが落ち着いて、話し始める。
「長、洪水の可能性が高くなってきました。」
「巫女よ、婆様が言ったのか?」
先代が聞いた。
「いえ、弓使い殿の判断です。今年の雨が多いという話です」
長が、婆様に聞いたのかと、判断を怪しんでいると、オヤジがグループの仲間と入って来た。
「失礼します。いま、宜しいでしょうか?」
巫女が、良いタイミングで来たと、促した。
「巫女様のおっしゃる通りに、洪水の懸念がありました。大曲りの大川は渡れたんですが、周囲の者たちが水傘が多いといいます。そして、仲間が上流に行って川を確認すると、大岩が転がるような濁流が見えましたそうで、これは、確かに」
「残念ですが、洪水が起きますね」
母である先代も長に対して、促した。
「長、これは決定かもしれないですね。」
長は判断ができない。
「どうするのだ。」
巫女が答えを用意していた。
「浅間山の縄文の森の前の岩だらけですが高台に避難するのです。いま、若が調べております」
なんと、そこまで考えが進んでいたのか、と頷くしかない長が下を向く。
「巫女よ、よく考えている。賢いぞ。長、巫女の言葉を何としますか」
「そうするしかないな」
巫女の祈りの場所に沈黙がひろがった。
一方、若は岩場で、ウロウロして悩んでいた。そこに弓使いが来た。
「王、弓使い、何しに来た。珍しいな」
「婆様が、田植えのお祝いに狐を持ってけというんでな、ほら、3匹捌いて持ってきた」
「すまんのぉ」
「お前は何をしてる?」
「いや、洪水になったらここら辺に避難しようと考えてな、どうすれば良いか悩んでたのじゃ」
「何だ、簡単だよ」
若は、自分が悩んでるのに簡単とはと感じ、怖い顔をして弓使いを睨んだ。若の顔に構わず、弓使いが説明する。
「木を手の長さよりも長いくらいに切って、3本とか4本とかを束にして、岩場を背にして、屋根をつければテントはできるぞ」
「何、そんなに簡単に?」
「ああ、当たり前だ、いつもの事だよ」
「屋根は、、、洪水なら麻の苗はダメになるよな、それを使うのはどうだ。」
「麻か、いいんじゃないか屋根にするのは簡単だよ」
「簡単って、、、」
「麻は若ければ簡単に束ねられる。何重かにすれば良いよ」
若は、納得して、弓使いと一緒に神殿に向かった。




