4-17 予感
予感
浅間山の婆様の小屋では、静かに時間が過ぎていた。
「おお、弓使いが戻って来るな」
何で分かるんだろう?巫女は婆様の声に返した。
「どうして分かるんですか?」
「弓使いとは長い付き合いだからな、アヤツがガキの頃からの。だから分かる。としか言いようがないのぉ」
と、弓使いが入ってきた。
「薬草は取れたかのぉ」
「ああ」
と、ひと言だけの答えに侍女が焦った。
「婆様、薬草は、はい、このように取って参りました。」
婆様は笑って、
「よいよい、怒ってなんぞないぞ」
婆様が、受け取り、草を石の皿の上にのせ、ゴリゴリと剃って、潰して、鍋に投げ入れた。
「春の恵みを頂こうぞ」
婆様の言葉に、巫女も微笑み、期待するのだった。
鍋が出来上がり、それぞれに器で口て、すすりながら、飲み始めた。
侍女は思わず叫ぶ。
「美味しい。凄い美味しいです」
婆様は笑っていた。
「巫女には話していたが、こらからが本番だ。今年を占おうぞ」
見張りから呼び戻された若は、何が始まったのか分からず、キョトンとしていた。
「巫女よ、今年は変化があるかな?」
「婆様、申し訳ありません。私には、何を言われてるか分かりません」
すると婆様が弓使いに聞いた。
「今年は雪が浅い、雨が多いかも知れない」
「よう、分かつてるのぉ」
巫女が、侍女に聞いた。
「チビ、貴方は何か気が付きましたか?いま、弓使い殿と外にいたのでしょ」
「姫様、あ、巫女様気が付きませんでしたが、弓使いさんが呟いてたかも、、、」
婆様が言った
「秋の気温が高く、雪が浅かったなら、そうよな、雨が多いかもしれぬな」
なんと、途端に日常が崩れるような発言に巫女は驚く。
「本当ですか?」
「山のものは自然の動きに敏感なんじゃ。本当のことじゃ、しっかりと気を向けることじゃ」
巫女は、気持ちが緩んでいたことに気が付き、しっかりせねばと思った。
浅間山の噴煙が薄く立ち登り、風は緩やかだった。
佐久に戻った巫女は、長と話し合う、先代も来ていた。
「長、婆様が今年は雨が酷いと予言なさっていました。如何いたしましょう」
長は、先代を見て、どうしたものかと尋ねる。
「なるほど、理由は聞きましたか?雨はもう少し先でしょう。若、オヤジ殿にしっかりと話し、対応をお願いしてください」
巫女は、母である先代の的確な言葉に自分の不甲斐なさを自覚し、皆に頭を下げた。
すると、長が気遣うように巫女に伝えた。
「巫女様、先代がおる。いまはしっかり学ぶことじゃ」
佐久平に、夕日が沈みかけていた、真っ赤に染まる大地が広がっていた。




