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紀元前0世紀の物語  作者: 熊さん
第3章 弥生の世界
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3-8 巫女の気づき

巫女の気づき


弥生集落の形が、様々になったが、巫女の力を頼るようになっていた。


直江津王国では、縄文巫女の系譜を続けることで、自然の力に神々の系譜を感じていた。大岩、大海原、大木、そして野生の熊やオオカミ人の力が及ばない何者かに、突き動かされてる人々の運命を感じていた。


巫女の言葉は、重たく、皆が話を聞くようになった。


また、川前の集落の集落では、秋の収穫祭を川や山に捧げる奉納が始まっていた。


神殿に捧げ物を献上する形で儀式が進んでいた。

俵に蓄えられた籾。食べられる草や木の実。干された魚の干物など。


そして、儀式の器には、噴火の灰が練り込まれていた。そして、口元は赤い土が使われている。

縄文の知恵を混ぜた形の儀式が、行われていた。

巫女の権威を儀式の力で正当化し、支配の力に加えることで、長が川前の集落や先の集落の支配を固めていた。


秋の収穫の時期に佐久平へ戻って来た佐久の巫女は、思わぬ豊作の様子に戸惑いながらも、集落に到着していた。


神殿前の広場で、集落の皆が、到着した巫女を大喜びで迎えた。


「おお、皇子様がお戻りになった。」

「巫女様のお陰で、例年以上の豊作となりました。本当に、ありがとうございます。」


お礼の言葉かけられ、皆の喜びの姿に驚き、何も言えず、手を挙げて、応えるのみであった。

長が声をかけた。


「巫女よ、ありがとう。昨年の灰が、田んぼにも溢れていて、耕すところから、苦労をしたのだ。しかし、お主の戸隠での祈りが届いたのだろう。思いもかけず、豊作になった、本当に有難いことだ。」


巫女は、自分が戸隠で、感じた自然の力こそ、偉大であったことに気が付き、噴煙を上げている浅間山を見て、大きく、頷くのであった。


「長、私は浅間山の婆様の所に行き、戸隠での始末を伝えなければなりません」

巫女は、豊作の事には何も言えなかった。


「婆様へ報告する」ということで、何とか答えを整えるのであった。


翌日、移動するグループを伴い、巫女は婆様のところへ向かった。


「婆様、戸隠の巫女様のお陰で、様々なことを学びました。」

「おお、顔つきが少し変わったな。大変だったか?」

「いえ、戸隠では、毎日を過ごすので一杯でした。でも、巫女様の言葉に様々に気づきがありました。」

「気づきか、、、平地での巫女の動きは、そなたが、示すしか無いからのう」

「暮らしの中に自然の力を見ることをないがしろにしていたことが分かりました。」

「ほう、自然の力、平地にも沢山あるよな、、、」

帰って来て、思わず、豊作の報を聞いて、巫女は己の力の無さを新たに実感していた。

戸隠の巫女が語った「平地の巫女の力」、それは、自然に対する謙虚な態度や思いこそが、大事にすべきことである。


「婆様、私は、平地の自然を観察し、その動きに謙虚に従う心こそが大事であると思いました」


婆様も、縄文が生きてきた自然に対する謙虚な気持ちは、平地も山も変わらないのだなと、改めて感じていた。


浅間山の噴火が白く、細長く真上に伸びていた。風が止んでいた。


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