表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紀元前0世紀の物語  作者: 熊さん
第3章 弥生の世界
30/63

3-6 戸隠の巫女

戸隠の巫女


戸隠の巫女は、静かに応えた。


「浅間山の婆様はお元気ですか?

移動するグループから、直江津王国の話は聞いていたので、春日山の巫女が、弥生集落を作っていることも承知している。

佐久の集落の巫女とやら、よう参った。浅間山の噴火は、さぞ恐ろしかったろう。この日が来るのを待っておったわい」


戸隠の巫女は、一気に話しだした。その姿に圧倒され、佐久の巫女は、畏まってしまった。

移動するグループが、代わりに答える。


「浅間山の婆様が、佐久の集落は、平地の集落で、森からも遠い、何もかも、形だけで、何も分からなくなってるんじゃないか。と言っていたぞ」

「佐久の巫女ね。平地では、何も掴めまい、春日山でも、大岩を始め、湧泉を使った祈りもあったろうに、、、」

「私はどうすればよいのでしょうか?」

佐久の巫女がやっと声を出した。

戸隠の巫女が、急に優しい顔をして、応えた

「よい、よい、ここでしばらくは暮らせば、つかめるものもあろう。」

「はい、よろしくお願いいたします。巫女様。」


巫女は、構わず、侍女を誘い、声を上げて歌い出した。

すると、侍女たちが、面を被り、ドンドンと足を鳴らし、リズムをとった。戸隠の巫女は、手を広げ天を仰いだ。

佐久の巫女は、何事かと思ったが、静かに見ていた。


こうして、冬が近づく、戸隠の山には、強い海からの風が吹いていた。


佐久の巫女は、見慣れない縄文の暮らしを、1つ1つ、教わりながら実直に過ごすのであった。


やがて、山はすっかり、雪深くなり、すっかり動けなくなった。


佐久の集落では、すっかり冬になると、苗を使った足袋や雨傘など、冬の手仕事をするのであった。

来たる春に備えて、懸命に準備をするのは、不安を押し込もうとしていたのであった。


そして、春が来た。


灰で覆われた田んぼには、いつもより、多くの力が必要であった。しかし、水を入れると、かき混ぜることに余分な力が必要だったのである。皆は、負けるもんかと、頑張るのであった。


戸隠では、佐久の巫女は、日々の生活の忙しさに懸命になって動いていたが、ある晴れた日。戸隠の巫女が外に出て歩こうと誘うのであった。

まず、大岩に花を添え、語る


「大岩は、静かに語りかけるのです。いま、ある事を素直に告げるのが大事です。心の中のありのままを告げるのです。すると、答えが返ってきます」

言ってる事は理解できる。それでもついて歩いていくしかなかった。

戸隠の巫女は、更に山奥の岩陰の向こうに谷があり、その先に小さく動くものを見つけ、佐久の巫女に答えます。


「あれは、熊の子どもが生まれたんですね。彼らは我々の暮らしには関わらない事が大事なんです。静かな力を我らに示してくれます」


戸隠の巫女は、大きな木を抱き、今度はオオカミの話をし、戸隠に隠れた自然のあり様を次々に語って聞かせるのであった。

佐久の巫女は、何度も同じ事を繰り返す、戸隠の巫女の話が、自然に体のなかに入っていくのを感じていた。


暑い夏が、佐久の集落に訪れ、浅間山からの風が強く、緑の穂を揺らしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ