3-6 戸隠への旅路
戸隠への旅路
元々直江津王国の検分役を務めていた移動するグループだったが、代替わりがあり、検分役の息子がそのグループのリーダーであった。
浅間山の婆様は、巫女というよりも、ただ長生きしている婆さんで、100年以上生きている感じであった。
検分役を辞めたあとも、彼らは移動するグループとして、浅間山系や八ヶ岳山系を中心に歩いて暮らしていた。
風の便りで、浅間山を訪ねていて、婆様に言われたのであった。
噴火が収まり、浅間山で婆様に言われた通り、佐久の集落の巫女は、戸隠に向かって歩き出していた。
集落は不安でいっぱいだったが、空は晴れ渡り、秋の山からの風が穏やかに吹いていた。
歩くのは、中々、慣れないもので、短い距離をゆっくりと、休み休み歩いていた。巫女は、移動するグループのリーダーに話しかけた。
「検分役様は、私の母が世話になっていた事を聞いています。皆様が佐久の集落を気にかけていただきありがとうございました。」
「我らは、いまは直江津王国にも寄ることもあるが、そもそも自由なのだ。オヤジに、佐久の集落を気にしていてくれと言われておったからな」
領地の支配は長に任せ、巫女としての様々な儀式に気を取られており、巫女の力が何であるかを考えたことがなかったのである。
「浅間山の婆様は、巫女ではないのですか?」
「ああ、あの婆様は長生きで、巫女の術も知っていたようだけど、とにかく長生きで、物事をよく知ってる。オヤジが検分役として佐久の集落に行った時も、婆様様は婆様だったようだよ」
「巫女の術ですか、、、」
「縄文の自然と話す術さ。戸隠の巫女様は、分かってるから、安心していろ。紹介するよ」
昼飯のあとも順当に進み、千曲川の大きく蛇行している場所にたどり着いた。
「今日はここで休んで、明日には、戸隠に行けるよ」
川岸て焚き火を始め、平たい石を焼き、その上で小動物の肉を捌いて焼き、塩をかけて食べた。
初めての石焼きだったが、巫女は喜んで、食べた。そして疲れていたので直ぐに寝た。
翌朝、川を渡り、山を左に見上げながら、左回りに歩いていくと、戸隠に到着した。
大きな石がドカンと置いてあり、その奥に湧水が溢れる水場があり、その奥に小屋があった。
戸隠の巫女のがいる場所であった。
小屋は幾つか重なるように繋がり何層かに分かれてあった。
入口には、男もいて、草をただいたり、煮炊きしている場所があり、その奥に、巫女の部屋があった。
「巫女様、私は佐久の集落の巫女。春日山の縄文巫女の子孫です」




