3-4 噴火
噴火
縄文の移動するグループは、佐久の集落へ入ると、大きい声で叫んだ。「噴火が起きるぞ」
佐久の集落ては、長らく見なかった移動するグループに不審顔が募ったが、代々引き継いだ長が、
「縄文の者か、、、噴火とは何のことだ。」
浅間山の噴煙を見てはいたが、噴火の意味が分からなかった。
「山の煙が出てるところから、火が噴き上がるんだよ。」
「火が噴き上がるとは、、、どうすればよいのだ」
「灰が振ってくる。覚悟しておけ」
巫女は、信じられないという顔をして、付け加えた。
「お祈りは、捧げています。噴火なんて、起きないですよ」
「浅間山の婆様が言っていた。彼女は、何年もあそこにいて、知ってるのだ。我らは、この集落に恩義があったので、知らせに来たのだ。明日には噴火が起きるぞ」
移動するグループは、昔の記憶のまま、我らに出来ることはないが、と付け足したが、佐久の集落に留まることにしたようだった。
そして、次の日、
ドカンと大きな音を立て、浅間山が噴火した。いままで聞いたことのない大きな音であった。
山から火が噴き上がり、大きな煙がモクモクと吐き出していた。山の頂は赤く染まっていて、空には、黒い雲が広がっていく。
暫くすると風向きがかわり、噴煙が振り注いで来た。噴煙は1週間振り注いだ。
辺りは真っ黒色に染まっていた。
何も出来ない日々が続き、巫女も無ずすべが無かった。巫女の祈りは届いていなかったのだ。観念したように巫女が告げた。
「移動するグループの皆様、すみませんが、婆様に会わせてください。」
移動するグループは、巫女を連れて浅間山に向かった。辺りは灰まみれだあった。
「婆さん、悪い。移動するグループの者だ。」
「ああ、分かったよ。どうだった灰まみれだろう」
「ああ、そうだ。そこで佐久の集落の巫女が話を聞きたいとやってきたのだけど、、、」
「なんだい、我に出来ることはないぞ」
「私は春日山の山奥にいた縄文巫女の子孫で、教えを守って来たものです。」
「むかし、米を食べさせてもらった時に、聞いたわい。しかし形を真似ても祈りにはならない。お主には、山の声が聞こえてなかったんじゃな。山が怒ったんじゃよ。」
と、投げ出すように婆様が告げた。
「巫女として恥ずかしいです。」
「移動するグループが知っておる。戸隠に言って、本物の巫女に教わってくるんじゃ。わしには、いまは、その力がない。」
佐久の集落では、半分の穂がだめになっていて、来年に向けて不安が広がっていた。巫女は、長を伴い、広間に皆を集めると、宣言した。
「私は、戸隠に行って、縄文の巫女に、修行をつけてもらう。移動するグループに案内をお願いする」
長は静かに頷き、巫女の決意をうけとった。
不安の広がる広間を後にして、巫女は移動するグループと出発したのであった。




