2-11 新たな領地の開拓
新たな領地の開拓
今日も春らしい海からの風が吹いた爽やかな日であった。
100人以上の隊列が、検分役の先導で、歩いて春日山を出発した。隊列は若さあふれる力強さで、順調に進んでいった。
妙高を超え、野尻湖湖畔に着いたのは夕方だった。火を囲み暖をえて、一眠りした。ここで一日休憩した後、千曲川へ向かった。そこは、川前の集落の上流で大きく蛇行している場所であった。
夕方についた一行は、一晩休み、次の朝、川を渡り始めるのであった。
川を渡るのは、やはり勇気が必要だったが、検分役や長の励ましを受け若者たちは順調に渡りきった。
少し登った先に、櫓を作り火を焚き、100人全員で囲んだ。ここで、少し米を荷から下ろし、炊いた。米は馬にくくりつけ、鍋とともに運んでいたのであった。
翌朝までは十分な時間が取れた。
そこから、山間を歩いて、小さな平野に出ることになった。
そこでまた、今度は十数人づつ火を囲み、一泊する。
翌日、川を左手に見ながら、上流に向かう。暫く歩くと平野が広がり、小高い丘に到着した。
丘に上がると下に別の川が見える。辺に人影は見えなかった。
検分役が皆に伝える。
「ここが目的の地である。この丘は、神殿を造るとよいと思う。また、下の川沿いに田んぼを耕作し、その外側が皆の小屋にする。作業は、皆の役割に従い進めてほしい。」
長や管理者が田んぼの耕作や水利のための道行を探し、他のものを引き連れた管理者は民を誘導し小屋づくりが始まるのであった。
浅間山や反対の山沿いには縄文のムラが、まだあるはずであった。検分役は、連れてきた移動するグループと手分けして、ここに弥生集落を作ることを知らせるために歩いて行った。
浅間山から噴煙が上がっていた。
浅間山に向かった検分役は半日かけ、山奥に入り、道は知っていたので、ズンズンと山奥に入って行った。山は険しくなったり平坦な道が続いたりして、獣道のようになっていた。すると突き当たりの壁に湧水があふれ出ていて、その横に大きな小屋があった。
「おれは移動するグループの物だ、婆さんいるかい?」
「なんだ、誰か来ると感じていたが、ああ、お前さんかい。」
「久しぶりだ。良かった。まだ婆さんがいて助かったよ」
「なんだい藪から棒に、ここら辺は、人も少なくなって、厳しい冬を越せるものが少なくなったよ。」
「そこで、下の平野に移住して集落を作るものがたちが来たんだ。」
「平野で暮らすのかい?大丈夫なのか?」
「平野で米を使って暮らすんだ。食べ物を作るんだよ」
「へー、そんな事ができるのかい」
信じられないという婆さんに応えるように、袋から米粒を出し、鍋に入れ煮出した。暫くするとグツグツと煮てきて、お椀のような木の皮で作った更に盛り、進めてきた。
「ちょっと、まだ早いかもしれないが米だよ。食ってみな。」
皿に盛られたお粥のような米をすくって口に入れた婆さんは
「何だか簡単に作れるんだね。うん、なかなかの味がするよ」
こうして、浅間山辺の縄文や平野の向こうの縄文にも、平野の弥生集落ができたことを知らせるのであった。




