2-10 佐久平への移住
佐久平への移住
直江津王国の住民の暮らす小屋に若者が集まっていた。
「そろそろ、また移住が決まるかもしれない」
「何でわかるんだよ」
「検分役の親方が、執務室に入ったんだよ」
訳知りの若者の一人が呟くと、管理者が入ってきた。冬場は、この管理者と小屋を一緒にしていた。
「おい、先走るな、苗床は、出来たのか?準備が進まぬと王に面目が立たんぞ。」
この管理者は、まだ若いが住民とのつながりが深く、住民の若者も、管理者の話をよく聞いて、周りの住民から一目置かれていた。
王の執務室に宰相や管理するもの共が王の命令で集まった。検分役も一緒である。王が宣言する。
「新たな移住を進める。今度も100名ほどを考えている。場所は川前の集落から、更に2日、3日かかるらしい。」
宰相が答える
「川前の集落からの要請でしょうか?」
「宰相よ、違う住民たちの声に応えるための移動じゃ。だから川前の集落は、関係ない。」
宰相は、相談されてない事に戸惑い、だか前を向いて静かに頷いた。
「今回も、我の判断である。入れ。」
すると扉が明き、王族の姫の一人が入ってきた。
「ご指図に従い、参りました。」
姫は、お辞儀をして王を見つめた。
「今回の移住には、巫女となるものを決めておく、更に長は、管理者のなかではまだ若いが、彼に決めた」
王の声に、驚いたように、住民と暮らしていた若い管理者が、前に出た。なぜ俺がと悩んでいるし、他の管理者も何故あいつがという視線が、周りの緊張を呼んだ。
「今回の移住は、厳しいと感じている。彼の住民とのつながりを評価したのだ。よろしく頼む」
これ以上は何もいうな。という雰囲気に宰相をはじめみんなが膝まづいた。
王族の姫も、王の権威ある程度に感心し、膝まづいた。長に任命された管理者は、責任の重さに息を呑んだ。
「長に任命したものを中心に100名ほどの住民を集め、出発させる。残りの管理者は宰相が決めよ」
宰相への仕事を残し、安堵するような雰囲気の中、しかし、大きな決定を王が決めることに仕方がない雰囲気が漂うのであった。
長に決められた管理者は、住民のいる小屋に戻り、若者達に声をかける。若者達は、勇んで話を聞き入れ、直ぐ様バラバラになり、移住する仲間を集め出すのであった。
数日の間に、移住する住民が集まり、出発の準備が進んだ。その間に王は、巫女候補の娘と会い、佐久平への移住が落ち着き、神殿が出来上がったら、出発する事や王国の権威を移住の地で広めることを説得させていた。
王族の娘であった巫女候補は、姉がすでに川前の集落に出立していて、いつか自分もと思っていた。彼女も王の言葉に大きく何度も頷いていた。
田植えの為の道具がまとめられ、食料もそれぞれが準備し、荷物もまとめられた。
米の入ってる籠も幾つか用意された。
直江津王国には、海からの春風が吹き爽やかに日が訪れていた。いよいよ、佐久平への移住が始まる




