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紀元前0世紀の物語  作者: 熊さん
第1章 直江津王国から始まった
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1-9 王国の形

王国の形


住民の移住に成功した春日山の麓の弥生集落では、直江津王国としての形を理解して、新たな集落での支配の構造を調えねばならなかった。


王は、早々に支配層の重鎮を呼び出した。

自身の結論を得ていたが、まだ1人では決断を下せないと思っていた。


会議は、王の執務室で行われることになった。いつもなら、支配層の面々から報告を聴くだけの為の部屋であった。


若い王であったが、民のために良かれと思い移住を決めたことが、こんなに大きなことになるとは、、、


王を担ぎ上げていた宰相が、まず発言した。

「王よ、直江津王国とは、何なのだ?移住は成功して、良かったということではないのか?」


「宰相、よく聞いてくれ」

王は、住民の移住を成功させた移動するグループの若者を指して発言を促した。

「検分役、詳細を話せ」


「王よ、かしこまりました」

恭しく、しかし堂々と移動するグループの若者が続けた。

「宰相の他、皆様方、管理の人間と労働者の移動は、無事に終わりました。新たな領地では、小屋づくり、田んぼの耕作等が進められることになります。しかし、これからが大事なことになるのです。お分かりにならないか?」


問いかけられた宰相を含め集落を治める管理者たちは、何を言っているのだという顔になった。宰相が何が始まったのか分からぬ様子で、

「王よ、何が始まるのですか?検分役とは、その若者は移住を先導したもの、、、」


「宰相、彼はこの度、我の命を受けて、新たな集落の検分役としたのだ」

キッパリと答えられ、皆は静まり返った。

検分役が続けた。


「長野盆地の平地では、縄文の住民は長く住むことがなかったが、この度、そこに移住が成功し、我らの新たな領地として開発されることになります。これからは新たな集落が、新たな田んぼと共に出来上がります。米の苗は一緒に持っていきましたから、秋には、多くのお米が収穫されるはずです」


「良かったではないか?不満のあった若者たちは、これで順調に暮らせることになるだろう」

何が大きな問題なのか、宰相には理解できないと大きく首を振るのであった。


「宰相、よくお考え下さい。いままで王族の方々が移動するグループによる扇動で柏崎や長岡、そして新潟に新たな弥生集落が生まれましたが、それらの動きとは今回は決定的に違うのです。いま、長野盆地に出できる新たな弥生集落には、王族の方はいらっしゃらない。移住した住民にとって、王は、今ここにいらっしゃる王様なのです。」


それは、そうだろうと頷く宰相だったが、やはり何となく理解が追いつかないようだ。


「宰相、移住に伴った管理の人間たちに役職をつけて、新たな直江津王国の領地としての管理の話を進めなければなりません。管理の人間は、新たな領地を作る指導者であり、王様のかわりをすることになるのです。」


直江津王国を支配している宰相だったが、検分役の言葉の「王様の代わり」に、という言葉にハッとした。


「何故なら、彼らは今はまだ管理者でしかないのです。新たな領地ですから、秋に収穫した米の一部を直江津王国に対価として支払う事が必要です。それが新たな領地での長の仕事になります」


そうかと頷く宰相。


「王族様方の移動と同じように考えておったが、これは違うな。対価として米を支払う、、、直江津王国の収入だな」


「王族様方の移住は、新たな弥生集落の誕生でしかない。しかし長野盆地に出来た新たな弥生集落は、直江津王国の新しい領地になるのですよ」


今度はメンバー全員が納得したように頷きあった。


「米を支払う。それは支配させていただいてる新たな領地で暮らすための対価となります。管理者は、新領地の《おさ》となるのです」


「なるほど、こりゃ管理の方法から考えないといけないな。どうしたら良いのじゃ」


宰相は、納得したが、やりようが分からないようだった。すると王が答えた。


「新たな領地を《川前の集落》と名付けることにする。また、管理者は、長野盆地の弥生集落の《長》として、わしの代理であるということになる。米は収穫した量の三分の一程度で良い。移動するグループの若者が見分役となり、運搬も賄ってもらうことになる」


「我らだと移動に苦労しそうだから助かるな、、、」

王は、若者から言われたことを懸命に考え、答えを作っていたのである。


検分役は、

「ははー。了解いたしました。謹んでお受けいたします」

と、答えると、皆は、これから何が始まるのか、よく理解していないようだったが、王がキッパリと答えたので、そのまま納得してしまったのである。

王が王らしく、ゆっくりとしかも大きく頷いていた。


こうして直江津王国は、形ができ始め、王の権力という力を持つことになる。宰相も、何となく大事にならないと感じたのか、ゆっくりと頷くのであった。


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