第9話:ネタバレ禁止? じゃあ「大嘘」ついて攻略しまーす
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、レンが神様の罠を逆手にとって反撃します
【場所:深淵のアーカイブ(迷宮エリア)】
【コメント欄】
> 視聴者A: 最低……
> 視聴者B: もう見ないわ
> 視聴者C: 登録解除しました
> 視聴者D: レンとかいう犯罪者
>
スマホの画面は、罵詈雑言で埋め尽くされていた。
レンが口を開くたびに、神エニグマのシステムが介入し、「仲間を罵倒するフェイク映像」が流れるのだ。
視聴者には、レンが突然狂ったようにしか見えていない。
「……」
レンは口を閉ざし、冷ややかな目でコメント欄を見つめていた。
女子高生が泣きそうな声で囁く。
「レンさん……誤解されたままですよ……どうするんですか……」
神エニグマの高笑いが、空間に響く。
『クックック……。どうした? 黙り込みか?』
『弁解してみろ。「俺はやってない」と言ってみろ。それも「真実」である以上、システムは「俺は犯罪者だ」という音声に書き換えるがな!』
完全な詰み。
「真実」が毒になる世界。
レンはふと、足元の瓦礫を蹴った。
そして、ニヤリと笑った。
(……なるほどな。「真実」がNGワードなら……「嘘」ならOKってことか?)
レンは突然、スマホに向かって満面の笑みを浮かべた。
そして、大袈裟な演技口調で喋り始めた。
「みんなー! ごめんねー! 俺、反省しましたー!」
『あ?』
エニグマが眉をひそめる。
「俺、神様のこと誤解してたわ! エニグマ様は最高に慈悲深くて、イケメンで、天才的な神様でーす!」
【システム判定:『嘘』 ⇒ 規制対象外】
【配信映像:そのまま出力】
レンの声が、クリアに視聴者へと届く。
【コメント欄】
> 視聴者E: は? 急に何?
> 視聴者F: 神様ヨイショ? キャラ変?
> 視聴者G: ……なんか喋り方、わざとらしくね?
>
レンは止まらない。
「見てよこの迷宮! 本棚ばっかりで出口がない! いやー、素晴らしい設計だね! 『絶対に出口なんてない』んだろうなー!」
レンは言いながら、不自然なほど大袈裟に、ある一箇所の本棚を指差していた。
「ここも怪しくない! 絶対に怪しくないぞー! 『この本棚の裏』なんて、絶対に調べちゃダメだぞー!」
それは、ダチョウ倶楽部的な「押すなよ! 絶対に押すなよ!」のノリだった。
サラリーマンがハッとして、その本棚を動かしてみる。
ゴゴゴゴ……ッ!
本棚が動き、隠し通路が現れた。
「ああっ!? 偶然隠し通路が見つかったー! すっげー!」
レンは棒読みで叫んだ。
【コメント欄】
> 視聴者H: ん?
> 視聴者I: 「絶対に調べるな」って言って、調べさせた……?
> 視聴者J: これ、「フリ」か?
> 視聴者K: もしかしてレン様、「逆」のことしか言えない縛りプレイ中?
>
賢い視聴者たちが、違和感に気づき始める。
レンはウインク一つせず、ひたすら「嘘(神への媚び)」を並べ立てながら進んでいく。
「うわー、この床のトラップも凄いなー! 『踏んだら死ぬ』なんてこと、あるわけないよなー!」
(と言いながら、石を投げてトラップを作動させ、解除する)
「この神様のポエムも最高! 『漆黒の翼』とかマジでセンスの塊! 決して『厨二病の黒歴史』なんかじゃなーい!」
【システム判定:『嘘』 ⇒ 規制対象外】
エニグマが慌てる。
『き、貴様……! 何をしている!』
『それは「称賛」の言葉だが……中身が馬鹿にしているぞ!?』
「いやいや、褒めてますよ運営さん?」
レンは心の中で舌を出した。
(嘘をついてる間は、フェイク映像に切り替わらない。……なら、『皮肉』と『逆説』で実況すればいいだけだ!)
そして、レンは極めつけの行動に出た。
カメラを自分の顔に近づけ、真顔で言った。
「みんな聞いてくれ。……今の俺の配信、『正常』に見えるよな?」
「俺が仲間を蹴ったり、暴言を吐いたりするなんて、『絶対にありえない』よな?」
これは賭けだった。
事実として、今の配信は「正常」であり、さっきまでの映像は「異常」だった。
つまり、「今の配信は正常だ」と言うことは「真実」になる。
とすれば、システムが反応し、フェイク映像に切り替わるはずだ。
【システム判定:『真実』を検知 ⇒ 規制発動】
ブツンッ。
一瞬、レンの顔がノイズにまみれ、邪悪な顔で「お前ら全員バカだ!」と叫ぶ映像に切り替わった。
そしてまた、笑顔のレンに戻る。
【コメント欄】
> 視聴者L: !!!!
> 視聴者M: 今、一瞬映像が飛んだぞ!?
> 視聴者N: 「正常だ」って言った瞬間に、ノイズが走って「暴言」に切り替わった……
> 視聴者O: 把握した。……今の暴言映像、『運営による捏造』だわ。
>
謎は解けた。
視聴者たちは理解したのだ。
レンが「良いこと(真実)」を言おうとすると、映像がバグって「悪いこと」に変換されるシステムなのだと。
【コメント欄】
> 特定班リーダー: 総員、状況変化!
> 特定班リーダー: レン様は操られている! さっきの暴言は全部フェイクだ!
> 視聴者P: 神様、やり方が汚ねぇぞ!!
> 視聴者Q: レン様を救え! アンチコメント撤回!
>
オセロの石が一気にひっくり返るように、数万件のアンチコメントが、再び「応援」と「神への怒り」に変わっていく。
『な……なぜだ!?』
神エニグマが絶叫する。
『システムは完璧に作動しているはずだ! 真実は隠蔽されているはずなのに、なぜ奴らの心が離れない!?』
レンは、コメント欄の「信頼」が戻ったことを確認し、ニヤリと笑った。
そして、口パクでこう言った。
(声に出すと変換されるからな)
『――バーカ。リスナーとの「絆」舐めんな』
言葉はいらない。
「嘘」と「ノイズ」だけで、レンは真実を伝えきった。
ここからは、誤解の解けた120万人のリスナーと共に、逆襲の「大嘘つきツアー」が始まる。
(第9話・完)
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
「神様ざまぁw」「レンひどすぎる(笑)」と思っていただけたら、
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