第5話:BAN祭り? 運営が「回線切断」とか一番寒いことしやがった
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、神様の罠によって、レンが危機に陥ります。
【場所:最終エリア「審判の謁見室」】
「黒歴史ポエムの公開処刑、お疲れ様でしたーw」
レンたちが重厚な扉をくぐり抜けると、そこは天井が見えないほど巨大なドーム状の空間だった。
床には真っ赤な絨毯が敷かれ、最奥には玉座――そして、そこに座る「影」があった。
『……よくぞここまで来た。クソ忌々しい配信者よ』
玉座に座っていたのは、漆黒のローブを纏った骸骨の魔術師。
いや、その背後に漂う圧倒的な神気からして、これがこの世界の管理者、陰謀神エニグマの「直接介入アバター」であることは明白だった。
「あ、運営さんチッスチッス。やっと顔出しですか?」
レンはドローンを飛ばし、骸骨の顔面をドアップで映した。
「みんなー、こいつがさっきの痛いポエム書いた『漆黒の翼(笑)』さんでーす!」
【コメント欄】
> 視聴者A: 出たwww 漆黒の翼www
> 視聴者B: ラスボス降臨ちゃあ
> 視聴者C: 骸骨とかキャラデザ古くね?
> 視聴者D: はよ倒して打ち上げ行こうぜ
>
いつも通り、コメント欄は舐め腐っている。
サラリーマンや女子高生たちも、レンの後ろで完全にリラックスムードだ。
「レンさんがいれば、このボスも一瞬ですよね?」
「スパチャでミサイルとか降らせるんでしょ?」
しかし。
エニグマは怒らなかった。
むしろ、骸骨の顎をカチカチと鳴らして、不気味に笑った。
『フフフ……。学習したぞ、配信者』
『貴様自身の力は「一般人」に過ぎない。貴様の異常性は、その「スマホ」と、繋がっている「数十万人の人間」にあるとな』
「ん? 何当たり前のこと言ってんの?」
レンは鼻で笑い、いつものようにスマホを掲げた。
「そうだよ。だから勝てないってわかった? みんな、こいつにトドメの『爆撃スパチャ』頼むわ!」
『……果たして、届くかな?』
エニグマが指(骨)を鳴らした。
ブゥン……。
重低音と共に、空間全体が紫色のノイズに包まれた。
「……あ?」
レンは違和感を覚えた。
いつもなら即座に鳴り響く「チャリーン♪」という軽快な通知音が聞こえない。
スマホの画面を見る。
コメント欄の流れが、ピタリと止まっていた。
【コメント欄】
> 視聴者X: あれ?
> 視聴者Y: 画面固まった?
> 視聴者Z: くるくるしてる
> ……接続中……
>
「え、ラグい? 回線落ち?」
レンがスマホを振る。
画面左上のアンテナピクトが、みるみるうちに「圏外」へと変わっていく。
『ここはこの世界の最深部。私が直接、空間座標を書き換えた』
エニグマの声が、勝ち誇ったように響き渡る。
『地球との通信経路を、物理的に遮断させてもらったぞ』
「は……? 通信遮断……?」
レンの顔から、余裕の笑みが消えた。
『貴様の武器は「情報」と「支援」だろう? ならば、孤立無援のこの場所で、ただの無力な人間に何ができる?』
プツン。
ついに、スマホの画面に無慈悲なメッセージが表示された。
【 NO SIGNAL 】
【 サーバーとの接続が切れました 】
ドローンカメラが、動力を失ったようにポトリと地面に落ちた。
配信終了。
数十万人の味方が、一瞬にして消え失せた。
「う、嘘でしょ……?」
女子高生が後ずさりする。
「配信が……止まった……?」
今まで「レン様」が無敵だったのは、向こう側にいる神様たちがいたからだ。
それがなくなった今、ここにいるのは、ただの派手な服を着た兄ちゃんと、非力な一般人たちだけ。
目の前には、激怒した本物の神。
『さあ、配信は終わりだ』
エニグマが立ち上がり、巨大な鎌を振り上げた。
その影が、レンたちを飲み込むように伸びていく。
『ここからは、録画もログも残らない……誰にも知られぬ、一方的な「処刑」の時間だ』
レンは、ブラックアウトしたスマホの黒い画面を見つめ、立ち尽くしていた。
彼の顔から表情が見えない。
絶体絶命。
その時、レンが小さく呟いた。
「……おい、運営」
『命乞いか? もう遅い』
「違うよ」
レンが顔を上げた。
その瞳は、絶望するどころか、今まで以上にギラギラと狂気的に輝いていた。
「お前、やっちまったな」
「配信者にとって、一番やっちゃいけない『タブー』を踏んだぞ」
『……何?』
「放送事故だよ。……しかも、最高に『撮れ高』があるやつだ」
レンは映らないスマホをポケットにねじ込み、素手で構えた。
「回線が切れた時の俺は……放送中よりもうるせぇぞ?」
(第5話・完 ―― 続く)
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「神様やっちまったなあw」「レンガンバレ(笑)」と思っていただけたら、
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