第19話:120万件の「通報」により、神様のアカウントが凍結されました
いつも読んでいただきありがとうございます。
とうとう決着、かもです。
【場所:深淵の最奥部(全世界配信中)】
『き、貴様ら……! 人間風情が、神の領域に土足で……!』
神エニグマが咆哮する。
しかし、その姿はすでに「神秘的な影」ではない。
地球神によって強引にこじ開けられた空の裂け目から、眩いばかりの「Wi-Fiの光(通信波)」が降り注ぎ、エニグマの醜い本体を照らし出していた。
レンは、泥の中から復活したスマホを掲げ、ニヤリと笑った。
「ようこそ、俺のステージへ!」
「聞こえてるか地球の神様! 回線維持(サーバー管理)頼むぜ!」
空の裂け目から、地球神の悲痛な声が響く。
『わかってる! わかってるから! だから私の住所を拡散するのはやめろぉぉぉッ!!』
『この「通信帯域」は特別製だ! 1億人が同時接続しても落ちんぞ! さっさとその汚れ物を処理しろ!』
「了解。……聞いたか? エニグマ」
レンはカメラをエニグマに向けた。
【同接:500万人突破】
【世界トレンド1位:#陰湿神をボコせ】
視聴者の数は、騒ぎを聞きつけた野次馬も加わり、幾何級数的に膨れ上がっていた。
『おのれ……おのれぇぇぇッ!!』
エニグマが逆上し、無数の触手をレンたちに伸ばす。
『配信など関係ない! ここで全員、物理的に潰してしまえば……!』
「甘いよ」
レンは指一本動かさず、ただ画面に向かって叫んだ。
「みんな! 目の前の『不快なコンテンツ』をどうする?」
「スパム報告だ! 『有害なコンテンツ』として一斉に通報しろ!!」
その瞬間。
【システム通知:ユーザーからの報告を受信しました】
【報告内容:暴力、テロ行為、不快な映像、神にあるまじき言動】
【件数:120万件……300万件……500万件……】
バヂヂヂヂヂッ!!
エニグマの触手が、レンに届く直前で「見えない壁」に弾かれた。
『な、なんだ!? 私の攻撃が……届かない!?』
『あー、はいはい。報告確認しましたー』
空から、地球神の事務的な声(棒読み)が降ってくる。
『多数のユーザーから「有害判定」が出たため、対象オブジェクト(エニグマ)の行動を制限しまーす』
『なっ……!? 地球の神、貴様ァァァッ!!』
これぞ、神々のコラボ技。
リスナーが「通報」し、管理神が即座に「受理」する。
このコンボが決まれば、いかなる神もその権限を剥奪される。
レンは笑った。
「見たか。これが現代の『自浄作用』だ」
「お前はもう神じゃない。ただの『削除対象のゴミデータ』だ!」
『ふざけるな! 私はこの世界の創造主だぞ!』
『私の世界で、私がルールだ! 貴様らの「規約」など知ったことかァァァッ!!』
エニグマは最後のあがきを見せる。
泥の体を膨張させ、世界そのものを飲み込み、自爆覚悟でレンたちを道連れにしようとしたのだ。
『消えろ! 私と共に、虚無へ還れぇぇぇッ!!』
迫りくる泥の津波。
サラリーマンと女子高生が抱き合って震える。
だが、レンはスマホの画面をタップした。
「最後の仕上げだ」
「みんな、貯まってたスパチャ(投げ銭)……ここで全部吐き出せ!!」
「その金で、最高に派手な『退場エフェクト』を買ってやるよ!」
ドチャリーン♪ ドチャリーン♪ ドチャリーン♪
【¥10,000】【¥50,000】【¥100,000】……
画面が見えなくなるほどの虹色のスパチャの嵐。
その総額は、一瞬で「数億円」規模に達した。
レンはその莫大なエネルギーを、右手に収束させる。
地球神の改造スマホが、熱を帯びて唸りを上げる。
「喰らえ! 120万人の財布から絞り出した……」
「究極課金奥義ォォォッ!!!!」
レンがスマホをかざすと、画面から極太のレーザービームが発射された。
それはただの光ではない。
視聴者たちの「金」と「情熱」と「悪ノリ」が物理エネルギーに変換された、資本主義の暴力そのものだ。
ズドォォォォォォォォン!!!!
『グアアアアアアアアアアアッ!?』
『私の泥が! 闇が! 資本の光に焼かれるゥゥゥッ!?』
エニグマの巨大な体が、金色の光に飲み込まれて蒸発していく。
陰湿な闇も、謎も、全てがお金の力(物理)で消し飛ばされていく。
『認めん……! 神が……人間に……配信ごときにぃぃぃぃッ……!!』
断末魔と共に、陰謀の神は光の中に消えた。
【TARGET DELETED】
【アカウントは凍結されました】
光が収まると、そこには青空(地球神が適当に貼ったフリー素材の空)が広がっていた。
レンは、黒焦げになりかけたスマホにキスをした。
「……お疲れ。いい画、撮れたな」
コメント欄は、「GG(Good Game)」「神回」「スパチャ返してw」という文字で埋め尽くされていた。
(第19話・完)
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
「神様ざまぁw」「レンひどすぎる(笑)」と思っていただけたら、
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