第16話:お前、設定忘れてね? 「脳筋」になった神様なんて推せません
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今回は、レンのハッタリ(大嘘)がモノを言いますよ。
【場所:深淵の最奥部】
ズブッ……。
腹を貫かれたレンの体から、大量の血が泥の中に流れ出していく。
「う……あ……」
『さあ、死ね。塵になれ』
神エニグマが触手に力を込める。
これで終わりだ。この生意気な配信者を消滅させれば、私の世界に平和(静寂)が戻る。
だがその時。
瀕死のレンが、ゴボッ……と血を吐きながら、笑った。
「クク……ッ。ハハ……ッ」
『……何がおかしい?』
エニグマの手が止まる。
『恐怖で発狂したか?』
「いや……。あーあ、『ガッカリ』だなって思ってよ」
レンは虚ろな目で、見下ろす神を睨みつけた。
「なぁ、運営さんよ。……お前の『設定』、何だっけ?」
『……何?』
「お前、『陰謀と謎の神』だろ? 人間を攫ったのは、デスゲームさせて、疑心暗鬼にさせて、その『ドロドロした感情』を食うためじゃなかったのか?」
レンの言葉に、エニグマがピクリと反応する。
「今の自分を見てみろよ。……スマホ壊して、暴力で殴って、物理で殺す? ハッ、ただの『三流モンスター』じゃねぇか」
「謎もねぇ。美学もねぇ。……そんな『脳筋プレイ』で、お前の腹は膨れるのかよ?」
『……ッ!』
図星だった。
エニグマは、レンを倒すことに執着するあまり、本来の目的である「知的遊戯」を放棄していた。
今の状況は、ただの「虐殺」。
そこには、彼が愛する「洗練された絶望」など微塵もない。
『黙れ……! 貴様が……貴様が私の世界を荒らすからだ!』
エニグマが叫ぶが、その声には動揺が混じっていた。
「言い訳ダサいぞ、神様」
レンは煽る。
「結局、お前は俺(配信者)に負けたんだよ。『エンタメ』で勝てないから、盤外戦術の暴力に逃げた。……敗北者はお前だ」
『貴様ァァァッ!!』
エニグマが激昂し、触手を振り上げる。
プライドの高い彼にとって、「美学のない勝利」など屈辱でしかない。
しかし、トドメを刺そうとしたその瞬間、レンが囁いた。
「……殺せばいいさ。でも、殺したらお前は『一生後悔する』ぜ」
『何だと?』
「俺はな……『とっておきの謎』を、まだ一つだけ隠し持ってるんだ」
レンはニヤリと笑った。
「スマホは壊れた。配信も終わった。……でもな、『俺自身』が最後の謎だ」
「俺がこの世界に来てから、ある『仕掛け』をしておいた。……俺を殺せば、お前はその答えを永遠に知ることはできない」
『……ハッ、ブラフ(はったり)だ』
エニグマは冷笑した。
『貴様の身体検査もした。スマホも破壊した。これ以上、何を隠せるというのだ?』
「だからこそ『謎』なんだろ? ……『陰謀の神』なら、見抜いてみろよ」
レンの瞳は、死にかけているとは思えないほど、強く、挑発的に輝いていた。
それは、エニグマの本能――「謎を解き明かしたい」という欲求を強烈に刺激した。
(コイツは嘘つきだ。だが……もし本当に何か仕掛けていたら?)
(私が気づかないほどの「何か」を? 私の世界で?)
(それを知らずに殺してしまったら……私は「謎」に負けたことになるのではないか?)
神エニグマの触手が震え、レンの喉元寸前で止まった。
殺したい。でも、知りたい。
「好奇心」という名の呪いが、神の動きを縛る。
「……へへっ。やっぱりな」
レンは確信した。
この神は、ミステリーオタクだ。「未解決事件」を残したままエンディングを迎えることなど、生理的に不可能なのだ。
『……いいだろう』
エニグマは触手を下ろし、レンを泥の上に乱暴に放り出した。
『その挑発、乗ってやる。……暴力で殺すのは、貴様の言う通り「無粋」だ』
『貴様の言う「最後の謎」とやらを暴き、完全に論破した上で……絶望の淵に突き落としてから殺してやる!』
レンは激痛に耐えながら、心の中でガッツポーズをした。
(ちょろいぜ、オタク神様……)
(首の皮一枚……繋がったな)
だが、状況は依然として絶望的だ。
スマホはない。体はボロボロ。
そして、レンが口にした「最後の謎」など――実は存在しない(大嘘)。
ここから、レンはどうやってこの「存在しない謎」で神を騙し切るのか?
命を懸けた、最後の口八丁が幕を開ける。
(第16話・完)
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