第15話:神様の「降参」? 残念、それも「演出(スクリプト)」でした
いつも読んでいただきありがとうございます。
ついにレンが絶体絶命の危機に追い込まれます。
【場所:深淵の最奥部(爆心地)】
チュドォォォォォン!!!!
凄まじい爆風が吹き荒れ、黒い泥が四方八方に飛び散った。
レンは爆風で壁まで吹き飛ばされ、激しく咳き込んだ。
「ゲホッ……ゲホッ……! はぁ……はぁ……」
煙が晴れていく。
そこに広がっていたのは、無惨な光景だった。
『ぐ……あ……あああ……』
神エニグマの巨大な不定形の体が、半分以上消し飛んでいた。
核となっていた無数の目玉も潰れ、再生する力もなく、ドロドロと床に崩れ落ちている。
『ば、馬鹿な……。たかが人間風情の……道具ごときに……』
『私の……核が……砕かれた……』
エニグマの声は弱々しく、今にも消え入りそうだった。
拘束していた泥の力も弱まり、レンやサラリーマンたちの拘束が解けた。
「か、勝った……のか……?」
サラリーマンが震える足で立ち上がる。
レンは、黒焦げになったスマホの残骸――もはやただの煤になった粉末――を見つめ、痛みに顔を歪めながらも笑った。
「ハハッ……。ざまぁみろ……。地球のバッテリー技術を……舐めんなよ……」
『……負けた。私の敗北だ』
エニグマが、残った目玉を伏せた。
『見事だ、配信者よ。……貴様らの勝ちだ。約束しよう、元の世界へ帰してやる……』
『だから……頼む。トドメだけは……』
神が、命乞いをした。
あの傲慢で陰湿だった神が、プライドをかなぐり捨てて慈悲を乞うている。
それは、レンが「完全勝利」を確信するには十分すぎる光景だった。
「……チッ。殺してやりてぇところだが……」
レンは肩で息をしながら、壁に寄りかかった。
「俺も……もう限界だ。スマホも失っちまったしな……」
レンは大きく息を吐き、全身の力を抜いた。
極限の緊張の糸が切れたのだ。
「鈴木さん、サヤカちゃん……終わったよ。帰れるぞ……」
「レンさん! ありがとうございます!」
二人が泣きながらレンに駆け寄ろうとする。
その瞬間。
『――今、「スマホを失った」と言ったな?』
ズリュゥッ!!
「……え?」
レンが顔を上げた瞬間、彼の腹部を鋭利な「黒い棘」が貫通していた。
「が……はッ……?」
目の前で瀕死だったはずのエニグマの体が、ビデオの逆再生のように一瞬で膨れ上がり、元の禍々しい姿に戻っていた。
傷一つない。ダメージなど最初からなかったかのように。
『クックック……。アーッハッハッハッハ!!』
哄笑が響き渡る。
『かかったな、愚か者め!』
「て、めぇ……! 演技……か……!」
レンが口から血を流す。
『当たり前だ。あの程度の爆発で私が死ぬわけなかろう?』
エニグマは、レンを串刺しにしたまま持ち上げた。
『だが、警戒はしていたのだ。……あの「スマホ」以外の隠し玉(切り札)を、貴様がまだ持っている可能性をな』
『だから死んだフリをして、貴様が「武装解除」して油断するのを待っていたのだよ』
エニグマの目が、嗜虐的に歪む。
『そして貴様は自白した。「スマホも失った」「もう限界だ」と。……つまり、今の貴様はただの「無力な肉塊」ということだ!』
「う……あ……ぐぅ……!」
『配信者よ、これが「情報戦」だ』
『相手を信じ込ませ、安心させ、希望を見せた瞬間に……地獄へ突き落とす! 貴様が散々やってきたことだろう?』
レンは手足をだらりと垂らした。
スマホはない。体力もない。仲間を守る力もない。
そして腹には致命傷。
サラリーマンと女子高生が絶望の悲鳴を上げる。
「いやああああ! レンさんが死んじゃう!」
「神様! もうやめてくれぇぇぇ!」
『やめんよ。ここからが「教育」の時間だ』
エニグマはレンを放り捨て、泥の中に沈めた。
『さあ、今度こそ終わりだ。……スマホ(武器)も、電波(希望)も、命(余裕)も失った貴様に、どんなエンターテインメントが見せられるかな?』
神の卑劣な罠により、レンは全てのカードを失った。
これぞ正真正銘のチェックメイト(詰み)。
泥の中で薄れゆく意識の中、レンの手が空を掴むが……そこにはもう、何もなかった。
(第15話・完)
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「神様卑劣!」「レン死なないで!」と思っていただけたら、
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