第14話:気絶なんて許さない。目を開けて「詰み(エンド)」を見ろ
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、地球の神様から貰ったアレがアレします。
【場所:深淵の最奥部(エニグマの体内空間)】
バシャッ!!
「がはっ……!?」
レンは、冷たく異臭を放つ泥を顔面に浴びせられ、強制的に意識を引き戻された。
『起きろ、配信者』
『寝ている場合ではないぞ。……絶望は、目を見開いて味わうものだ』
目の前には、不定形の影から無数の目玉を覗かせる神エニグマ。
レンは全身を黒い泥に拘束され、指一本動かせない状態で吊り下げられていた。
「ハァ……ハァ……。わざわざ……モーニングコールかよ……」
レンは激痛に顔を歪めるが、エニグマは冷徹だった。
『減らず口を。……だが、私はもう油断せんぞ』
エニグマの体(泥)の一部が盛り上がり、飲み込んだはずのレンのスマホを吐き出した。
ただし、返してくれたわけではない。
触手でスマホを空中に固定し、レンに見せつけるためだ。
『貴様の「武器」の確認だ』
エニグマの目が怪しく光る。
『内部スキャン完了。……バッテリー接続遮断。回路基板への泥の侵入を確認。アンテナ機能の完全破壊』
エニグマは、念には念を入れて、スマホを物理的にもシステム的にも「死んだ状態」であることを確認していた。
これなら、カケルからのツールも、120万人の声援も、絶対に届かない。
『さらに、この空間は外界から隔離された「亜空間」だ』
『ここには電波はおろか、概念的な「救い」すら入ってこられない』
完璧な包囲網。
徹底的なリスク管理。
これこそが「陰謀の神」の本領発揮だ。
「……随分と、慎重じゃねぇか……」
レンが苦笑いする。
『当たり前だ。貴様らはゴキブリのように、少しの隙間があれば入り込んでくる』
『だから、全ての穴を塞いだ。……さあ、見ろ』
エニグマが触手を振るうと、横で吊るされていたサラリーマンと女子高生が悲鳴を上げた。
「痛い! 痛いよぉ!」
「助けてレンさん……!」
泥が彼らの皮膚をゆっくりと浸食し、同化しようとしている。
『彼らは私の「養分」となる。貴様もだ』
『配信も、ログも、記憶も残らない。誰にも知られず、ただ泥の中で溶けていく恐怖……』
『どうだ? 悔しいか? 助けを呼びたいか? だが、スマホはそこにあるのに、指一本届かないぞ?』
目の前にあるのに、使えない。
希望が見えているのに、届かない。
これぞ最高級の「精神的拷問」だ。
レンは、泥にまみれたスマホを見つめた。
画面は割れ、泥が詰まり、完全に沈黙している。
どう見てもただのガラクタだ。
「……」
レンの瞳から、光が消えていくように見えた。
抵抗する気力すら、奪われてしまったのか。
『フフフ……そうだ。その顔だ』
エニグマが満足げに歪む。
『意識を保ったまま、自分が無力であることを噛み締めろ。その絶望の味こそが、私にとっての「高評価」なのだからな!』
神エニグマは勝利を確信していた。
武器は破壊した。
精神は折った。
退路は断った。
だが。
「……なぁ、神様」
うつむいていたレンが、ボソリと呟いた。
『何だ? 命乞いなら聞かんぞ』
「お前さ……。スマホの『中身』は確認したけど……」
レンがゆっくりと顔を上げた。
その口元には、絶望ではなく、狂気的な「嘲笑」が張り付いていた。
「『スマホそのもの(ハードウェア)』が、何でできてるかは……確認したか?」
『……あ?』
エニグマがいぶかしむ。
『何を言っている? ただの金属とガラスの塊だろう』
「地球の神様がくれた、最新機種だぞ?」
「ただのスマホなわけ……ねぇだろ」
レンが叫んだ。
「爆ぜろッ!!!!」
その瞬間。
エニグマの触手が掴んでいた「沈黙したスマホ」が
――
カッ!!!!!!
内側から、太陽のような閃光と、超高熱を放ち始めた。
【過負荷:バッテリー強制熱暴走】
【自爆モード:承認】
『なっ……!? き、貴様……まさか……ッ!?』
エニグマが気づいた時には、もう遅かった。
慎重になりすぎて、わざわざ「手元(触手)」で確認してしまったことが仇となった。
神の懐深くで、地球のテクノロジー(爆弾)が火を噴く。
チュドォォォォォン!!!!
(第14話・完)
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