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『その配信、ネタバレ注意につき。 ~陰湿な神様が、現代の「特定班」と「拡散力」にボコボコにされて泣いてます~』  作者: さらん


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12/21

第12話:サーバーダウン? それは「リミッター」が外れただけですが

いつも読んでいただきありがとうございます。

今回は、神様が少しずつ本気になっていきます。


【場所:崩壊した深淵のアーカイブ ⇒ ???】

【SYSTEM ERROR】


モニターが爆発し、天秤が砕け散る。

レンと視聴者たちの「21億票」という暴力的なスパムによって、神の用意した処刑システムは完全に崩壊した。


「はぁ……はぁ……。勝った……」


サラリーマンがへたり込む。

レンも、煙を上げるスマホを振りながら、勝ち誇った笑みを浮かべた。


「へっ。神様と言っても、所詮は『システム』か。計算量で殴れば壊れるポンコツだな」


レンはカメラに向かってVサインを作ろうとした。


「みんな、お疲れ! ラスボス撃破のスクショタイムだ――」


ズズズズズズズズ……ッ。

その時。

崩壊したはずの空間から、「黒い泥」のようなものが溢れ出し、レンの足元を濡らした。


「……あ?」


レンが足元を見る。

デジタルなノイズではない。もっと生々しく、粘着質で、悪臭を放つ「泥」だ。


『……勘違いするなよ、人間』


地の底から響くような、重低音。

黒煙の中から、ボロボロになった骸骨のアバターが立ち上がる――いや、溶けていく。


『貴様らが壊したのは、あくまで私が用意した「ゲームのユーザー・インターフェース(UI)」に過ぎない』

『人間にも分かりやすいように、わざわざ「投票システム」だの「天秤」だの「モニター」だのを作ってやっていたのだぞ?』


骸骨の仮面が剥がれ落ちる。

その下から現れたのは、骨でも肉でもない。

無数の「目玉」と「口」が蠢く、不定形の影――神エニグマの「本体(真の姿)」だった。


『それを壊して喜ぶとは……。これだから浅はかな現代人は困る』

「なっ……!?」


レンが後ずさりする。

スマホのカメラを向けるが、画面にはノイズが走り、エニグマの姿が映らない。

高画質4Kカメラでも捉えきれない、高次元の存在。


『UIが壊れたのなら、仕方がない』


エニグマの無数の口が、一斉に嘲笑う。


『ここからは「アナログ」でやろう』

『投票も、コメントも、画像認証も関係ない。……ただの「質量」と「暴力」の時間だ』


ドチャッ!!


「うわああああッ!?」


サラリーマンと女子高生が、床から伸びた黒い泥に足を掴まれ、宙吊りにされた。


「いやだ! 放して!」

「おい神! 何してんだ!」


レンが叫ぶ。


『配信者よ。貴様は「ネットの力」で戦ったな』


エニグマの巨大な手が、レンの目の前に迫る。


『だが、ネットが通じない「物理的な距離」で……貴様自身に何ができる?』


バキィッ!!


「がはっ!?」


レンの体が吹き飛ばされ、石壁に激突する。

HPバーも、ダメージ表記も出ない。ただのリアルな激痛。

スマホが手から離れ、床を滑っていく。


「あ……俺の、スマホ……!」

『おっと』


エニグマの触手が、床のスマホを拾い上げた。


『これが貴様の「命」だな?』


エニグマはスマホを、ねっとりとした黒い泥で包み込んだ。

破壊はしない。

ただ、カメラレンズとマイクを塞ぎ、「何も映らない、何も聞こえない」状態にしたのだ。


【配信画面の状態:真っ暗闇】

【音声:ゴボボボ……(泥の音のみ)】

【コメント欄】

> 視聴者A: おい! 何も聞こえねえぞ!

> 視聴者B: 画面真っ暗だ!

> 視聴者C: レンさん!? 生きてる!?

> 視聴者D: バグか!? いや、スマホが埋められた!?

>


120万人の視聴者は、突然の暗闇に取り残された。

レンの声も届かない。

ただ、どこかで誰かが悲鳴を上げている微かな音だけが、ノイズ混じりに響いてくる。


『さあ、絶望しろ』


エニグマが、生身のレンを見下ろす。


『視聴者は「何も見えない」。貴様は「助けを呼べない」。そしてここには、便利なツールも攻略サイトもない』


レンは血の混じった唾を吐き捨て、震える足で立ち上がった。


「はっ……。RTA野郎より……タフじゃねぇか……」

『当たり前だ。私は「粘着質」で有名でな』


エニグマが笑う。


『簡単には終わらせんぞ。……貴様が泣いて詫びるまで、この泥の中で永遠に「放送事故」を続けようじゃないか』


RTA(速さ)では攻略できない、泥沼の耐久配信。

神様はまだ、本気を出したばかりだった。

(第12話・完)


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


「神様怖い」「レン可哀想」と思っていただけたら、

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