第11話:サーバー防衛戦! 貴様らの「複垢投票」は全てBANだ!
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、神様が必死に考えた「参加型イベント」をレンがカケルの力を借りて打ち破ります
【場所:深淵のアーカイブ(迷宮エリア)】
【緊急アンケート進行中】
A(女子高生救済):49%
B(サラリーマン救済):49%
残り時間:30秒
『フハハハ! 拮抗しているな!』
神エニグマが勝ち誇る。
『人間とは醜い! 「若い女」と「家族持ちの男」、どちらの命が重いかなど決められるわけがない!』
『このまま50%に届かず、時間切れで両断されるがいい!』
投票率は綺麗に割れていた。
視聴者たちは迷い、手が止まっている。
このままでは「優柔不断」という罪で、二人の命が失われる。
だが、レンは不敵に笑っていた。
「おい神。……お前、ネットの『組織票』を舐めすぎだ」
レンはスマホに向かって叫んだ。
「みんな! 迷う必要なんてねえ!」
「今から『1人100回』投票しろ!!」
『は?』
エニグマが耳を疑う。
『馬鹿か貴様? システムは「1人1票」だ。IPアドレスで厳重に管理されている! 重複投票など……』
「それを突破するのが『スパム(数)』だろーが!」
レンが合図を送ると、コメント欄の流れが変わった。
【コメント欄】
> 特定班(技術部): スクリプト装填完了!
> 視聴者A: 複垢10個用意した! 全垢で「両方」に入れる!
> 視聴者B: VPNで海外経由! IP偽装して連打ァ!
> 視聴者C: ツール起動! 秒間100投票いくぞオラァッ!!
>
ダダダダダダダダダダッ!!!!!
猛烈な勢いで数字が回転し始めた。
『な、なんだ!? 投票数が……異常な速度で増えている!?』
エニグマがモニターを見る。
120万人の視聴者だったはずが、投票総数が「1000万票」を超え、さらに「1億票」へと膨れ上がっていく。
A:救済(5000万票)
B:救済(5000万票)
「比率で勝負するんじゃねぇ!」
レンが叫ぶ。
「票数でねじ伏せろ! サーバーがパンクするまで票を詰め込め!」
『お、おのれぇぇぇッ!! 不正だ! これは明らかな不正投票だ!』
エニグマが慌ててコンソールを操作する。
『サーバー管理者権限発動! 海外IPを遮断! 同一端末からのアクセスを弾け!』
バシュッ! バシュッ!
不正な票が次々と削除されていく。
さすがは神様、サーバー管理能力は高い。
『無駄だ! 私の処理能力は無限! 貴様らのスパムなど、全てゴミ箱行きだ!』
「ちっ、やるな神様!」
レンが舌打ちする。
『さらにセキュリティ強化! 「画像認証」を導入する!』
突如、視聴者たちの画面に、あの「鬱陶しい画像選択」が表示された。
【私はロボットではありません】
【信号機の画像を全て選んでください】
【コメント欄】
> 視聴者D: うわあああ! キャプチャ出た!
> 視聴者E: めんどくせえ! 信号機どれだよ!
> 視聴者F: 端っこの数ミリも信号機に含まれるのか!?
>
投票スピードが激減する。
スクリプト(自動化ツール)が、画像認証に阻まれて停止したのだ。
『ハーハッハッハ! どうだ!』
エニグマが高笑いする。
『自動化ツールなど、この「信号機選び」の前では無力! 人力でポチポチやっている間に、制限時間はゼロになる!』
残り10秒。
投票率は再び均衡し、票の伸びが止まった。
「くそっ……! さすがに陰湿だぜ!」
レンが焦る。
エニグマの防衛(嫌がらせ)は完璧だった。
天秤の上の刃が、ギロリと二人を見下ろす。
『終わりだ、配信者! 不正ユーザーの末路を、特等席で見届けるがいい!』
「……万事休すか」
レンがスマホを下ろしかけた、その時。
ピロン♪
再び、あの男からの通知が届いた。
【差出人:カケル(地球)】
【件名:信号機くらい俺が選んでやる】
添付ファイル: 『Auto_Captcha_Buster.exe(全自動信号機めくり機)』
レンは目を見開いた。
「……はっ! マジかよ、あのRTA野郎!」
「あいつ、この世で一番『無駄な時間(画像認証)』が嫌いだったな!」
レンは即座にファイルを視聴者全員に共有した。
「みんな! 認証突破ツールだ! ぶち込めぇぇぇッ!!」
【コメント欄】
> 視聴者G: ツール来た!
> 視聴者H: 信号機が……一瞬で選ばれていく!
> 視聴者I: これぞAIの力! 人類の勝利だオラァッ!!
>
ズガガガガガガガガガガッ!!!!!
停止していた票数が、先ほどとは桁違いの速度で再加速した。
『な、なにィィィィッ!?』
エニグマが絶叫する。
『私の完璧なセキュリティが! 信号機も、横断歩道も、バスの画像も! 全て0.1秒で突破されているだとォォォッ!?』
もはや人力ではない。
120万台のスマホとPCが、カケルの作ったチートツールによって「最強のボットネット」と化していた。
A:救済(21億票)
B:救済(21億票)
『やめろ! やめるんだ! これ以上票を入れるな!』
『サーバーが! 私のメモリがぁぁぁぁッ!!』
ピキッ……パリーンッ!!
空間に亀裂が走った。
処理しきれない膨大なデータ(愛と悪意のスパム)が、神エニグマの許容量を超えたのだ。
【SYSTEM ERROR】
【投票数が上限(Counter Stop)に達しました】
【判定不能により……「全員救済(All Clear)」を実行します】
カシャン!!
天秤の鎖が弾け飛び、女子高生とサラリーマンが解放された。
「……へ?」
二人が呆然と座り込む。
『ば……馬鹿な……』
エニグマが膝をつく。
モニターからは黒煙が上がり、完全に沈黙していた。
レンは、熱くなりすぎて発火寸前のスマホを掲げ、勝ち誇った。
「見たか神様。これが俺たちの『民主主義(DDoS攻撃)』だ」
「悪いな。……信号機選びで、俺たちに勝てると思うなよ」
こうして、神の必死の防衛戦は、人類の技術と悪意の前に、無惨にも敗北したのだった。
(第11話・完)
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
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