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第14話 再集合した5人

 スカーが五日間の拘留をされて以来、一週間ぶりに一堂に会した五人。


 冒険者ギルド三階、スカーとジーンがよく泊まっている宿直部屋は、宿直に使う程度の狭さと、少しだけ掃除のされた木のテーブル、三階ゆえの見晴らしのいい窓を備えた簡素な部屋だ。そしてレギーナはテーブルそばの椅子、シルヴィは窓際、エリオはドアの前と、各々が自分の落ち着ける場所に位置して、会議は始まった。


「それで、まずは何から始めましょう? スカーの謝罪ですか?」

「あー、そう言う事をレギーナは言うのね? あたし、意外と忙しかったのよ?」


 レギーナの開幕第一声の小言にスカーは頬を膨らませて反論する。確かにスカーは釈放直後から新人冒険者のお守りをするなど、色々と予想外の仕事をしていた。そう言う意味ではスカーの言い分は通っている。しかし…


「三日前…」

「ぎくっ」

「スカー、あなた三日前どこにいましたの? エリュ・トリの西のスィンツー国境へ抜ける道沿いにいましたわよね? あのフレアのベーカリーがある街道に」

 レギーナの質問の通り、スカーはエリュ・トリと国境地帯を繋ぐ街道の…もっと具体的に言うのなら、そのフレアのベーカリーに赴いていた。


「そ、そりゃあもちろんスィンツーから不当にやってくる侵入者を、ね? フレアのベーカリーは割と危険な場所にあるから、ね? 誰かがそこに助けに行かないと……ね?」


 皆まで言わずとも、四人にはわかっていた。


 あぁ、やったな。


 何があったのかを示すのはこの言葉だけで十分だった。


「ね?じゃありませんのよ! 昨日集まろうとあなたが言い出したのに! 朝になって伝聞鳥で延期になったのを聞いた時には私は頭痛で倒れるかと思いました!」

「まあ、さすがに前日に風紀違反で捕まったから会議は無しっていう伝書が来たときは、私も全身の力が抜けたわよ」

「ある意味クロス・リッパーらしい理由だと思うがな」

「ったくよぉ。なんも変わらねえな、クロス・リッパーは」


 全員から総ツッコミを食らうスカーは、後悔はしても反省はしない…そんな表情で仲間たちに謝罪を入れる事となった。


「はぁぁ……もういいですわ。さて、本題に入りましょうか」


 落胆がそのまま形になったような溜息を吐き出して、レギーナは気を取り直して話を続ける。


「ジーンが発見してから今日まで二週間足らず……今回の、分身と共存する動物の実態は未だに謎が多く残されています」


 そう言うと、レギーナは自分の腰のベルトから、革表紙の手帳を一つ取り出して、この一週間で判明した出来事についての情報を共有し始める。


「ジーンが発見して以来、依頼の数は日増しに増えてきており、今のところ目撃例は50件ほど。何れも狩猟区の動物たちが主で、鹿、猪、鳥、小動物と、分身が確認された動物に、これと言った傾向は確認できなかったとの事ですわ」


 受付の話によると、鹿の狩猟依頼から派生的に報告があり、火原鹿に限った現象でないことが確認されている。そのため鹿の変異と言う線での考えは薄くなった。


「それで、ジーンとスカーは鹿を狩って、その中身を確認したんですよね?」

「あぁ。中を切り開いたら、内臓器官は何もなくて、夜にでもなったような空の模様だけが残ってたよ」

「こっちも同じよ。首元に刃を突き立てたら血は出てこなくて、中は夜空の模様の空間だった。あと同じところと言えば、死体が綿あめみたいに消えてなくなっていったところかしら?」


 ジーンも頷き、話を取りまとめていたレギーナも納得したように首を縦に振る。


「それも報告が上がっていますわ。獲り逃しはともかく、それらの分身を討伐・狩猟した所では、口を揃えて『死体が消えた』と報告しています」

「はい、レギーナ」


 死体に関する報告の最中で、シルヴィが手を挙げる。


「はい、シルヴィ」

「その死体に関わる話なんだけど、以前の談義で受付マネージャーのプラーシュに頼んで、分身に関わる報告を調べさせてもらったわ。そしたら、分身の死に方に傾向があったの」

「傾向?」


 シルヴィは、自身がギルドの談義の参加者であることを利用して、報告書の精査を行い、その結果を頭に入れていた。


「資料によると、分身を倒した場合は本体は生きていて、逆に本体を倒した場合は、分身も同じように倒れる……つまり、分身の存在が本体に依存してる事になるわ」

「そういやぁ、俺は分身も本体も、両方撃ち抜いたからなぁ」

「あたしの時は本体を先に倒した派ね。首を一刀両断したら、分身は崩れるように倒れて死んだもの」


 シルヴィの分析を裏付けるようにジーンとスカーは自分たちの経験を添える。次第に分身の生態がわかってきて、これからの調査への道筋が見えてきた。そんな中で、スカーは以前にカゴ団長から言われていた事を思い出した。


「そう言えばあたしからも。あたしの鹿狩りの直後で、団長から言われたんだけど……この現象が人間にも起きてるらしいのよ」

「人間にも……?」


 スカーの話を聞いていたレギーナの表情が険しくなる。他のメンバーも、その話にいい反応はしない。


「その時はそれだけしか聞かなかったんだけど、どうやら人間の目撃例が出たみたいで、団長はその真偽を確かめるのに悩んでるみたいよ」

「となると、これは生物の多くに影響を及ぼしている事態と言うことですわね。なんだかきな臭くなってきましたわ」

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