天使のクエスト
「健太、勇太集まれ~」
朝、パパが双子の兄弟を呼んだ。
「なぁに?パパ」
「ふぁ~」
まだ眠そうな声で兄弟はやって来た。
「今日は2人の10歳の誕生日だね。おめでとう!
お祝いにお宝を家のどこかに隠した。
お宝を手に入れるために…はい、健太。」
パパが健太にパサリと何かを渡す。
「この封筒には次へのヒントがあるので探してほしい。
五通目にお宝のありかを示した。」
「わぁ~ゲームの中みたいで楽しいな、勇太。」
「うん!健太より先に見つけるぞ!」
まるでクエストだね、とテンションが上がっていた。
眠気は吹っ飛んだみたい。
ママは2人の会話を聞いてフフッと笑った。
兄弟はカサリと封筒を開ける。
『パパが、ママと出会う前にしていたバイトで目指していた場所は?』
「パパにバイトの事聞いたことあったよね?勇太」
「うん、新聞配達してたって言ってた」
「目指す場所?…ポストだ!」
パタパタと2人の足音が遠ざかる。
二通目あった~と言いながら戻ってきた。
『パパとママの新婚旅行先で一番最初に貰った物は?』
「リビングの写真、新婚旅行のだったよね。
写真の横に飾ってあるお花の首飾りかな?」
「ハワイ着いた時空港で掛けてくれたって言ってたからそうかも」
「あ、首飾りに三通目の封筒挟まってる!」
我先にと意気込んでいたのに2人は協力しあっている。
『2人の天使がパパとママに舞い降りてくれました。
ここでひと休み、朝ご飯を食べよう!』
「2人の天使って?」
「こういう時は子供って事じゃない?」
「勇太は頭いいなぁ~」
兄弟がパタパタと動き回っている間にママが作った朝ご飯を食べることに。
ママの栄養満点ご飯はじんわり活力が沸いて手足もぽかぽかしてきた。
「あ、健太のコップの裏に何か貼ってあるよ!」
四通目の封筒だった。
『元気にすくすくと成長してくれた2人だけど、何が欲しいと行ってパパとママを困らせたかな?ママに聞いてみよう』
兄弟は戸惑いながらママに駆け寄る。
「はい、最後の五通目よ」とママ。
『かわいい天使がママのエプロンの下に隠れているよ。』
「もしかして…!」
健太と勇太の声が重なる。
兄弟はママのお腹に顔をうずめて
「お宝見つけた!」
「ホントに?早く会いたいなぁ~!!」
………ようやく見つけてくれたね、お兄ちゃん達。
私も早くお兄ちゃん達に会いたいな…!
ママのお腹の中で、もう少しみんなの会話を子守唄にしているね。