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第2話 天職


 翌朝。


 陽が昇り、俺はほこらの中で目を覚ます。


「むっ……そういえば村の神になったんだっけ? 夢じゃなかったんだな」


 ちなみに神にとって睡眠は必ずしも必要ではないらしい。


 一切眠らなくても体調に異変が起こったりはしないんだってさ。


 でも、あかりのない村の夜は真っ暗ですげーヒマだったから、俺は寝た。


 寝ようと思えば別に寝れるのである。


 食事の必要がなくても、ものを食べることはできるのと同じ感じだ。


「へえ、みんなもう起きてるんだな……」


 格子戸こうしどから外をのぞくと、すでに村人たちはそれぞれ活動を始めているようだった。


 寝るのが早ければ、起きるのも早いのだろう。


「あっ、神さまだ!」


「おはようごぜえます」


 小川のそばへ行くと、水面へぴちゃぴちゃと手を入れている村人たちが俺へ挨拶してくる。


 どうやら手づかみで魚を採っているらしい。


 すげーなあ。


 動体視力と反射神経が必要な活動だからだろう、この魚採りに従事しているのはおおよそ十代から二十代くらいの若い男女。


 水中の活動だからみんなほぼ裸だ。


 腰へは布を巻いているが上半身は裸で、女たちも太陽の下で若い乳房をぷるんぷるんさせている。


 前世の感覚で一瞬ギョッとするが、みんな堂々と笑顔でいるから健康的で、すぐに好感を抱くことができた。


「それに、けっこう楽しそうだな……」


 そう思い、俺もころもを脱いで小川へ入ってみる。


 冷たッ……


 と感じたのも一瞬。


 水は心地よく、透き通っており、銀の鱗の魚がひらひらと泳いでいるのが明瞭に見える。


 俺はそのうちの一匹をヒュンッ……と右手で握り、水面に引き揚げた。


「す、すげえ。片手で!?」


「さすが、神ッてるぜぇ!」


 周りのたくましい胸板の男衆からそんな声が漏れる。


 そう言われてみると確かにみんな両手で捕まえてたかもしれない。


「ええと……この魚どこへやればいいだろう」


「神さま。こちらへ」


 魚のやり場に困っていると、ひとりの16、7の少女が乳房の横に壺を抱えてこちらに寄って来た。


 黒い髪が綺麗で、結構かわいい。


「おっ、ありがとね」


「いえ……♡」


 俺が魚を壺へ入れると、少女は小麦色の身体をひるがえして女たちの集団へと駆け戻っていった。


 キャッキャ♪……


 女らは裸の肩を寄せ合いしばらく騒いだかと思えばチラチラと俺の方をうかがってはまた騒いでいる。


 魚を片手で捕まえただけなのに、そんなに喜んでくれるとはなあ。


 でも、魚採りはけっこう楽しいかも。


 水は気持ちいし、魚は活き活きとしている。


 さて、こうして小川で魚採りをしているのは12人。


 その次に多かったのは、山菜摘みの9人である。


 村の東には小高い山があり、彼らはそのふもとで木の実や草葉、枝などを拾っていた。


 天使に聞けば、8歳~13歳の子供、20代後半以降の女性、それから老人が主にこの活動に従事しているそうだ。


「この黄色い草は毒じゃで、食っちゃいかんぞ」


「「「あーい!」」」


 老人らはここらの植物に詳しく、子供たちは鼻を垂らしながらもよくこれに従っていた。


 この子たちは14歳で成人し、先ほど魚採りをしていた若い衆に混じる。


 逆に7歳以下の子は8名おり、家で下の子を面倒みたりしているらしい。


「なるほどな。これで29人か……あとの7人は何をしているんだ?」


 と、俺は銀髪の天使に聞いた。


「2名が畑をやり、1名は長い間病気で寝ています」


 そういえば畑か。


 2名ってことは本当に家庭菜園レベルなんだな。


 病気の人も、そりゃいるよね。


「残りの4人は?」


「3人が失業者、1人が職に就く気のないニートです」


 あ、そういうのもいるんだ……


「でも最後のは別として、3人の失業者は職に就く気はあるんだよな? コイツらなんとかしてやりたいんだけど」


「それでは【天職】を与えてやるとよいでしょう」


 天職?


「はい。村の神は、村人に天職を付与することができます。すでに職のある者でも問題ありませんが、無職がいるのならちょうどいいですね」


「へえ、その天職ってヤツは例えばどんなものがあるんだ?」


「天職は一定条件を満たすと解放されたり、神が『創造』することもできますが……初期から付与できる天職は4つです」


 天使の説明によると以下。


――――――――――

・占い師……魔物や他の村からの襲撃を『予知』できる。


・狩人……魔物や動物を狩る。襲撃者から村人を守ってくれる。


・神官(巫女みこ)……ほこらで神の力を高めてくれる。女性に付与すると神に奉仕する巫女となり『英雄』を産んでくれることもある。


・石工……石のアイテムや武器を作ってくれる。

――――――――――


「なんかどれから付与していいか、よくわかんないな。オススメはないか?」


 と、けっきょく天使に頼る。


「オススメというよりは、まず最優先に付与すべきは『占い師』です。村は魔物などから襲撃を受けることがあります。占い師の予知がないと思わぬ魔物の襲撃によって村が全滅することもありますから」


 全滅!?


「前述しましたが、村人が0人になればあなたの存在そのものが消滅します」


「わ、わかってるよ……」


 そういうわけで俺は、とりあえず『占い師』を置くために無職の村人のところへ向かうのだった。



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