第一村人発見
久しぶりの投稿。
この小説以外にも、二つの小説を毎日投稿しているのですが、つい最近、一話二千字から、一話四千字に増やしたことで、盲目に使う時間が取られてしまいました。
リアルに使う時間+他に投稿している小説二つの制作+睡眠時間=時間が足りない…
明日書こう、明日書こう、これの繰り返しで、いつの間にか十日近く経っていました。
もし、読んでくれている方がいらっしゃれば、本当にご迷惑をおかけしました。
いつの間にか、お猿さん達に囲まれていた。
「いや、気付いてはいたんだよ?でも、囲まれるとは思わなかった。」
猿ごとき、私が探知出来ないはずがない。
でも、まさか囲まれるとは…
『個体名:なし
種族:リーダーエイプ
Lv:7
スキル:指揮Lv3、筋力強化Lv5、俊敏強化Lv5、防御強化Lv3、魔力操作Lv1、打撃耐性Lv2、冷気耐性Lv1』
こいつの悪知恵か…
「指揮官を潰すのは、戦場の基本!!」
私は、他の雑魚猿共を無視して、リーダー猿に斬りかかっ、と見せかけて。
「闇弾!」
闇魔法の一つ、闇弾を放つ。
突然のとこに、動きを止めてしまったリーダー猿は、闇弾の直撃を受けた。
そのダメージでよろけたのを私は見逃さなかった。
…目は見えないけど。
「首がお留守だよ?」
「ギイッ!?」
そして、一瞬で首を切り裂いた。
これで、少しは混乱するかな?
と、思ったら
「ギゲゲゲッ!?」
「ゲギャア!?ゲギャア!?」
「ギギギッ!!」
「うわぁ…」
お笑いかっ!?っていうほど驚いてる。
これなら、簡単に全滅させられそう。
剣と魔法と操血術で全滅させよう。
私は、前の猿には剣で。
横は、魔法で。
後ろは、操血術で猿を攻撃する。
これも、直感の良いところで、全方位の敵を狙えるという点。
目で見ると、見ている範囲しかわからないけど、直感は全方位に機能するから、360度どこでも手に取る様に分かるのだ。
だから、私に死角はない。
あるとすれば、直感で感知できないと、何もできないということかな?
「ギゲッ!?」
「ゲギャア!?」
「グギャギャギャ!?」
周囲の仲間が次々とやられていくのを見て、猿たちは更に混乱する。
逃げ出したところで、そいつを優先的に狙ってるから、逃がす気はない。
「これで、最後だね?」
「ギ…ギャ…」
まだ生きてるのか…そうだ!
ここまで傷付いていれば、もはや抵抗は出来ない。
念の為、闇縄で雁字搦めにして。
「いただきま〜す」
逃げられないように雁字搦めにされ、舌舐めずりをしながら近付いてくる化け物を前に、キラーエイプは、恐怖の中全てを啜られ息絶えた。
その様は、化け物そのものだった。
ドラキュラって、個体名なんだよね。
個体名って言うとあれだね、人名にしよう。
吸血鬼の小説かなにかの登場人物の名前が、ドラキュラなんだよね。
だから、吸血鬼=ドラキュラは間違いで、吸血鬼=ヴァンパイアが正しいんだよね。
ドラキュラは、ルーマニア語かなにかで、「竜の息子」って意味だったはず。
ドラキュラって、ドラゴンの子供なの?って思うかもしれないけど、西洋では竜の事を悪魔として捉えるらしいんだよね。
だから、竜の息子というよりは、悪魔の息子の方が意味的には近いのかも。
…なんでそんなこと知ってるの?って?
ゲームに出てきたから。
ヒキニート廃人ゲーマーである私は、ゲームで無駄な知識を溜め込んだからね。
あの頃に戻りたい、なんて気持ちが芽生えるなんて…
なんだかんだ、あの生活が好きだったのかもね。
「ん?」
私は、今までに感じたことのない、新しい気配を感じた。
もう少し近付けば身体の形がわかるはず。
…ほんと、直感って何でもありだね。
私は、その気配がする方に近付くと、それの正体がわかった。
「人間?」
死の気配も、獣ような気配も、魔物のような気配も感じない。
間違いない、人間だ。
人間の男が四人。
どうして分かるかって?
………………………タマ付いてるからだよ。
直感の欠点だね。
知りたくないところまで分かっちゃう。
簡単に言うなら、トイレに行ったら、ドアはしまってて見えないけど、直感でウ○コが出てきてるのが、こと細かにわかるんだよね。
…有効活用するなら、男が更衣室の前に立てば、女性の身体が隅々までわかる事かな?
バレないから、安全に覗けるよ?
…私がそれをされたら、吸い殺すと思うけど。
「どうしよう…接触してみようかな?」
…行ってみよう。
自分から動かないと、望む未来は開かれない。
だからこそ、思い立ったら即行動。
私は、人間の前に立った。
しかし、人見知りが発動して、硬直してしまった。
「何だコイツ…」
「血塗れの女?」
「人間じゃねえな。アンデッドか?」
「ずいぶん状態のいいアンデッドじゃないか。」
ヤバい、なにか言わないとアンデッドとして殺される。
…実際アンデッドだけど。
取り敢えずスマイルだ。
無害アピールをしないと。
私は、四人の人間に向ってスマイルを作る。
しかし、
「げぇ!?コイツ!吸血鬼だ!!」
「なんて凶悪な笑みだ…」
「俺たちのことを、餌だと思ってるんだよ!!」
「逃げるぞ!!」
え、えぇ
確かに人間の生き血を啜ってみたいとは思ったよ?
でも、そんなに怖がらなくても…
「待って…」
私は、誤解を解きたくて、声をかけた。
「ヒィ!?喋った!?」
「上級吸血鬼か!?」
「逃げろ!!啜り殺されるぞ!!」
「うわああああああ!!」
阿鼻叫喚
ちょっとスマイルを見せて、声をかけただけなのにこのザマだ。
ここでやっちゃいけないことは、追いかけること。
更に誤解される。
…こっそり追いかけるだけなら大丈夫かな?
私は、人間達の後をついて行った。
人間達
「ハァ…ハァ…」
「どうやら…追ってきてはいないみたいだな…」
「し、死ぬかと思った…」
「どうしてあんな化け物がここに…」
ここは、アロナという街の近くになる事から、アロナダンジョンと呼ばれてる。
しかし、吸血鬼が出るような難易度のダンジョンではないはずだ。
どちらかというと、駆け出しの冒険者が来るようなダンジョンのはず。
それなのに、吸血鬼がいた。
「ん?」
「どうした?」
「いや、すまん、俺の気のせいだった。」
吸血鬼が追いかけてきてるような気がしたが、どこにもいない。
きっと、気のせいだろう。
「すぐに、ダンジョンを出て、組合に報告しないと…」
「おい、後ろ…」
俺は、仲間に言われて振り返る。
そこには、首に赤い毛を持つ巨大な熊がいた。
「レッドネックベアー…」
アロナダンジョンで、もっとも危険な魔物だ。
何百人もの駆け出しの冒険者が、コイツの犠牲になっていることから、血塗れ熊とも呼ばれている。
ここはダンジョン。
倒しても倒しても、新しい熊が現れるので、コイツの被害が無くなる事はない。
「クソッ!逃げるぞ!!」
「バカ!!コイツは馬と同じくらい早いんだぞ!?」
「じゃあどうするんだよ!?」
そうこうしている内に、ヤツは俺たちに近付いてきた。
「もうダメだ…」
仲間の一人がそんなことを言い出したその時、
「ガアアアアアアアアア!?」
突然、ヤツが悶え苦しみ始めた。
見ると、ヤツの背中に赤黒い矢がいくつも突き刺さっていた。
そして、闇縄がヤツを雁字搦めにする。
「アイツは…」
吸血鬼だ
さっき遭遇した吸血鬼が、レッドネックベアーを攻撃しているのだ。
そして、そのまま熊に近付くと、その首に牙を突き立てた。
「ガアアアアアアアアアア!?」
熊は、逃げようと必死に暴れるが、闇縄が千切れる事はなかった。
「逃げるぞ…」
俺は、小声で仲間に語りかけた。
そして、ヤツの注意を引かないように、ゆっくり後ずさりしながら、その場を離れた。
「逃げてなかったら、啜り殺されてたのは俺たちだったな。」
俺は、通路の角から、熊が啜り殺されるのを見ていた。
「あの吸血鬼、剣を持ってたぞ。」
「何?」
「剣が使えるのかよ…」
「操血術に闇魔法。おまけに剣まで使えるのか…」
そうだ!今、使い捨ての鑑定石を持ってるんだった。
「俺、鑑定してみる。」
「頼む」
俺は、こっそりと鑑定石を、あの吸血鬼へ使った。
すると、
『個体名:ヒメユリ
種族:騎士級吸血鬼
職業:剣士
Lv:7
スキル:鑑定、上級剣術Lv1、筋力大強化Lv1、魔力強化Lv9、俊敏大強化Lv1、防御大強化Lv1、防魔強化Lv8、持久強化Lv8、魔力操作Lv9、闘魔術Lv4、闇魔法Lv6、操血術Lv5、超再生Lv3、魔力回復強化Lv7、気配感知Lv10、敵意感知Lv10、悪意感知Lv9、殺意感知Lv5、魔力感知Lv7、霊体感知Lv3、心の眼Lv3、言語理解Lv-』
なん、だよ、コイツ。
とんでもねえ化け物じゃねえか…
「か、鑑定結果だ。見てくれ…」
仲間にも結果を見せたが、全員啞然としていた。
「気配感知Lv10だと?それって、ここに俺達が居ることがバレてるんじゃねえのか?」
「あ…」
「…あえて見逃されてるのか。」
なんのために?
俺達が、ダンジョンの出口に向かうことを待ってるんだ。
さっき、レッドネックベアーから俺達を助けたのは、俺達に死なれたら困るからなのか…
「ヒメユリ?」
「コイツの名前の事か…それがどうしたんだ?」
これほど恐ろしい吸血鬼なんだ、自分で名前を付けるくらいしてるだろう。
「変わった名前だなと思って…」
「そうだな…だが、名前についてはあんまり言及しない方がいいぞ?アイツの気分次第で、俺達は皆殺しだからな。」
俺達は今、アイツに命を握られている。
アイツなら、この距離を一瞬で詰めて、俺達を皆殺しにするなんて容易い事だろう。
ダンジョンの出口を見つけるためのに、あえて生かしてる。
そんな状態だ。
アイツがダンジョンの外に出たら、街が狙わられる。
「どうする?逃げるか、戦うか。」
「逃げるだろ!?」
「街が襲われるかも知れないだろ?」
「その前に、組合が討伐隊を出すはずだ!俺は逃げるぞ、絶対にだ!!」
確かに、組合が討伐隊を差し向けるだろう。
しかし、その前に逃げられたら?
「…街が襲われるかも知れないんだぞ?」
「だから何だよ。顔も知らねえ奴が何人死んでも別にいいだろ!!」
「だが…」
「そんなに言うなら、俺一人で逃げさせてもらう。」
そう言って、荷物をまとめて去っていった。
通路を確認したとき、そこに吸血鬼はいなかった。
「嫌だ…死にたくねぇ…」
「いくら自分が死にたくないとはいえ、流石に不快だったよ?」
「頼む、街に案内する。だから殺さないでくれ…」
「人間の生き血を啜りたいなら、目の前にもいるんだけど?」
「嫌だ…やめてくれ…」
「残念ながら、私の名前を知られた以上、死んでもらう。」
「そんな…」
「大丈夫、すぐにお仲間さんも同じ場所に送ってあげるから。」
「嫌だ…」
「それじゃあ…」
吸血鬼は、鋭く白い歯を出して、
「いただきます」
男の首に突き立てた。