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07話 何気ない日常と成長の兆し

  あれから太陽が傾き出すまで、子供たちは鍛錬を行いその後は山を下った。

「よし、おつかれさん。今日の午後からは自由時間になっているから好きなように過ごしていいぞ!コウガ、アカシア、ミナト、アリスも明日も宝具で素振りをやっていいからな。正し、鍛錬以外ではやるなよ?解散!コウガお前も遊んでこい。俺は家戻ってゆっくりしてるな。」

  広場に戻るとギランが声をかけた。

  今日は午後からは自由なっており、それぞれ子供達はどう過ごすか相談していた。


「グレン兄!この後どうする??一緒に着いていきたい!」

「俺も俺も!」「僕も一緒に行きたいな〜」「わ、私も一緒に行ってあげるわ!」


「いいよ。みんなで行動しようか。ん〜今日は久しぶりに村の中を探検しに行こうか?最近色々見てないしさ」


「「「「賛成!」」」」


  そうしてグレン達一行は村の中を周りに行くことにしたのだった。

  まずは向かったのは村の中の商店や雑貨などがある区域だった。そこには村で作られている魔導具や生活に使うような道具が売られている。その中にあるグレン達がよく行くアインの雑貨屋と書かれた看板があるお店に入った。


「アインさん!こんにちはー。」

「お、グレン達か。いらっしゃい。またこの前ハートレイの街まで行ってきたから色々新しい物が入ってるぞお!」

 

  おー!と子供達は喜び、颯爽とお目当ての物があるかそれぞれ見て回り出す。

「えっ!アインさん!魔法の本なんて買い付けて来たの!?これ凄く欲しい!」

「おーそれは他の本買った時に付けてくれたのよ!タダで貰ったもんだし、読む人も村に居ないからなあ。欲しいならやるぞ?」


「え!?ほんとに!まさに丁度欲しかったんだ!」

「そーかい。持ってけ待ってけ!」

「よっしゃ!」


「おお!これかっけー!」

「どれどれ?え、何それ?魔物の置物?なんか、うん。まあコウガらしいかな?」

「んだよ〜!ミナトは何かいいのあったのか?」

「僕はこの本にしようかな〜。なんかハートレイの街とかその周りの村とか簡単に紹介されてる〜」

「かっ、!本、本当に好きだなミナト。俺は読む気もしないわ。どうせミナトが読んだら教えてくれるし」

「はは、おもしろいんだけどね」



「アリス。なんかいいのあった?」

「アカシア。すぐ簡単に見つからないわ」

「そっか。さっきからあればっか見てる気がしたけどね〜」

「うっ。いつの間に見てたのよ......。アカシアはなんか欲しいのあったの??」

「僕はこの作物とかの本にしたかな。」

「ミナトもそうだけど、アカシアも本好きよね。よりによって作物って」

「村で食べられるものとかあったらいいし!」

「はぁ〜、しっかりしてるわ。それに比べてその兄と来たら......」

「はは、そんな事ないよ?リュウゲンおじいちゃんのとこにある本をこっそり夜とか読んでる所を見たことあるし。家でも時々村について父さんやお母さんにこうした方がいいんじゃないって言うこともあるし?」

「え!そーなんだ。知らなかった」

「そういうの隠したがるしねグレン兄は!秘密だよ?」


  グレンは夜な夜なリュウゲンの部屋にある分厚い本をこっそり読み、自分の知識を増やしていた。そこで得たものを村の中に使えないか考えることもあった。

  特に村に浸透したものとして、今まで子供達は家で小さい魔石や魔物の遺物などをお小遣いとして貰うことがあるが、貰えない月もあり定期的にお小遣いがあるわけではなかった。そこで危険がないような魔道具で使う魔石を磨いたり、小さい物を運ぶなど、実際の働いている者の所でお手伝いをして賃金を貰えるように3週の中で1日設けてもらったのだ。


  人間では当たり前のことであったが、最初はセンや大人達は反対であった。これはそもそも一族の子供が生まれにくく、数年子供が産まれなかった年もあり、お手伝いをして賃金を貰うなどの考えすらなかったからだ。

  しかし実際に始め出すと、働いている所を見れ、また経験にもなるため鍛錬の1つとして採用されたのだった。それに加え子供達にすげー、かっけーなど言われることが大人たちは満更でもなかったのだ。

  結果として、子供達はお小遣いが増え、こうして自分達の好きなものを好きな時に買えるようになったのだった。

 

「そのリボン買わないの??」

「少し高くて、また今度にするわ!」

「え!もしかしたら次はもう無いかもだし、俺も出してあげるよ?次俺の欲しいものあったら、アリスに手伝って貰うならさ」

「ほんと!? 嬉しいけど......いいの?」

  そんなアリスに大丈夫大丈夫と言って、リボンを取りアリスに渡すのだった。


「はあ〜若いなあ〜いいなあ。」

「アカシアやるな〜!アインさんも早くお目当ての人見つかればいいね」

「うっせ!簡単に出来たらとっくのとうに出来てるわ!」


(はぁ〜アリスは今までお前しか見てなかったってのに。お前が鈍感すぎて......ずっとそばに居たのはアカシアだったってところか、?まあそれも人生だなあ〜)

  そんなやり取りしているアカシアとアリスを見るグレンは暖かい視線を送り、アインはやれやれと感慨深く思うのであった。


  その後も村を見て回っているとアカシアが思い出すようにグレンに質問をした。

「あ、そういえば、グレン兄!鍛錬の時に見てたけど!何あれ、何かビリビリしてたよ!」

「そうだぜグレン兄!あんな技を隠してたのかよ!」

「凄かったよね〜!なんかぶわっとグレン兄さんから出たと思ったらバチバチなって周りが凄いことになってた!」

「そうよ!あれなんなのよ?長老の話も聞いてないし!」


「あーね。まあ長老の話は簡単に言ったら俺は宝具が出せないってことかな〜」


  ワクワクした顔で話す4人にグレンが話すと一気にシーンと静かになる。

「え、ご、ごめんなさい。グレン、あのそんな」


  そんな静寂をグレンがぶっと吹き出す。

「いやーそんな変わり様みたら笑っちゃうよ」


「び、びっくりしたよグレン兄!」

「ちょ、ちょっと冗談でも言っちゃ行けないわよ!」


「くはは、ごめんね心配かけてさ。けど宝具が出せないのは本当で、代わりに俺は魔法?が使えるみたい。それがみんなが見たものなんだよね。いや、そんな顔しないで?実は英雄の力かもしれないし。4人も頑張らないと置いていっちゃうぞ?」


  4人とも泣きそうな、悔しそうな顔を作るがなんとか堪えている。グレンが優しい口調で言う姿がとても眩しく感じていた。

「わかった!グレン兄にはぜってぇ負けねえ!見とけよグレン兄!お前らもグレン兄が言ってんだ、そんな顔してたら俺にも追いつけねえぞ!」

  と持ち前の明るでコウガが3人に火をつけていく。

「はは、コウガに言われるなんて、そうだね!僕も負けないよ?」

「くっあのばかコウガなのにいい事言うじゃない!私が1番になるわ!覚悟してなさいグレン!」

「そうだね。グレン兄は前向いてるんだ、俺も負けない!」


「多分追いつくことも難しいと思うけどな!」

 とグレンは前向き歩き出すと、後ろから負けないー!と4人はグレンに言いながら後を追うのであった。




  そこからぐるっと時計回りにそれぞれ気になる所に入っては出るを繰り返し見て回り夕方になっていた。

  途中でコウガが鍛冶場のおじさんに怒鳴られる騒動もあったのだが、それはまた別のお話である。


「はあー楽しかった!それじゃあまた明日! グレン兄行こ!」

「おーまたな〜」「またね〜」

「今日はありがと。またね!」

  それぞれ別れを言って帰宅していく。


  グレンとアカシアが家に帰ると、もうセンが帰ってきていたようだった。

「ただいま!お父さん今日は早いんだね!」

「ただいま〜」


「おかえり〜!!」

 エルはセンの横から立ち上がり、バタバタと走ってアカシアとグレンを出迎えた。

 エルを抱きしめ、抱っこしてあげると髪に髪飾りを付けてあげた。

「んん?なあにこれー??」

「アカシアと選んで買ってきたんだ。エルは何でも似合うね」

「やったあー!おとうさま!にあうー?」

「ちゃんと似合ってるぞ。」

  笑いながら伝えると、エルもニカッと笑ってはしゃぐのだった。

「2人ともおかえりなさい。そろそろご飯だから準備手伝ってくれると嬉しいな。エル、リュウゲンおじいちゃんを読んできて?」

  丁度ご飯が出来たようで、テキパキと広間のテーブルご飯が並んでいく。


  そこにエルとリュウゲンが広間に集まり、家族の夕ご飯が始まった。今日のご飯は、魔物の赤みのステーキと、野菜スープ、ポテトサラダだった。

  ステーキを噛むとそこからは肉汁が溢れだす。旨みが凝縮されており、調味料は塩だけであったがより、それが肉の甘さが際立たせていた。


「おいしー!これなんのおにくー?」

「これは今日狩ってきたピッグウルフだ」

「へー久しぶりに食べた気がする!」

「確かにな、はあー上手いな〜」

「どんなまものなのー?」

  アカシアは手振りを加えて、エルに説明してあげている。


「ほう。そうか、センよ。今日は森の様子はどうじゃったかのう?」

「ああ、こいつが出るくらいだ、もしかすると遠くででかいヤツがいるかもしれん。他にも魔物が多かったしな」

 

  ピッグウルフはその名の通り、豚ではあるが本来の豚よりも3倍以上でかく丸々としながらも狼のような速さと鋭さを持った牙がある。山の奥深くにおり、魔物の中でも強いものを感知すると自分の縄張りからすぐに抜け出す習性があった。そのため、一種の警告にもなり得る魔物であったのだ。

  そのため、セン達戦士は早めに切り上げ村に戻ってきていた。


「うむ。このまま何も無ければいいのじゃがのう。」

「夜の山の巡回を増やすようにして、万が一村に近づいてきたら対応出来るように準備はしてる」

「そうじゃのう。今はそれが最善じゃのう」



「あ、おかあさん。すーぷもさらだもすっごくおいしいよ〜!」

「ふふふ、エルが喜んでくれね良かったわ。」

  グレンとアカシアも今日あった出来事を話し、エルは勉強した事を話してゆっくりと時間が流れていった。

  アカシアはエルのおままごとで遊んで、センとレイは2人でお酒をちびちびと飲んで話していた。


 

  グレンは広間で今日貰った魔法の本を読んでいるとリュウゲンがそばによった。

「ほう。魔法の本じゃのう。」


「今日アインさんの所で貰ったんだ。なんか見てたら俺のやり方が少し違うみたいでさ」

「うむ。村では魔力を操作して何かをする者はおらんから、教えてあげることも出来なくて申し訳ないのう」

「全然!自分でコツを掴んでいくの楽しいさ、なんかあと少しって所なんだよね」

「ほっほ、そうかそうか。グレンは飲み込みが早いからのう。そうじゃ1ヶ月半後にハートレイの街から行商がくるはずじゃから、それに着いて行って学んで来ればいいんじゃないかのう?」


「え!!街に行って見てもいいの??」

「うむ。それにはまずセンを説得しないとじゃのう。そうじゃ、センと模擬戦をしてお前さんが街に行っても大丈夫だと分かったら許してくれると思うのう」

「よし!もっとやる気が出てきたよ、ありがと爺ちゃん!」


  そんなグレンを見てリュウゲンは、久しぶりにこんなワクワクしているグレンを見たのだった。

 

  昔、グレンは街に行きたいと何度かセンとレイに相談しては、ダメだと言われてばかりだったのだ。

  それも1人前になり、行く道中でもし魔物にあった際に戦えるようなった者が行くことを許可されている。

  街から来る行商を山の外れまで迎えに行くのも戦士達の仕事の1つでもあった。今は村から出て街に行くのは極小数で、こちらから買い付けに行く時などしか街の中に入るものはいなかった。


  グレンが生まれるずっと前、センがまだ長では無い時代は子供を連れて街に行くことも普通ではあった。しかし連れて行った子供が人間に攫われる事件が起こった。それは宝具の一族だと知り子供を攫い宝具を出させそれを取ろうとする者だった。その際、一族総出で犯人を捕まえようと街に乗り込んだのだが、王国側も焦りに焦り一族の逆鱗に触れたとしてハートレイ公爵の部下だけでなく王国の軍を使って犯人を捕まえその子供を助けた。また犯人の仲間も根絶やしにしたのだった。


  それ以降、子供は一族の宝であるため、1人前になるまで危険な事はさせたくないとより過保護になり子供を街に連れていくことは無くなった。


(過去に大変な事があった事は知ってるけど、街に行ってみたいな。よし寝る前にお願いしてみるか)

  その後、グレンは黙々と魔法の本を頭の中でイメージしながら読みいつの間にかアカシアとエルは寝る時間になっていた。

「さっ、そろそろアカシアとエルは寝る時間ね?寝る準備をして部屋に行きなさい。」

「「はーい」」

  アカシアとエルは歯磨きをしに行き、部屋へと向かっていった。

「「おやすみなさい。」」


(なるほど、魔法ってこんな事も出来るのか、見てみたいな〜魔導具が無くても手から火や水を出すのかあ。それにもまずは1箇所に魔力を集める事が重要でそれを無意識に出来るようになって1人前かあ。考え方は一族と同じなんだなあ。んー魔力の流れか、身体の中で動かす、そして)


「グレン!」

「わ、! どうしたの母さん」

「どうしたのって、もう!アカシアもエルももう部屋に行ったわよ?集中したら何も聞こえなくなるのは昔から変わらないのね、ほんとに!」


  広間には隣に居たはずのリュウゲンやアカシア、エルも広間から居なくなっていた。

(うわ、集中しすぎた。もう本も終わりそうだし......)

「ごめん、母さん、!熱中し過ぎたみたい」

「ふふ、そんなに楽しかったのね。ほらグレンも寝なさい?」


「あ、母さん! 父さんも!」

  ん?とセンとレイはグレンを見る。

「あのさ......次の行商が来たらそれに着いて行って街で魔法を学びたいんだ!だから、」


「本では出来ないか? 鍛錬でも無理だったのか?」

 レイは強い眼差しのグレンを見てあらあらと昔を思い出していた。


「自分で出来ると思う。けどもっと知らないことが沢山街にはある。それでもっと強くなりたいんだ。父さんは1人前じゃない俺を行かせてはくれないと思う。だから父さん、1ヶ月後に模擬戦をして欲しい。それで認められなかったら、諦める! だからお願いします」


  くっははとセンは笑いだし、ニヤリと笑い獰猛な目でグレンを見る。グレンも負けじと視線を逸らさず目を見続ける。

「俺に挑むつもりか?? ふっいいだろう。けどな生半可な気持ちで戦うなら容赦なくぶっ飛ばしてやる。話は終わりだ。お前ももう寝ろ」


  センは立ち上がり、広間から部屋に行くのをレイは着いていく。

「グレン、私は心配だわ。けど男ならお父さんをギャフンと言わせなさい」

  途中で後ろを振り返りグレンを見て微笑みながら部屋に向かった。

  (くは、久々に感じたけどやっぱり父さんはバケモンだ......けど希望はある)

  実際にセンの圧力で背中にじわっと汗をかいていたのだが、心の底から機会が巡って来たことを喜んだ。



「ふふ、グレン。昔みたいでしたね。なんか一気に大きくなった気がしました」

「ああ、昔は果敢に挑んできたのにここ数年はそんなこともなかったからな。この前の事で吹っ切れたみたいだ。いい顔してたな」

「そうですね。あ、一応言っておきますが、ワクワクするのはいいですけど、グレンに怪我させたらどうなるかわかってますよね?」

  ふふふと笑うレイにデカい魔物を対峙した時のような寒気がセンは感じた。

「あ、ああ」


  どこかの夫婦と同じようにセンもレイには敵わなかったのだった。

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