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05話 追憶 その3

  リュウゲンの部屋にはグレン、アカシア、レオンがリュウゲンの前に座り魔法について話を聞いている。

  大人達は広間で雑談をしている。


  魔法とは、魔力を使いこの世の事象を変えることができる力。

  また魔力は生を持ったものなら少なからず体に流れている。

  魔法には大きな枠で捉えると、4つの枠に当てはまる。

  1つ目は自然魔法。魔力を火、水、風、土、光、雷、氷、木、花など自然にある存在している事象に魔力を変える魔法。

  多くの魔法使いと言われる者は、ここに入った。


  2つ目は具像魔法。魔力を剣や、矛、盾、弓、魔道具などに変える魔法であり、実際に魔力で作ったもので、魔力が消えても消滅しない魔法。

  ちなみに炎の剣や氷の剣などの武器など、供給している魔力が消えるとそのもの自体が消える魔法は自然魔法に入る。


  3つ目は相乗魔法。魔力を身体や武器、魔道具に何かしらの効果を与える魔法。身体強化魔法、その対象の生命力を引き出したり、中には術者の生命力を対象に渡すような回復魔法のみしか使えない回復術師、付与術士などはここにいる。

 回復魔法に関して、自然魔法での回復魔法が主にである。自然魔法枠の回復魔法は術者の属性によって効果が増減しその対象との相性でも変わってきてしまう。しかしこの相乗魔法枠の回復魔法は属性た相性での効果の増減はなく、左右されるのは術者の技術だけである。


  4つ目は特殊魔法。3つの枠の中に入らない魔法であり歴史の中でも数少ない魔法。

  今までで発見されたもので、幻術師、召喚士、鑑定士など。何かを操ったり、視る魔法。また結界師、空間魔法、魔眼などもここに入る。

  枠に当てはめると村の一族の宝具は具像魔法に入りそうだが、具像魔法は作る物に制限はない。しかし宝具はその術者1人に対して、生涯に1つである。また化現させたり、消したりと扱い方も特殊であるため特殊魔法に入る。


  魔法は、それぞれ個人が持つ魔力によって、4つの枠の1つしか扱えない。自然魔法が使えるものは具像魔法は使えなく、逆も然りである。

  より細分化すると枠の中でも特性があり、自然魔法であれば、生涯火魔法しか扱えない者もいるし、火と風どちらも使える者もいる。

  自分の扱える魔法を見つけるために色々な種類の魔法を知ることや魔法を学ぶことが必要であった。魔法の種類はいくつもあるため、自分の扱える魔法が分からず生涯を終えてしまう者もいる。

  昔は魔道具など、純粋な魔力を供給すれば火がついたり水が出るような物は流通していなかった。しかし近年、魔道具士や付与術士などの活躍で魔道具が今は世界に流通しているため、昔よりもぐんと生活は豊かになっていた。


  「ほっほっ、大体はこんな感じかのう」

 とお茶を啜りながら一息ついた。

  「へえ〜魔法って凄いね〜!いっぱいあるだね〜!ねっグレン兄〜」

「ああ、凄いな。そして宝具も魔法だったんだな」

  キラキラした目でグレンの顔を見るアカシアをそっと撫でるとアカシアは目を細めながら喜んだ。


  「そうじゃ。してな特殊魔法の中でも特に特殊なもので、魔力自体が事象を待つことがあるのじゃ」

  ん?と首をかかげるグレンとアカシア、そしてレオン。

  「ほっほっ。自然魔法は話したが、体に流れる純粋な魔力自体が火や水なになってしまう者がおる。難しい考えになってしまうが体内に火や水が流れてると思った方がよいのかのう。そのため魔道具も使えんのじゃ」


  ビクッと体を震わすグレン。

「え?」

 と誰にも聞こえない声で呟いた。グレンは村にある魔道具はどれも全部使えななかったからだ。


 リュウゲンはグレンの様子を見て頷くとまた話し始めた。

「この者達は、魔道具を使えないのじゃが、普通の魔法とは比べもんにならん程の力を持つと言われておる。呼吸をするように魔法を使うのじゃからのう。ほっほっ、実は村の一族でも昔、宝具を化現した者で魔道具を使えなかった者もおってのう。何世代か前の長で、それはもうとてつもなく強かったらしいのう。ほっほっ」

 顔をくしゃくしゃにして笑うのだった。


 村の一族でも、グレンと同様の人がいることにグレンは安堵した。それは宝具を化現させることが出来ないわけじゃないと分かったからであった。


「とても勉強になりました!リュウゲン様! 学校でも習っていないこともあって、びっくりしました!」

 と満面な笑みでリュウゲンに言うのであった。


「ほっほっ、それは良かった。したらいい時間じゃのう。広間でご飯を食べようかのう」

 と3人を連れて広間に向いレイが作った夕ご飯をみんなで食べるのであった。


 その夜、みなが寝静まった中、グレンは裏庭を見れる部屋から夜空を眺めていた。


 すると廊下から足音がしたためそちらに目を向けると、大柄の男がグレンに近寄ってきた。

「グレン、寝れんのか?」

「ラインハルトさん。んー少し目が覚めてしまって」

「そうか。なあグレン、少しおじさんと話しをするか」

 ラインハルトはグレンの横に座った。

「グレンは3年前よりもっと強くなったなあ。びっくりしたぞ?そのどうだ鍛錬は?」

「ありがとう。けどまだまだだよ、。もっと強くならないと」

「グレンまだ9歳だろう?そんな急がなくてもお前はちゃんと成長しているぞ?その何だ、例え宝具が無くてもな、!」


 グレンはブンブンとゆっくり首を振る。少し目に涙を溜める。

「宝具がないとダメなんだ......。もうすぐ10歳になる。けど、もし宝具が出なくても時間を取ってもらうつもりなんだ。俺は一族の長の子供なんだ、例え長にならなくても宝具は出さないといけないんだ」


 悲痛の顔を見せるグレン見て、ラインハルトも悲痛な面持ちになる。

(これほどの、周りの重圧にも負けずに、諦めないグレンを生まれた場所が違ったらと何度思ったことか。精神的にも、ましてやこの大きな魔力、戦闘センスがありながら......)


「そうか、。グレンよ、世界はとてつもなく広い。宝具だけでその人の価値や人生が決まるわけではないのだ。目の前のものだけに囚われてはいけない。わかるな?それでもまだ頑張ってもし、もしどうしようもなくなった時、うちに遊びに来なさいグレン」

 と頭を撫でる。


 グレンはラインハルトの言葉をどこか少しだけスッキリした顔で聞いていた。

「ありがとう。もしそうなった時、ラインハルトおじさんの所に遊びに行こうかな?」


 そうして2人は夜空を見る。そこには星々が悠然と輝いていた。



  朝になるとみなが起き出し、グレンは鍛錬のためにすぐに家から出た。今日もどうか宝具を授かりますようにと祈りながら歩くのだった。


 セン達狩人は魔物や魔獣を狩りに山へ。

 レイは家事するために動きだす。

 アカシアはその後ゆっくりと起き出し、朝ごはんを食べる。


 今日は宝具を出して間もない子供達と共にリュウゲンの元で宝具についての授業であった。

 それに見学としてレオンが広間の端の方でキラキラとした目で話を聞いていた。


 ラインハルトとディーン、他の護衛たちは昨日に引き続き行商として村の者と商品のやり取りを行っている。



 北の山の中では、子ども達が急な斜面を疾走していた。その中でグレンは先頭を走っている。

 次々と全身をバネにしながら跳躍し、時には倒れている木の下を滑り込む。

 ふと朝の鍛錬に集まった時のことを思い出す。


「よ、よお」とディックとその取り巻きがグレンに声をかけてくる。

「あーおはよう」


「な、お、おい。お前言わなかったのか......?」

「昨日のお前のあの力は、なんだよ?? 宝具だったのかまさか......?」

 ディック達は村の外、また村の仲間に宝具でグレンを傷つけたことを、村に戻ってからビクビクとしていたのだ。

 ましてや相手が長の息子であり、やりすぎたと思っていた。

 それと同時にグレンから得ないのしれない力が恐怖だった。


「ん?あれは鍛錬の1つだったでしょ?別に誰かに言うことはないさ。ああ、あれは宝具じゃないよ。よく分からないけど、たまたま起きたんだと思う。まっ、お互いのために秘密にしてくれてたらありがたいかなー」

 と淡々としゃべるグレンに、ディック達はほっと安堵していた。どう考えても自分達から喧嘩を売った中で、自分達を庇うように鍛錬だったと言うグレンに対して、自分達の小ささやグレンの男気に少し態度を改めようと思うのだった。


「そ、そうか。わかった。あーとそのアカシアのことを悪く言ってすまん。それだけだ」

 さあ行くぞと取り巻きを連れて広場の中心に向かっていった。



(うーん。よく分からないけど少しちょっかいをかけられるのが和らぐかな?まっどうでもいいけどね。さ、スピード上げるか)


 昼過ぎになり村に戻ると、ラインハルト達は持ってきた商品は全部売れたみたいで、変わりに魔石や魔物の遺物を交換出来き、ホクホク顔だった。


「おーグレン、鍛錬終わったのか。お疲れさん」

「おー坊主。よっ!」

 ラインハルトとディーンに迎えられる。

 昨日の今日で鍛錬をしてピンピンしているグレンを見てディーンは、回復力に改めてグレンの凄さを感じていた。



 グレンが村に戻って来る前。

 アカシア、レオンやその子供たちは、リュウゲンから宝具について話をされていた。

 時折、子供たちのへぇ〜〜という声が聞こえてくる。

 リュウゲンはその度にくしゃくしゃと笑いながら話を進めていく。

 特に子供たちの声が大きくなったのは、宝具の種類に関してであった。


 今だ宝具に関して分からないことも多いが、今分かっていることは、宝具は自分の精神に大きく影響されるということである。


 宝具は全てが、武器になるとは限らなかった。宝具の中には、スコップや桑、ハサミなど生活する際に必要な道具が化現することもある。現に村の中でも宝具を使って生活しているものも多かった。

 しかし手で作られる道具と宝具は大きく違っていることがある。畑を耕すスコップでも宝具の場合は、長時間耕しても疲労感が出なかったり、そのスコップで耕した土で育てる作物が通常よりも早く育つなど、1つの宝具に最低1つの能力が見られた。


 またその能力に関しては、当の本人しか分からないものであり、本人しか扱えない。

 付与術士や魔道具士が作った道具に比べても、宝具の能力の強さは桁外れに強かった。また当人の成長と共に宝具も能力の強さや起きさも変化する。


 宝具によってその人の人生がほぼ決まる。道具として宝具が化現した場合は、その宝具にあった職につく。

 武器として化現した場合は、戦士になる。

 これが村の一族の職につく理由であった。

 今までの一族は皆、宝具は5歳から10歳の間に化現している。そのため、子供の頃になりたいという気持ちや思いが大きく宝具の形に影響するのであった。


「ほっほっこれが宝具というものじゃ。お主らが化現させた宝具を宝の持ち腐れにならんように日々鍛錬するのじゃぞ!」

 はい!と子供たちの返事を聞き、リュウゲンは頷いた。


 そんな宝具に関して、知らないことを聞けたレオンは村の一族が語り継がれる英雄の一族なんだと改めて実感し、共に過ごせる時間を誇りに思うのだった。


 その後鍛錬から戻ったグレンと少し遅い昼ごはんをみんなで食べ、午後からはグレンとレオン、ラインハルト、そこにディーンも加わりで打ち込みを行った。

 ディーンはグレンの強さに驚愕しながらも、グレンに負けることはなく、動きの指導を行い時間は過ぎていくのであった。


 夜にはセン達、狩人が丸々と大きな猪の魔物をみんなで担いで帰ってきた。

 それを村の人々は喜んだ。ラインハルト一行が明日の朝帰ると言うことで屋敷では大人達で送別の会と評した飲み会を行い遅くまで笑い声が村の中に響くのであった。


 朝、ラインハルト一行は村の人々に別れの挨拶をしていた。

「本当にありがとうございました! とっても楽しかったです!」

「ありがとう。またあえる日まで」


 おーまた来いよ〜などと村の人々からも声が上がる。


 ラインハルトはグレンに近づき、色んな意味を込めて頭を撫ぜ肩を叩いた。

 最後に握手をして別れの挨拶となった。


「また会える日まで。もっと強くなって待ってるよ。」

 グレンの呟きは誰の耳にも聞こえずに、そよ風に流されていくのだった。

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