04話 追憶 その2
長老の家の前では、ラインハルトが行商として持ってきた商品と村の人々が物々交換を行っていた。
「まあ。凄い綺麗な布ね〜!」「こちらも凄いわあ! 綺麗なガラスです事!」
「こちらは10銀貨になりますので、こちらは拳くらいの魔石と交換で大丈夫です!」
「えーとこっちは1金貨ですね。」
「はいこちらと交換ですね。またどうぞ〜」
護衛の者達が次々と価格と魔石や魔物の爪や牙などに例え交換していく。
「うお、こんな魔石見たことないぞ。」「おお、これが牙かよ。なんちゅう魔物なのか想像しただけでびっくりするや」
護衛達も見たことない魔石や魔物の遺物にギョッと目を開きながらなんという所に来てしまったのかと興奮と恐怖に身をすくめる。
「ほっほ、ミナト、コウガお主らは何か買わんのか?」
「んーだってさ、銅貨、銀貨とかまだよくわかんねえもん。ミナトも分かんねぇだろ?」
「コウガ......。この前リュウゲンじいさんから教えもらったでしょ?」
「ほっほっほ、コウガや、もし街に出ることになった時硬貨の価値を覚えておらんと、街には出せんぞお?ミナトやコウガに教えてやっておくれ?」
はははと笑いながら、ミナトは丁寧にコウガに伝えていく。
「えーとね、銅貨が100枚で1銀貨、100銀貨で1金貨。100金貨で1白金貨。大体街のご飯は10銅貨から50銅貨で食べれて、宿に泊まるのは50銅貨から2銀貨あれば泊まれるってこの前教えてもらったよ?」
「んーちょっと待ってくれ、頭を整理する......」
「ほっほっ、使ってみない慣れないからのう。日々復習するのじゃよ。あとは、村から出る魔石はのう、小ぶりの魔石でも街で売ったら1銀貨から3銀貨いかないらくらい、拳くらいになると5銀貨、両手なら10銀貨、顔くらいなると50銀貨、それ以上は金貨になるのう」
「リュウゲンじい、村の魔石はってことは他の場所とは値段が違ってくるのか?」
「ほーお!コウガよく気づいたの。この村周辺にでる魔物は強くてのう。魔石の質がいいのじゃよ。その分狩るのは命懸けじゃ。じゃから鍛錬を欠かせんのじゃよ。しかし世界は広いからのう、この森以外でも理不尽なくらいに強い魔物は沢山おるわい。ほっほっ」
「ふーん。そっか、広いんだな世界は!」
「ふふふ、コウガはまだまだおバカさんねぇ!」
うわっととびっくりしながらコウガとミナトは飛び跳ねる。
「突然話しかけるなよアリス!」「びっくりしたよアリス」
「あら、周りの警戒が足りないんじゃなくて〜?」
何も言い返せない2人とアリスをみて、リュウゲンは笑うのであった。
「ディーンさん、もうすぐじいちゃんの家に着くよ?いつもそこで、物々交換をしてるはずだから、いいんだよね?」
「おう!そこで大丈夫だ! ん?ちょっとまて今じいちゃん?て聞こえたんだが」
「ん?そうだけど、俺の曾お祖父ちゃんだけど」
「えぇえええ!おい先に言ってくれよでさ」
「あはは、何その喋り方?別に俺は偉くないし、父さんにはむっとされるかもしれないから気をつけてね?」
と淡々と話すグレンを見てディーンは内心肝を冷やした。
(まじかよ!? よりによって現当主の息子だと?親はいねぇのかなんて聞いちまったよ俺......。グレンよ変なこと言わないでくれよ、?)
目的の場所に着くと、屋敷の前には部下たちがせっせと物を交換している様子があった。
その横には、得体の知れないほどの威圧感がある杖を着いた爺さんがほっほっと笑っている姿が目に入った。
「ディーンさん、門の前で言ったこと守ってね?」
「お、おう。分かってるよ。それよりグレン、俺の事も変なこと言わないでくれな......?」
ん?なんのこと? と首を傾げるグレンに少し不安になるディーンであった。
「じいちゃん。あれミナト、コウガ、アリスもここでなんか買うのかい? 俺もなんか買おうかなあー?」
「グレンにい!」「グレンにいさま!」「グレン! どこほっつき歩いてたのよ! 探したのよ?」
「ほっほっグレン。おかえり。どっか散歩でもしてたのかのう?」
「そう。小川で少しのんびりしてんだ〜水が冷たくて気持ちくて。あ、あと今回の行商護衛のディーンさん。小川でばったりあって、ここまで案内してきた」
「ほー春の小川で澄んでて気持ちいからのう。案内も御苦労じゃた。ディーン殿遠く遥々よく起こしになったのう。少しの滞在のようじゃが楽しんでくだされ。あーあと街の様子も聞かせておくれよ、ほっほ。グレンよ、家に商人の方が来てくださってるのじゃ中に行こうかのう」
「そしたら、また後でねディーンさん。ミナトもコウガもアリスもまたね」
そう言いながら家の中にグレンは入っていった。
リュウゲンは1度立ちどまり、ディーンに近づく。
「グレンのあの傷は何があったかのう?」
先程の圧よりも何倍も膨れ上がった圧がディーンにのしかかる。まるで大蛇を目の前にするネズミになった気分であった。
「い、いやあれは、鍛錬でなった?とか言っていた気がしますぜ......?」
そのままじっとリュウゲンはディーンの目を見て数秒後
「ほっほっそうじゃったか。まったくやんちゃしおる子がおるようじゃのう」
そのまま家へと向かっていった。
ぶはーと吸っていた息を吐く。
(なんちゅう圧だよあれは......。バケモンか)
「おじさん、変な汗をかいてますよ?」「なんか顔色が悪いような気がするけど?」
「はは、ちょっと疲れたのかもしれないな......」
家の大広間ではセン、レイ、アカシア、レイに抱きか帰られたエルがいた。
そしてこちらに背を向けて座っている大柄で赤髪の男と、グレンと同じ体格で、赤みがかった髪を肩まで伸ばしている子が座っている。
「グレンどこに行っていた?」「また外に出てたの?」
とセンとレイが心配そうに声をかける。
するとガバッと後ろに向く大柄の男にグレンはびっくりした顔で、どこか嬉しそうな顔で反応した。
「えっ!ラインハルトさん! 今回の行商の担当だったんですね!」
「ガハハ、グレン3年でだいぶ大きくなったな! 久しぶりだ! 元気にしとったか??」
ラインハルトの隣の子も後ろに向き、キラキラとした眼差しでグレン見る。
「あながグレンさんですね!お父様からお話をよく聞いていました!」
「これこれ、レオン。まずは挨拶からだろう?」
「あっ、失礼しました。レオン・ハートレイと言います。」
えへへと照れた顔で挨拶をした。
「あ、グレンと言います。どうぞよろしく」
「よし挨拶も済んだことだ。グレン、どれだけ成長したか、ひとつ手合わせを行うか?」
ゆっくりと立ち上がりラインハルトはニヤリと、グレンに笑いかけるのであった。
屋敷の裏庭、大きいな木の周りには何人もで動き回れるほどの広場があった。
そこには、屋敷の壁に木刀や木で出来た斧、矛など色々な種類の武器が置いてある。
ラインハルトやグレンはその中から、木刀を手にしお互いに対面する。
(んー右肩はさっきよりも動かせるな。これなら問題なしと。)
グレンに出来た傷は、普通の人間の大人でも数日は安静にする程であったが、グレンは多少の痛みは残っているものの、問題なく動かせる程まで回復していた。
リュウゲンはそんなグレンの様子をちらっと見て、問題無いことを確認した。
「ほっほっそれでは、始めようかのう。セン!」
見届け人になったセンは開始の合図をおくる。
センの開始の言葉を聞いて、最初に動かしたのはグレンだった。
地面を蹴り、一瞬にしてラインハルトに詰め寄り、跳躍したまま両手に持った木剣に体重を乗せた一振を落とす。
かっと目を見開いたラインハルトは左手に持った木刀で跳ね返し、横に切る。力の差があるためグレンは手数を多くし攻め続けた。数十回と攻守交替のやりとりを行い、ラインハルトは隙をつき突きを出す。
グレンは突然きた突きを、体を回転させ避けると胴を狙い渾身の回転斬りを出す。
突き出していた剣の力を緩め、木刀の先を下に向け再度力を込め胴に迫る剣をギリギリの所で受け止めると、すぐにグレンに間合いをつめる。
まさか一振を受け止めたまま、ラインハルトが詰めてくることは予想外だったのか、一瞬の隙が生まれラインハルトの右手の拳が目の前に迫る所をグレンは右手に待った木刀を離し両腕を交差して受け止めるが、ラインハルトの拳は重く受け止め切れず後方へと吹っ飛んだ。一回転すると両手、両足で地面に着き何歩先へ後方へ行くのを止めた。
カランと木刀が落ちる音がなると、センは終了の宣言を出した。
「そこまで! 勝者はラインハルト!」
パチパチパチとアカシアやレオンが、目をキラキラさせて両者に拍手を送った。
「ガハハ、グレン前よりも早く、鋭くなったな!危うく魔法を使う所だったわ! あれはわざと隙を作ったようだな」
「やっぱり、全部読まれてたか〜。もう少しやれると思ったけど、まだまだだね。」
「まだ9歳でワシと打ち込み出来てる時点で、凄いことだぞーグレン!これからの成長が楽しみだわい! なあセンよ」
「ふん、グレンよ踏み込みや受け流し、読みもまだ甘い。鍛錬に励め。まあ前よりもラインハルトに本気を出させてたな」
「はい。父さん。ラインハルトさんありがとうございました!」
ラインハルトはレオンがうずうずしているのを見て、グレンに対戦をお願いした。
「よし。レオンよ、お前もその様子じゃグレンとやりたいんだろ?グレンお願いできるか?」
グレンは頷き、レオンとの対戦が始まった。
グレンとレオンの対戦は、グレンに軍配が上がったが途中レオンが身体強化魔法を使いぐんとグレンに迫ったが、それでもグレンはラインハルトの打ち込みを受けた後だったため、ラインハルトより軽いレオンの打ち込みを跳ね返し勝利したのだった。
「まさか、身体強化を使ったのに勝てなかったなんて!やっぱり村の人はすごいですね! お父様!」
ガハハと笑いながらレオンの頭を撫でる。
「流石にレオンでは負けるか。何個も上の見習い騎士に勝ち越していたがなあ。レオンも鍛錬に励みなさい。」
「久しぶりに魔法を感じたけど、レオンも使えるんだね!突然動きが鋭くなったし、びっくりした! レオン凄く強いね!」
とワクワクした顔でレオンを見るのであった。
強いものに興奮するそんな様子を見たラインハルトは、流石が戦闘に特化した一族だと改めて思うのであった。
「ほっほっワシも久しぶりに魔法を感じたが、その年で凄いのうレオン」
「ね、ね、おじいちゃん!身体強化魔法?て何ー?」
とキラキラした目でアカシアはリュウゲンに聞く。
「そうじゃのう。10歳になったら教えることじゃが、良いじゃろう。屋敷で魔法について話そうかのう。」とアカシアを撫で屋敷の中に連れていき、外に居たものは中へと戻って行った。
「まずは魔法とは何か、からかのう」と魔法についてリュウゲンに話し始めた。