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自我ヲアラシメル時

作者: 夏為

これは私がふと思う事や、実際に苦しんでいる

ことを参考にして書いたエッセイです。

自我をあらしめる時  夏為



毎日目を覚ませば不条理に刺す光に自分は

とてもじゃないけど耐えられない。

眼を抉り、腹を刺し、脚を折るかの様に

抱擁するあの光に。



一章 自己


自己とは不可解な物である。

自らを顧みたときそれは衝動という一欠片なのか

それとも、数多の何かによって構成された合流点か

規範によって創造された束縛の世界か

衝動というピースによって成り立つ自我の井戸なのか

それとも虚無か。


日々自らを騙り、嘲り、自己意識すらを重ね道化とした自己とは何か 自らを写す鏡か それとも罰か 煩悶に責め立てられた自身を庇護する免罪符か


辿り着きさえもしない無限の思考

其処に在るのは滑稽な自分かそれとも真実か。


調和とは興味深き物である。

光が強まれば暗闇は息を潜め

悪意が在るからこそ善意が認められ

死が在るからこそ生がある

衝動が在るからこそ規範があり

自我を齎す。

片方が消えるだけで崩れ去る存在意義と遺志

それらをあらしめるのが"調和"であり"偏り"である。

それはまるで一方がもう一方を救済するかのようだ。


二章 今


こうしてこの文を書いている今が不可思議だ。

思考という迷路を彷徨いつつも広い世界の一つとして

生きてこの文を書いている。


だが本当に思考とは迷路なのだろうか?

ふと疑問に思った自分がそこには居た。


誰も居やしない自分の頭の中の自分に

永遠に問いかけるだけだった。


無論、答えが返ってくることは無かった。


三章 彩という願望


小説には物語がある。

主人公が居て、始まりと結末がある。

そんな小説の様に私の物語というのは

彩られているのだろうか。


ある者は云う「人生の主人公は自分」であると。

その物語が歓喜に満ちている物だろうが

悲哀に満ちた物であろうが

結局は主人公の居る物語だと。


私はそんな世界の物語の一つ

自分という物語に色を付けたがる芸術家である。


「赤」「蒼」「黄」「白」「黒」

「歓喜」「悲哀」「希望」「証明」「虚無」


色とは面白い物だ。実に面白い。

混ぜ合わせることも

薄めることも

濃くすることも

簡単に出来てしまう。


がそれは現実ではない。明晰夢に託した願望なのだ。


           「彩」

             という願望を。


四章 私のいない朝


時々思う時がある。

眼を抉り、腹を刺し、脚を折るかの様に

抱擁する朝日を毎朝忌み嫌う私がもし

"朝"を好いてしまったら。

どんな形であれ、朝日を好いてしまえば

忌み嫌っていた以前の私は消えてしまうのかと。


それに伴なって私は思う

過去の自分とは自分なのかと。

「人は変わる。良くも悪くも」という事を

私は聞いたことがあるのだが

もしそれが本当ならば

変わるという事は自己の消失なのだろうか

或いは新たなエゴの現出なのだろうか。

そんな疑問を今日も夢に投げかける

そして夢の中の朝日に身を浸し

現実という目覚ましから逃避するのだ。

残された自身の寝床を差す朝日に

私はいない。


五章 おはよう


「この挨拶は現実か?」

私は夢の私に問いかける。

水面に写る虚像と会話するのだ

回答に期待しながら。

だが、虚像の回答はいつも私の期待の反対を行く

まやかしや偽りを見せるように。

いや違う

実像の私が現実で自らを偽っているのだ。

それはまるで光の焦点によって変わる像の形の様に

変幻自在に移り変わる。

大きく

小さく

上下

左右

と。


暫くすると虚像は言った。

  

   「私は実像であり、エゴである」と


私は確信した。

その言葉が本当であり偽りは無いと。


さらに聴こえてきた

   「おはよう」と


そして迎えるのだ実像として自らを偽る私を


"あの"朝日を。


自らを偽る事で苦しむのは自分であり

他人ではないのです。

でも私は自らを偽り続けます。

夢の中で自我をあらしめるその時まで。

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