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第7話 クエスト受注

空間転送

 サイバー空間を用いて主に都市間で人や物を転移させるシステム。現在では幾つかの企業がサービスを提供している。乗り物での移動より値段は高いが最も速く安全な移動手段として需要がある。移動距離や顧客の信用度によって値段や転送先が異なる。なお、大戦前からの条約により侵略目的での移動は規制されている。



ギルドのモット団を結成して3ヶ月、モットとその一味の働きでモトマチシティーは少しづつ活気を取り戻しつつあった。主に同盟関係にある青年団ギルドの下請けで害獣となるモンスターの駆除やインフラの修繕を行い、荒れ地の開拓にも着手していた。


 また、モットの屋敷の近くにある義勇軍の砦だった廃墟をギルドの本部として改装してギルド運用も行えるようになってきた。


 モットとエビ怪人は本部に作った武器庫の前で、魔物強化装置改め立体複製機に材料をセットしてギルドソルジャーに装備させる銃と剣を製造していた。


モット「魔物強化装置は騙されたが、武器弾薬の量産には使える。おかげでギルドとしての武装は整ってきた」


エビ怪人「ソルジャー達の戦闘訓練も始めりましたエビ」


ミニン「おーいお2人さん、交易センターに空間転送サービスの出張所ができましたぞい」 


モット「提供元は?」


ミニン「タケノコ転送サービス」


モット「聞いたことないが、利用登録してみるか」


エビ怪人「それがいいエビ」


 モットは早速交易センターに行き空間転送サービスの利用登録をギルド単位で行った。提供元のタケノコ転送サービスは小さな国の国営企業で試験運用も兼ねて辺境に出張所を作っていたので大手転送サービスより安い利用料金となっている。


モット「初期の転送先は辺境が多いな」


エビ怪人「エビ?ご主人様こんなところに依頼掲示板エビ!」


 タケノコ転送サービスでは辺境間でのクエスト受付もやっていた。大都市では依頼が殺到して殆ど大手ギルドしか受けられないが、辺境でのクエストはギルドや冒険者不足が起きているらしい。


モット「報酬から転送費用を差し引いて儲けが得られるクエストはありそうだ」


エビ怪人「クエストを達成することで信用度もたまるエビ」


 ギルド拡大の為の資金を得たかったたモットは部下の育成も兼ねて転送サービスでのクエスト受注を計画した。まずは実力を示すためにモット自らがPTを率いて少し難易度の高いクエストを受注することにした。


モット「何々、ユラ灘沖の離島で発生した人食い花の駆除?コレに決めた!」


 最初に受注したのは大発生した人食い花の駆除依頼でモットはエビ怪人、ミニン、ギルドソルジャー3人を率いて現地に向かった。


場所:植物研究園の離島

出現モンスター一覧

人食い花(赤) 一般的な人食い花、体温で獲物の接近を感じて噛みついてくる。

人食い花(青) 根を足のように使って地面を這いずり回る。酸も吐ける。

巨大人食い花(赤) 硬くて大きい、決まった範囲内を徘徊して獲物を探す。

巨大人食い花(青) 非常に賢く植物魔法を使ってくる。鎌のような葉っぱも強力。

古代人食い花 除草剤が効かない古代種。巨人の上半身のような姿で棘・蔓・酸・種を生成する器官を全身のいたるところに咲かせる。生み出した人食い花や他の植物を眷属に変えて操る。


 人食い花と聞いて油断していたモットのPTは巨大化して動き回る人食い花の群れに苦戦を強いられた。さらに親玉の古代人食い花は桁違いの強さでありPTは全滅しかけた。


 追い詰められたモットは人食い花に食われた犠牲者の人骨でスケルトンの援軍を作り出して囮に使ったことで何とか討伐に成功する。


モット「ふーっ、戻ってこれてよかった」


ミニン「もう少しで食われる所だったじゃないか」


モット「全員無事だったんだ。報酬も貰えたし、別にいいだろ」


エビ怪人「ご主人様、その封印カプセルは?」


モット「燃やさずに一粒だけ持ち帰った親玉人食い花の種だ」 


ミニン「うわぁ!何でそんなもんを持って帰ったんだい?」


モット「記念品だ、いつか何かの役に立つと思ったクエ!」


モット「それと、引き取り手のない犠牲者の骨も貰ってきたぞ。これで労働力が増える」


ミニン「私はしばらくPTを離れて本部の地下に築いた研究施設にいまっせ」


モット「必要分のSPポーション作っといてくれるならそれでいい。好きにしろ」


ミニン「それじゃあ刑務所タウンで意気投合したマッドサイエンティスト達を助手にいいものを作るから予算をおくれ」


モット「研究費か?本部の改修費から回しておこう」


 それから数日後、モットは部下達にPTを組ませて採算の合う辺境でのクエストに送り込んだ。前回での反省から難易度が低いクエストを受注して、達成が困難であればモットとエビ怪人、戦闘力の高い幹部が援軍に向かった。


 その甲斐もあってクエスト受注での収入は軌道に乗り始めてきた。非冒険者だったギルドソルジャー達には過去の重火器の使い手や冒険者の素質を有する者もいたので、戦力育成にもなった。


モット「今日のクエスト援軍は2回だけか。皆も強くなってきたな」


エビ怪人「いずれは本格的な冒険職に育ってほしいエビね」


モット「今のところ見習い程度の戦士や魔法使いが育っている。回復役がいないのは痛手だが、幹部に昇進させた獣人とロボットの活躍でカバーするか」


エビ怪人「そういえば私はどのような冒険職の分類エビ?」


モット「うーん、魔法戦士と言えばそうだけど、超術師ってとこかな」


エビ怪人「超術士、カッコいいエビ」


モット「超術で思い出した。転送通販でオート魔法杖を買っておかなくては」


モット「魔法装備は立体複製機では複製できないからな」


 オート魔法杖とは特定の魔法を発動できる呪文の込められた宝石のついた初心者用の杖で、マナさえあれば魔法が使えない者でも杖に対応した魔法が使用できる。


エビ怪人「これがオート魔法杖Ⅰエビ?」


モット「転送サービスだけあって支払からの発送が速いな。使用可能魔法は炎・水・植物の3すくみの属性魔法だ」


モット「魔法杖Ⅱ【電気・氷・地面】と魔法杖Ⅲ【光・闇・ヒール】は値段が張るから今は買わなくていいや」


エビ怪人「ご主人様は装備しないエビか?」


モット「使えないことはないけど、これは魔法属性の偏りのない初心者か万能魔法使い用の装備なんだ」


モット「僕は闇と地面に特化しすぎて無理だ。使い捨てのスクロールなら別だけど」


モット「エビ怪人も装備はやめといたほうがいいぞ。マナと水属性魔法に特化しすぎている。運が悪いと杖が暴発する」 


エビ怪人「ヒエッ!」

 

 モットは一定量のマナのあるギルドソルジャーに魔法の杖Ⅰを授与した。これで魔法職の代用になりそうだ。

 

 属性魔法を使用可能なギルドソルジャーが増えたことによってより多くのクエストを受注・達成が可能になった。同時に転送サービスの信用度も上がったことで転送可能な地域も辺境以外に増えた。


モット「そろそろ思い切って遠征でもしてみるか」


エビ怪人「遠征エビ?」


モット「主力メンバーで大部隊を編成して狩りを行うんだ」


エビ怪人「となると、準備や参加メンバーのスケジュールを調整する必要があるエビ」


モット「そうだな、本部に幹部を招集してミーティングだ」


 遠くへの遠征を計画したモットはギルド本部に幹部達を集めて遠征につい話し合うことにした。


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