表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/58

第5話 辺境の片隅へ

スケルトン

 人の死骸から誕生するアンデット系の魔物。魔法で一斉に操られるタイプと怨念に満ちた魂が宿って自立行動するタイプがいる。上位のアンデットやネクロマンサーが使役する。


忍者

 盗賊系の隠密に特化した特殊職。忍びの気と呼ばれる特殊な魔法が使える。かつては忍者の里が世界中に存在したがその多くが大戦によって滅亡した。

 ハイリパインで元囚人の脱走者をギルドに加えたモットは彼らを率いて、南東にある故郷のモトマチへと向かった。放棄されたハイウェイの残骸を辿り、自然に侵食された瓦礫の山を越えて5日間歩き続けた。


 市民団体から貰った食料は既に尽きた。モットは途中休憩を挟んで3賢者や戦闘スキルを持つ元囚人達と狩りを行って400人の飢えを何とか凌いだ。


 エビ怪人は飲み水確保を行っていた魔法使いから攻撃用水魔法:ウォーターを教わった。また、モットが蟹光線と名付けたエビ怪人のビームは無属性魔法に該当することが分かった。

 そしてゴースとモトマチの分かれ道に差し掛かり、3賢者と別れることとなった。


モット「よくここまでついてきてくれた。これは迷惑料だ」


僧侶「いえいえ、こんなに頂けるなんて光栄です」


戦士「なかなか楽しかったぜ、じゃあな」


魔法使い「闇の勇者さんもエビちゃんも元気でね」


エビ怪人「お達者でエビ!」


モット「(闇の勇者か…)」


ミニン「勢力活性のポーションを用意したぞい。こいつを飲めばあと半日でモトマチでっせ」


 モット達と別れた3賢者はゴースへの道を下って行った。


戦士「それにしても闇魔法に特化した勇者なんて珍しいよな」


魔法使い「ええ、私達の故郷で見かけた勇者は光か電気の魔法特化だったわね」


僧侶「あの方は闇だけでなく、私みたいなオーラも使えるみたいですね」


戦士「おっし、そろそろ防衛軍さんとの待ち合わせ場所だ」


 残りの道を進んでいたモット達であったが、ミニンの作ったポーションで逆に体力を奪われてしまった。仕方なくモット達はグラジラ登山道の峠付近で野営することになった。


モット「このバカ野郎!食えそうな木の実でも集めてこい」


ミニン「しゅいましぇーん!!」


 翌朝モットは全員に出発の合図を出してグラジラ登山道を下った。


モット「ここからは人目に付きやすいからトラ山トンネルを抜けるぞ」


ミニン「ええっ、あそこは墓地をくり抜いた心霊スポットですぜ」


モット「出るとしてもゴースト系くらいだ。危険な残留思念体はいないと思う」


エビ怪人「私の蟹光線で一撃ですエビ」


 モットは嫌がるミニンを最後尾にダンジョン【トラ山トンネル】を通過した。幸いモンスターは出なかったが、トンネル内には大量の人骨があふれている。遺棄された死体も混じっているようでミニンは怯えていた。


モット「(へへへ、少し脅かしてやるか…)」


モット「目覚めよスケルトン!!」


 モットは出口付近でトンネル内へ向かって大声で叫んだ。すると、全身に魔法詠唱時の感覚が走った。


囚人「ひゃーっ!!」


ミニン「キャアアアアアアアーッ、ウゴイタアアアアアアー」


 なんとトンネル内の人骨の幾つかが元の形に集合して動き始めた。驚いた元囚人達は大慌てでトンネルから這い出た。


 モットとエビ怪人はスケルトンの群れが襲ってきたと思い、戦闘態勢に入った。しかしスケルトン達はモットの周囲をうろつくだけで何もしてこない。


モット「もしかして僕が操っているのか?」


 モットは試しにスケルトン達が移動するように念じた。スケルトン達はモットが移動させたいと思った場所へ向かった。止まれと念じると止まった。次にその辺の雑木を攻撃するように念じてみるとスケルトン達は枝や骨を手に取り木の幹を叩き始めた。


モット「念じることで命令を出せるみたいだ」


エビ怪人「ご主人様、これはスケルトン使役のスキルですエビ」


モット「大学でネクロマンサーの単位なんて取ってないけどな…(ハイリパインの反乱の時からなんか調子がおかしいぞ)」


モット「まあいい、こいつ等も配下に加える。ミニン達を運んで来い」


 数十体のスケルトンは嫌がる元囚人達と気絶したミニンをトンネル内から運び出した。


ミニン「ひどいじゃないか!」


モット「手下が増えたんだ、気にするな」


元囚人「モットさん、大変です!!」


モット「どうした?」


元囚人「さっきのスケルトンに驚いて山を下りた仲間が街道沿いで変な忍者に襲われています」


元囚人の報告によると赤装束の忍者3人が突然襲ってきたそうだ。元囚人達は疲労で疲れ切っているので、一同に待機を命じたモットはエビ怪人、ミニンの3人PTを先頭にで忍者のいる方へ急いだ。 


モット「お前等が僕の子分共を襲ってきた忍者だな、ボコしてやる」


赤忍者A「このシマシマパジャマ共がいきなり突っ込んできたからからボコしてやったんでい」


ミニン「あ、こいつ等は…、刑務所タウンで見た手配書の忍者窃盗団だ」


赤忍者B「見られたからにはただじゃ済まさないでニンニン!」


赤忍者C「お宝を横取りされてたまるかでGOZARU」


エビ怪人「宝?」


モット「まずは骸骨と戦ってもらおう!!」


 赤忍者3人と戦闘になった。モットはスケルトン5体に赤忍者達への攻撃を命じた。しかし、赤忍者達は素手で次々とスケルトンを蹴散らした。


忍者A「舐めるな!こちらはゾンビ相手に毎日特訓していたのだ」


モット「くっ、(こいつ等も強いが、やはりスケルトンの装備や操作が不十分なせいか)」


エビ怪人「蟹光線!」


 エビ怪人は蟹光線を放ったが赤忍者は回避した。蟹光線は地面を破壊して大穴を開けた。赤忍者は怯むことなく次の蟹光線の発射体制に入ったエビ怪人に向かってパンチを繰り出して押し出した。残りの赤忍者2人はモットとミニンの両側からの飛び蹴りで襲ってきた。


エビ怪人「次の発射までのチャージを狙われたエビ」


モット「忍者達には魔法回避のスキルはあるみたいだ…ロックポール!」


ミニン「ぬわぁ!」


 モットは自分とミニンの足元に岩の柱を突き上げて赤忍者の蹴りを回避した。モットはロックポールの威力を抑えていたが、ミニンは足元のバランスを崩してポーションをぶちまけながら地面に落下した。


ミニン「いててて、いきなり足元を突き上げるなんて…」


赤忍者B「ぬわーっ、足が滑るでニンニン!」


 ミニンが撒いたポーションを踏んずけて赤忍者の1人が足を滑らせて、それに巻き込まれてもう1人と転んだ。次にモットは威力の高いロックポールを地面から突き上げて2人をぶっ飛ばした。


赤忍者A「マムシ丸、ダニ助!おのれ、よくも仲間を!」


ミニン「エビ怪人さん、回復ポーションですぜ」


エビ怪人「かたじけないエビ、ウォーター!」


 エビ怪人は残った赤忍者を水の魔法球で攻撃した。よそ見をした赤忍者はこの攻撃を避けきれず弾き飛ばされた。


モット「成程、赤装束は水に弱いのか。ミニン、水圧瓶だ!」


ミニン「あいよ!」


 ミニンは飲み水を圧縮したボトルを解き放った。赤忍者達はずぶ濡れになりながらダメージを受けた。モットはエビ怪人を回復させそれぞれダークネスバーンと蟹光線を放った。


赤忍者B「おのれ貴様達、忍者相手に汚いぞ!」


赤忍者C「しかし、負けてしまうとは…」


赤忍者A「我らも不覚」


赤忍者C「こうなれば」


赤忍者3人組「忍法ドロンの術!!」


 怪しげな忍術を使うと赤忍者達は逃げていった。辺りには盗んだ品物と赤いふんどしが落ちていた。


モット「お宝って言ってたのは盗品か、持ち主に返すとして。ふんどしだけミニンにやろう」


ミニン「いらんわー!」


 こうしてモットは新たにスケルトン生成・使役のスキルを覚えた。忍者達を退けて一行はモトマチシティーに到着した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ