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第39話 オーブ挿入

回転式無作為販売機

 武器、防具、アイテムから娯楽用のモンスター封印カプセルまでランダムで販売する装置。ドラゴン商社がトップシェアを誇り、課金クリスタルを挿入することで中継地点を介して転送のやり取りが行われて、無人の取引が可能となっている。異世界人はガチャと呼んでおり、その呼び名でも親しまれているが、営業による設置契約の押し売り訪問が問題となっている。


10数年後、旧魔王城の裏庭。マルチダが雨の中佇んでいた。ナデシコはその様子を見て声をかけた。


ナデシコ「そんなとこで何やってんのよ、ずぶ濡れじゃない」


マルチダ「ここにいると冷静になれるんだ…」


ナデシコ「心配しなくても大丈夫よ、ウチの人も駆り出されてるし」


マルチダ「口論になって、互いにカッとなってしまってな…」


ナデシコ「頭冷やしている訳ね」


マルチダ「ついさっきキメラから連絡があった。世界樹の空洞に入り込んだらしい」


ナデシコ「懐かしい場所ね。人間界にでも行くのかしら」


マルチダ「この際だ。しばらくあの子の好きにさせてみようか」


ナデシコ「ええ!?ネオケフィアとの縁談はどうすんの?」


 現在、魔王城。


魔王「お前の契約もまた破られ、魔王軍が全滅じゃと!?」


魔大臣タマ「申し訳ありません魔王様、もう一度契約を」


魔大臣タマ「できれば魔王様ただ1人と個別の契約をお願いします」


魔王「我が一族との契約でなければお前の力が弱まるが、そこまで言うなら…」


 1000年前、この魔界に来た魔大臣タマは先々代魔王と契約を結び、不死身の肉体を得ていた。しかし、モット団との戦闘により、その契約を無効とする事態が発生してアンデッドとしての存在が危うくなっていた。

 魔大臣タマは魔王に無理を言って、その契約内容を一部変更して、活力を取り戻した。


魔大臣タマ「もうじきこの城に勇者の一行が現れます。私が彼等を相手にしますから、魔王様はどうか別魔界へ亡命してください!」


魔王「冗談が過ぎるぞタマ、2回負けたくらいでなんじゃ。ワシもお前と戦う、勇者一行など返り討ちにしてくれるわ」


魔大臣タマ「奴等は数日前に魔王様が感じておられたとおりに厄介な存在です。魔王軍は蹴散らされ、雇っていたハンター達も壊滅、奴隷だったはずの魔物血族者の民ジャドプターが反乱を起こしました」


魔王「あの無抵抗な奴隷のジャドプター共が?何かの間違いじゃろ?」


 魔王城の外、幾つかの場所を経由してモット達は城の前までやって来た。その城は開けた荒野の中にある巨大な岩石の上に築かれており、Xの字に交差した外見をしている。

 モットは移動中に体の自由が利くようになった。また、意識が回復する中、先程の自分が異形の姿になったことと、ジャドプター達に邪神ジャドールと呼ばれた事が気がかりだったが、今は魔王の討伐に専念するべきだと考えていた。


モット「マップの表示では溶岩地帯となっていたが、随分と殺風景な荒野にポツンとあるんだな」


マルチダ「この城、何故か転移魔法対策すらされていないな」


サカキ「もしかして魔王がいるのは中心部の大きな塔か?」


ジャドプターの民A「はい、あちらです。兵の大半は魔王軍として出払っておりますので、警備も手薄なはずです」


モット「ナデシコ、中心の塔に飛んでから魔王がいる位置を知らせてくれ。後はマルチダに全員をテレポートさせる」


 数分後、モット達は魔王城の中心部、魔王の間へとテレポートしてきた。


モット「おじゃましまーす!闇の勇者モット・A・じゃしんとその手下のPTです!」


魔王「舐めたマネをしおって!お前達がこの魔界に攻め入った不届きな人間のギルドだな?」


モット「いや、僕はただの人間じゃない。アンデッドと勇者の合成怪人だ」


魔大臣タマ「魔王様、お下がりください。この勇者を名乗るアンデッドは、邪神ジャドールの末裔、あるいはその生まれ変わりです!」


 魔大臣タマは魔王に邪神ジャドールとモットが異形の姿となった時の共通点を述べて、モットの力は邪神ジャドール由来だと主張した。

 また、モットが使った肉食バクテリアを見たジャドプター達が、その正体にいち早く気づき、奴隷の誓いを破って反乱を起こしたことも説明した。

 先程の自分自身を思い返したモットは少し動揺した。


モット「僕がジャドールの…(あの力に気づいた時に変だと思っていた。僕が単なる魔物血族者ではないってことも、そしてさっきの化け物になった時も意識を何かに飲まれる感じがした。得体の知れぬ恐怖、でも何だか懐かしく温かかった)」


マルチダ「お前らしくないな、魔王を前に今更動揺しているのか?」


サカキ「何の末裔だろうと、俺はモット君に付いていくぜ!」


リリンダ「総司令官殿はあのお姿になられても、僕達味方を攻撃しなかったであります。だから僕も総司令官殿の先祖が何であろうとも問題ないであります!」


カリア「刑務所タウンでご主人様に脱獄させて頂いた恩は忘れません」


ハヤト「我らが命、ご主人様と共に」


ナデシコ「邪神ジャドールについてはヤバい奴って聞いたことあるけど、ボスがその子孫で確定なら植物の化け物にされた私も顔が立つわ」


モット「皆して照れくさいことを言うな…」


魔王「およその話は分かった。しかしな、ワシとてこの魔界を統べる魔王じゃ!例え魔王軍を壊滅させられようとも、一族代々治めてきた領土を奪われる訳にはいかんのじゃ!」


魔大臣タマ「魔王様…」


 魔王は自らの名を名乗った。


魔王「我が名はチートール・ピテカンドロップ・ギガドンパ・ゴサク・バリバロス3世だ」


マルチダ「何だって?」


ナデシコ「もう長すぎるから魔界Cにちなんで魔王Cでいいんじゃないの?」


魔王C「誰がCじゃ!ワシの一族は本気を出せば世界の半分を消し去ることができるのじゃ!」


モット「やれるもんならやってみろ。いくぞー!」


 魔王Cと戦闘に入った。魔王Cは吹雪を吐いてきた。マルチダは火炎を吐いて応戦した。魔大臣タマはマルチダの動きに注意しながらホーリーアローでモットを狙った。

 ハヤトとカリアが交互にモットを庇い、悪魔兵達にも応戦している。サカキとナデシコとリリンダはガーディアンアーマーと交戦した。

 テレポートも使える魔王Cはマルチダと互いに互角のようだった。また、魔王Cは小型モンスターを召喚するポータルを出現させ数での優位を図った。モットのPTはその対応に少し押されている。


サカキ「栽培人食い花は俺に任せろ、氷点突き!」


ナデシコ「雑魚モンスターでも数が多いわね、ウッドスパイク!」


リリンダ「物理の効かない液体金属とクモモは僕にお任せであります、ファイアーボール!」


魔王C「ワシの力はこんなものではないぞ、いでよマグマポータル!」


 魔王Cはマグマの噴出するポータルを召喚して、モットのPTを取り囲んだ。マルチダとリリンダがそれらに対処して、味方への被害を食い止めた。

 しかし、次は稲妻、暴風、濁流と魔王Cは極地の環境や事象そのものをポータルと繋ぐことで攻撃として使用してきた。


モット「僕がロックポールで稲妻を引き受ける。マルチダとサカキは暴風、リリンダとナデシコは濁流のポータルをどうにかしてくれ」


魔王C「フハハハ、ワシはポータル魔法が得意でな、この魔界のあらゆる事象なら呼び出すことが出来るのじゃ!」


魔大臣タマ「(魔王様、そろそろ魔力が…)」


 幾つかのポータルを出した後、魔王Cはモンスター召喚ポータルで再び雑魚モンスターを呼び出すと、戦闘を魔大臣タマに任せて何処かに消え去った。

 魔王Cがいなくなったことでポータルでの攻撃が止み、マルチダがモットを庇える余裕が出来た。


モット「撃ってみろよ、魔大臣。いや、七勇者タキオン・タマキオン!」


リリンダ「え、僕の祖国の英雄が!?」


 リリンダを除くモット達には魔大臣の正体が誰なのか分かっていた。クリス総統同様に貫通する矢の使い手で、1000年近く魔界Cにおいて魔大臣の地位にあり当時の邪神ジャドールの力に詳しい人物は七勇者の1人タキオン・タマキオン以外他でもなかった。


魔大臣タマ「いかにも、だがそれはもう過去の事。そして、今までの手はもう食わないぞ!」


 魔大臣タマは七勇者であることをあっさり認めると、マルチダ目掛けて躊躇なく矢の束を放った。テレポート回避によりマルチダは急所を免れたが、両足と右肩を貫かれた。

 魔大臣タマはこれまでマルチダ本人への攻撃が無意識のうちに出来ないことがあった。また、先程の戦闘で2回もマルチダがわざと攻撃を受けたことで、魔王C一族との契約が無効化して弱体化もしていた。

 だがしかし、魔大臣タマの言うとおりに今の攻撃ではマルチダを直接狙うことが可能となっており、魔王との個人契約を無効化することはできない。


マルチダ「くっ、何故かは分からないが、奴が私を攻撃しても苦しまなくなったようだ」


モット「ヒール!しっかりしろマルチダ、そんな手を使わなくても…(ヌヌーティに貰ったこの石を使う時が来たかもしれない)」


 モットがマルチダを回復させたのもつかの間、戦闘に戻ってきた魔王Cは再び災害等に繋がるポータルを出現させてモット達を襲った。

 マルチダも負けずとポータルホールを出現させてそれらを吸い込むと、出口のポータルを魔王Cを囲むように出現させた。


マルチダ「ポータルホールカウンター!」


魔王C「無駄じゃ、ワシには属性の耐性がある。自分で呼び寄せたマグマや稲妻にやられるわけなかろうが」


リリンダ「このままではこちらが不利であります。総司令官殿、何とかもう一度あのお姿になって一気にカタを付けて頂きたいであります!」


 リリンダを始めマルチダ、キメラ、サカキはモットにあの姿へ変身するように言ってきたが、モットは断固拒否した。邪神ジャドールの姿になるには巨大化する必要があり、心の底に眠る何かを再び解放しなければならない。先程は辛うじて自我を保てたが、今度は自我を失い二度と元には戻れなくなると思っていた。

 それにモットはさっきの勝利には不満だった。勝つ為に手段を択ばないのは弁えているが、肉体の改造は良くても、弱点がほぼ無い先祖の力そのものを使って一方的に敵全てを飲み込むのはチート能力みたいで気に入らなかった。


キメラ「せっかくの能力を縛るのか、ギルドマスター?」


モット「さっきは心の声に指図されるままにやむおえず、あの力を使ってしまったが、あんなチートみたいなのは御免だ。アンデッドや怪人になっても僕は勇者、せめて魔王を倒す時くらいは、勇者と言えるような技能で戦いたい!」


サカキ「縛りプレイっていう奴だな」


マルチダ「お前なりのプライドか」


キメラ「愚かな、単なる肉食バクテリアはコヤツ等に効かぬのだぞ、それに貴様は人間体にも怪人体にも致命的な弱点がある。マルチダ様の足手まといだ!」


魔王C「仲間割れかと思っていたが、少しは話の分かる勇者ではないか、爺ちゃまと互角に渡り合えたジャドールの末裔だけである」


魔大臣タマ「魔王様、感心してないでそこを退いてください!」


 その時、魔王Cと魔大臣タマの戦闘を分析していたハヤトとカリアはモットの脳内にテレパシーで分析結果を送った。

 それによると、魔大臣タマは魔王Cの攻撃中にその周囲に矢を絶対に放ってこない確定事項と、魔王Cは一定の魔法攻撃をした後にその場を離れているので、安全な場所で魔力補給をする為ではないかという推測だった。


モット「(ならば、魔王Cの魔力補給のタイミングを狙って魔大臣タマに攻撃させればどっちもやれるはずだ。魔大臣タマは魔王Cを攻撃すればまた弱体化する。先祖の力やサークレットの石を使わなくても倒せるかもしれない)」


マルチダ「避けろ、どこを見ている!」


 モットが魔王C達の倒し方を考えていると、魔王Cの出したポータルが傍にあったことに気づかずに、そこからの攻撃を受けそうになった。しかし、そのポータルから出てきたのは大量のクリスタルとSPオーブだった。

 魔王Cは魔力が尽きそうになると、隠し宝物庫へテレポートして魔力を回復していた。戦闘の最中、誤って隠し宝物庫の床底へのポータルを開いてしまい、その中身を攻撃と間違えて放出してしまった。よく見るとクリスタルはドラゴン商社における企業通貨こと課金クリスタルであった。


魔王C「しまった、ワシのお気に入りの部屋が」


魔大臣タマ「魔王様、よりによって宝物庫で魔力の回復をなされていたのですか?」


モット「もしかして…」


 モットは先ほど拾った回転式無作為販売機を取り出して盾にした。


 魔大臣タマ「それはドラゴン商社に押し売りで契約させられたオーブフェスガチャ。返せ!」


 魔大臣タマが攻撃を躊躇った隙にモットは散らばった課金クリスタルを拾い集めた。 


魔王C「そのガチャ飽きたから城の外に投げておいたのに拾ってくるとは」


魔大臣タマ「飽きて投げたですと!?魔王様、これは高かったのですよ。破損でもしたら莫大な違約金を取られます」


モット「代わりに回してやるよ(しめた、あの2人に隙ができるぞ)」


 モットはかき集めた課金クリスタルでガチャを回した。ガチャからはカラフルなオーブが排出され、周囲に散らばった。

 よく見ると、それらのオーブはハズレ扱いの味覚や嗅覚オーブであった。


モット「(流石にレアオーブはすぐに出ないな、しかし、魔王Cがオーブで魔力補給しているなら攪乱になる)」


 モットはマルチダに命じて散らばったオーブにマルチダの出したSPオーブを融合させると、オーラ魔法で宝物庫のポータルへと押し込んだ。


魔王C「こりゃ、何をする?」


モット「これでもうオーブでの魔力補給は使えまい(妙な味覚の混ざったオーブをわざわざ口から吸引するバカはいないだろう)」


魔大臣タマ「魔王様、だからあれほど私だけに戦闘をお任せくださいと…」


 魔大臣タマはガチャと魔王Cに攻撃を当てぬようにモットを狙ってホーリーアローを撃ってきた。

 覚悟を決めたモットはサカキとマルチダの援護を受けながら、魔大臣タマのホーリーアローを躱して、魔大臣タマの正面までテレポートで飛ばしてもらい、周囲を闇の霧で囲った上で、魔大臣タマの顔面に貝殻の粉末を吹っ掛けた。


魔大臣タマ「その技は私に無効だ。それに闇の霧程度でこの私の視野を遮れるとでも思ったか」


モット「ならばこれはどうだ?カルシウム骨形成!」


 モットは振り撒いた粉末に自身のスケルトンエディット能力を応用させ、支配下に無いはずの魔大臣タマの顔面に無理やり骨の層を形成させて、目の部分を覆った。


魔大臣タマ「馬鹿な、見えん(心眼も使えん、魔王様との個別契約での弱体化か)」


モット「やはりそうか、体を削られるのは再生できるが、変なものを盛られるとなかなか元に戻せない。それに僕等リッチクラスのアンデッドにも視野の制限がある。それは頭蓋骨の眼球が入る穴を完全に覆われてしまえば、失明同然となる」


 次にモットはモンスター封印カプセルを2つ投げて、ポチとロドリデゲスを呼び出すと、魔大臣タマの両手をそれぞれ握らせた。


魔大臣タマ「何をする離せ!」


ポチ「ご主人様の命令だ。リッチ同士仲よくしようではないか!」


ロドリデゲス「ご主人さん、3体で手を結んで輪になりましたで!」


モット「よくやった。しばらくの我慢だ。カルシウム骨形成!」


 モットは無理やり手を繋がせた魔大臣タマ、ポチ、ロドリデゲスの手をカルシウムで融合させて、魔大臣タマの動きを完全に封じた。魔大臣タマは魔力を振り絞り、自力で顔面のカルシウムを目が見える範囲で崩すことが出来たが、他のリッチの手と融合した状態はどうやっても振り払えなかった。

 さらにモットは魔大臣タマの顔面にカルシウムを付着させると今度は口や耳の穴も塞いで魔大臣タマをほぼ封じた。


魔大臣タマ「モゴモゴ(これでは矢を放てられない。魔王様は?)」


 その頃、魔王Cはマルチダやリリンダと交戦して、魔力を消耗していた。何度か配下の雑魚モンスターを召喚してきたが、サカキとキメラ、ハヤトとカリアによって直ぐに倒されていた。


魔王C「魔力が減ってきた。しかし、こんな所でオーブを使うわけには」


 モットは闇の霧を振り払い、魔王Cにこちらの様子を見せつけた。


モット「見ろ、魔王C。お前の家来は僕のペットと合体させてやったぞ!」


魔王C「タマ、何と言う事じゃ。お前等には尊厳という概念がないのか?」


モット「下級魔族の奴隷を人間に売る代わりに自分達は安全を手に入れておいてよく言うな!」


魔王C「うるさい、タマはタマはな、ワシの育て親にして唯一の話し相手でもあるのだ!」


モット「コイツの封印を解きたければ最大出力の闇魔法を撃ってみろ!」


 魔王Cはモットの挑発に乗って最大出力の闇のブレスを吐こうとした。その時、モットは魔大臣タマの耳と両手のカルシウムを解除して、自分が闇魔法を使ったかのような動きをした。ポチに武器を持たされた魔大臣タマは何の迷いもなく、自身が感じ取った闇ブレスの飛んでくる方向に向かって矢を放ってしまった。


魔王C「あいたた!」


魔大臣タマ「魔王様!?」


 光の魔力を込めた魔大臣タマの矢は魔王Cの闇ブレスを打ち消しながら直進して、魔王Cの左頬に突き刺さった。


モット「魔王Cを認識できていなかったから貫通はしなかったか」


 魔大臣タマは契約主の魔王Cを攻撃してしまった為に再び弱体化して苦しみだした。それと同時にモットはポチとロドリデゲスに魔大臣タマを取り押さえさせて、カルシュウムを盛って完全に動きを封じた。


モット「安心しろ元七勇者、今のお前は僕のペットと融合して何とか存在を保てている」


 それを見た魔王Cは頬に刺さった矢を引き抜くと、今までにないくらい激しいポータル魔法で攻撃をしてきた。モットはPT全員に魔大臣タマに魔王Cを近づけないように命じて、その猛攻を耐え凌いだ。

 本気を出した魔王Cであったが、残り少ない魔力は攻撃に回して回避の為のテレポートの頻度が下がってきている。


魔王C「ゼエゼエ、仕方無い、見られてもいいからここで魔力回復じゃ」


サカキ「おいおい、冗談だろ」


ナデシコ「ヴォエ!」


 魔王Cは隠し持っていたSPオーブを取り出すと、口ではなく尻に入れようとしている。魔王Cが隠れて魔力回復を行っていたのは尻からSPオーブを吸引していたからだった。


モット「マルチダ、テレポートだ!」


 モット達は足元に散らばっていた鼻を刺す臭いのオーブを掴むと、魔王Cの背後へ回って、思いっきり尻に向かって押し当てた。そのオーブはSPオーブと共に魔王Cの肛門内へと挿入され、魔王Cは魔力回復と同時に激しい痛みに襲われた。


魔王C「グアァァァー!!尻が、尻がー!」


モット「どうだ、自分の捨てたガチャから出た激辛オーブを尻に突っ込まれる気分は?」


 魔王Cはその場に倒れて気絶した。2時間後、魔王城はモット団側に占領されてこの戦いはモット団が完全に勝利した。


魔大臣タマ

 3代の魔王に使えた魔界CのNo2、その正体は七勇者のタキオン・タマキオンだった。1000年前に邪神ジャドール討伐後ベスタを建国してハーレムを作り上げていたが、愛人の1人に裏切られて失脚、世界樹に火を放って魔界Cへと落ち延びた。そこで対面した当時の魔王に能力を評価され、不死の肉体と魔界Cでの地位を約束に魔王の一族と契約を結んだ。

 アンデッドでありながら回復や光のスキルも使用できる勇者としての能力も健在で、威力が続く限り任意の対象を貫通させられる矢を扱える。ホーミングアローと組み合わせれば、ほぼ敵無しとなるが、プライドがそれを許さないので、基本は直進の矢しか放たない。


魔王C

 魔界Cの魔王、先代魔王が人間との間に結んだ協定により、その存在は一部の上級魔族にしか知られていない。先代魔王と元魔法少女の魔女の間に生まれるが、幼くして母が病死、父も後を追うように自害した為、魔大臣タマによって育てられ、魔王に即位できる年になるまで魔大臣タマの工作で先代魔王の死が隠蔽されていた。

 魔界Cでの政務は最も信頼する魔大臣タマに任せて自身は魔王城に引きこもっているが、テレポートやポータル魔法が得意でお忍びで外出することがある。魔力が尽きるまであらゆる魔法攻撃が無効になる特性を持っているが、魔力の補給が口からできない体質がある。



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