第37話 契約
魔王軍のモンスター
オーク:一般的に魔界で魔族の兵士となっている猪人のモンスター、エルフとイノシシの細胞を合成して作られたらしい。
ゴブリン:兵士として使役される小型のモンスター、オーク同様に分裂魔法で増える。
コボルト:2足歩行で武具を扱えるオオカミ、知能は低く喋れないが、魔族が飼いならせば兵士になる。
リザード兵:飼育・訓練されたリザードノイドの兵士。
フード兵:魔力を込めたフードに疑似魔法魂を宿らせた魔法のマントの発展型。浮遊と身軽さが売りで魔導兵と戦士兵がいる。
トロール:タイタン族の亜種、筋肉質で角があるものはオーガ、1つ目はサイクロプスに分類される。
ゾンビ:人間や下級魔族の死体を魔法で操った亡者、使役には司令塔となる死霊術師等が必要。
パンプキンヘッド:顔を刻んだ植物の実の頭部と藁でできた胴体を持つ悪魔製モンスター、ズッキーニやひょうたんバージョンもいる。
栽培人食い花:魔法の首輪を付けられた人食い花、飛び跳ねても割れない植木鉢で育てられ、猟犬のように獲物を追いかける。
悪魔兵:インキュバス、サキュバス等の人型中級悪魔から構成される魔界Cの正規軍。
堕天使:天界を追われた邪悪な天使、魔界の環境によって悪魔と同体質に変化しているが、回復魔法が使えるので、上級魔族からは重宝される。
ガーゴイル:石材や金属の像から作られた魔法生物。
サラマンダー:火山地帯に適応したドラゴン。通常のドラゴンよりブレスが強力。
アイスドラゴン:極寒地域で多くの犠牲を払いながら適応することができた少しレアなドラゴン、氷のブレスを吐く。
暗黒竜:闇に特化したレアなドラゴン、別名カオスドラゴン。光明竜と群れを作って弱点をカバーする。
光明竜:光に特化したドラゴンで別名聖竜、暗黒竜と同時にブレスを放ち敵を倒す。
魔王軍との開戦から間もなく、巨大化怪人の出現により敵側は大損害を被っていた。しかし、時間経過と共に巨大化怪人の稼働時間等の弱点などが露見し、一部の怪人が集中攻撃を受けて撃破されて、盆地を囲んだモット団の防衛網は巨大戦艦でカバーできる南側を除いて突破されつつあった。
北側の魔王軍を指揮する魔大臣タマはモットが使用した攻撃に見覚えがあるらしく、肉食バクテリアが通用しない植物系、魔法生物系のモンスターを増援に差し向けた。
魔大臣タマ「奴の力と似たような魔法だったが、似ていただけにすぎぬか」
魔大臣タマは弓大砲で砲弾を発射してモット団の遠距離部隊に打撃を与えると、転移魔法陣を出現させ、マント兵とパンプキンヘッドの大群を盆地手前の山頂へと一気に送り込んだ。
魔大臣タマ「あのサイボーグリッチと龍族は必ず戻ってくる。その時は必ず全員撃ち抜いてくれよう(我が勇者の力、いや、魔王様との契約の力で)」
援護の為に東側に飛んだモット達はアダマンジャーの猛攻に曝され壊滅した味方部隊を目撃した。防衛網の山脈は既に突破され、アダマンジャーの半数以上は盆地へとなだれ込んでいる。モット達は残存する味方の位置を確認すると急いで加勢した。
そこでは倒れたアダマンジャー歩兵達を即座に回復してくるアダマンジャー宣教師と魔法攻撃を吸収する鎧を着て、宣教師へのマナ供給を行う黒騎士がモット団側を押していた。
モット「あの2人をやる、一気に回復させられたら倒した雑魚でも厄介だ」
マルチダ「了解した」
キメラ「私は雑兵を始末して参ります」
宣教師「先日の拠点強襲では遅れを取りましたが、ここではそう行きませんよ。ホーリーブレス!」
宣教師の攻撃をマルチダに庇ってもらうと、モットは懐中電灯剣で黒騎士へと切りかかった。
黒騎士「無駄だ、我が鎧はドラゴン商社の提供する回転式無作為販売機でSSレアの…」
モット「武器の自慢をする雑魚に用はない」
黒騎士「何だと、骸骨野郎!くらえ妖刀域魔戦+12!」
モット「スパイラルオーラ!」
黒騎士「そんな薄っぺらい魔法、吸収してやる。ぐおっ!鎧が…」
モットはオーラ魔法を黒騎士の鎧の隙間に流し込んで内側から破壊させた。鎧を砕かれた黒騎士はモットの懐中電灯剣で一突きされた。
モット「内側の留め具を頑丈にしておくんだったな!」
宣教師「後で蘇生費用取りますからね。リザ…」
マルチダ「させるか!」
宣教師「邪魔するならこうです。精神勧誘!」
マルチダ「うっ、私に効かないはずの…」
宣教師はマルチダの心を数秒だけ操り動きを止めると、十字の槍で切りつけた。
宣教師「このスキルには多少のバフを込めています。拒絶状態でもならない限り、どんな者でも僅かな時間だけ心を惑わされるのです」
モット「貝殻法師の結界の時と同じ原理か、しかし精神操作なら」
モットは腹部の心の闇増幅回路から怪人素体クリスタルを生成して、宣教師に向かって投げつけた。宣教師はそのクリスタルを粉砕したが、クリスタルに込められていた負の感情が宣教師に纏わりついて精神操作を妨害した。
宣教師「何だこの邪悪な塊は!心身共に蝕まれる…」
モット「本来なら部下の改造素体化に使うが、精神のやり取りをする奴には毒みたいだな」
宣教師「待ってくれ、私はあなた方にとって役に…」
宣教師は吸血バハムートに変身したマルチダによって頭を食いちぎられた。
マルチダ「その黒騎士も食わせてくれ、能力をマネできるかもしれない」
モット「コイツの能力は装備の効果っぽいけどいけるのか」
敵指揮官を討ち取ったモット達は元のサイズに戻ったキメラと共に山脈を下って盆地へと向かった。
その頃、南側を守護するヤマタノオロチは山脈を乗り越えようとする敵にイオンカノンを容赦なく浴びせ、持ち前のイオンシールドも展開して敵の攻撃を阻んだ。
さらに飛行型モンスターはナデシコ達と航空機部隊の連携によって、接近を阻まれている。その様子を見た一部の悪魔兵達は逃げ出していた。
魔将ビスター「コラーッ、逃げるな!」
悪魔兵「ビスター様、我々はどうあがいてもあの巨大な鉄船の守りを突破できません。数で押し寄せても兵の無駄です」
堕天使「先ほど差し向けた飛行悪魔龍騎士団が全滅しました。あの兵器だけでなく、改造を受けたモンスターやメカ娘族も我々より上手です」
魔将ビスター「くそう、こうなったら、タマに擦ってやるしかないではないか」
南側の魔王軍は突如として東側に逸れて移動を開始した。
ナデシコ「どうなってんのよ?」
キャプテングリフォン「至急マルチダ様に通信を、指示を仰ぐ」
東側から盆地に攻め込んだアダマンジャー達を追撃するモット達の所にその知らせが入った。
モット「艦隊を北に誘導させて魔大臣に撃たせる気か。こちらの布陣も再編する必要がある」
モットは現在の戦況を考慮して、敵の勢いが弱っている南側から艦隊を東側に移動させた。また、北と西側の味方に後退を命じて南と東側に向かわせた。
艦隊の到達が確認できた頃、モットは世界樹の実を再び食して巨大化した。その様子を見て、盆地内のジャドプター達は再び歓喜した。
モット「アイツ等一体何なんだ?まあいい、2回目の巨大化でアダマンジャー共を蹂躙する」
マルチダとキメラに援護を任せたモットは目の前の一定範囲から味方に退避命令を出すと、地面から吸い上げた土の塊をアダマンジャー目掛けて投げつけながら盆地の中心部にある世界樹の切株まで移動した。
モット「周囲の味方に通達、聖職者系や光魔法の敵は真っ先に倒せ。あと、できれば倒れた味方の救出も!」
アダマンジャー狙撃手「あの巨大化怪人、我々の砦を襲った人食い土を操っている」
アダマンジャーテイマー「さっきの巨人みたいに弱点を探り集中砲火すればいい。行け、モンスターカプセル!」
敵のテイマーはモットの出した肉食バクテリアに向かってカラフルなモンスター封印カプセルをばら撒いた。そこから現れたのは様々な小型モンスターで、魔法生物系、植物系、霊体系、骨系のモンスターだけが生き延び、その様子を敵狙撃手がテイマーに伝えた。
テイマー「だったら、お前達に決めた、マジックミラー!ドリアード!アイスゴーレム!シルバーベルゼブブ!スカルザウルス!」
狙撃手「それに奴の仲間は光魔法属性を扱う者だけを狙っているみたいだ。全メンバーに骸骨怪人とあの土を光属性で集中砲火させる」
敵に弱点が知れ渡り、モットには弱点の属性魔法が飛んできた。マルチダはそれを庇おうとしたが、テイマーの差し向けたモンスターによって妨害を受けたことによって、巨大化しているモットはダメージを追った。ターンアンデッドも受けたようでダミーリッチの残機が減っていた。
モット「ぐっ!」
マルチダ「もうすぐ、ショットシェラーやサカキの部隊も来る。ここは私達に任せろ」
マルチダはモットを何処かにテレポートさせると吸血バハムートに変身して巨大化した。
テイマー「一回り大きなバハムートじゃねえか、テイムして俺専用の奴隷に変えてやる!」
キメラ「効き捨てならん!」
キメラはテイマーに向かって切りかかったが飛行魔法の使えるテイマーは宙に浮いて避けると、多くのギンバエを従えるシルバーベルゼブブをけしかけた。
キメラ「キサマ…」
テイマー「怖いだろう?俺にはモンスターの恐れているモノが大体分かるんだぜ」
マルチダ「ソイツは私がやる」
マルチダはシルバーベルゼブブにプラズマストームを放ったが、大きなマジックミラーによってその攻撃は反射されて付近で戦うモットソルジャー達に命中した。スカルザウルスは全身から棘を生やしてマルチダを狙った。マルチダはテレポートで回避したが、ドリアードによって移動先を先読みされ、ドライアードによってテレポートしてきたアイスゴーレムのミスリルクローに右の翼を切り裂かれた。
キメラ「マルチダ様!」
その頃、ヤマタノオロチの甲板には飛ばされてきたモットが飛び乗り、巨大化から戻ると部下達に傷を回復させていた。
モット「落ちるかと思ったが、この船が巨大兵器搭載対応でよかった」
その時、モットの端末にジャドプターの護衛統括を任せていた三賢者から、彼等が突然武器を持って戦いに参加を始めたとの報告があった。
モット「いったいどうしたんだ、あれだけ不戦を唱えていたはずなのに」
さらにモットはギルド端末で魔界Cでのギルドチャットである話題が上がっていることに気が付いた。それは魔界C全土で魔族の奴隷達が突如としてハンターギルドへの反抗を始めたという事件だった。
モット「僕等が戦っているのを知って気が変わったのかは知らないが、僕も弱点を恐れてばかりではいかないか」
モットはSPポーションをさらにがぶ飲みすると、ナデシコの部隊を呼び寄せて盆地の中心まで自分を運ばせた。
ナデシコ「ボス重いよ、せめて骨になってよ」
モット「うっかり養分吸収されそうだからな。あ、そうだ、ちょっと部下達に連れてきて欲しい奴がいるんだが…」
苦戦を強いられるマルチダ達の元には先にサカキとショットシェラーが到着して、アダマンジャーの他の幹部達と交戦していた。
キメラ「マルチダ様、今の内に翼の再生を!」
マルチダ「いや、傷口さえ塞げば問題ない。巨大化している間に敵の数を減らす」
ガルド「魔将ビスターが勝手に移動してきたが、そのおかげで西の連中は勢いを取り戻したみたいだな」
アダマンジャーギルドマスターのガルドはアダマンタイトのバトルスーツを身に纏うと、宙に浮かべた金属片を飛ばしてきた。サカキはその攻撃を跳ね返しカマイタチに変えて反撃したが、ガルドに当たる寸前でそのバトルスーツに吸収され無効化している。
サカキ「金属を操るのか?」
ガルド「俺はアダマンタイトを自在に操る超戦士、そして七勇者2人の血を引いていてな」
マルチダ「だったら何なのだ、そのような鎧でも金属の塊ならば」
マルチダは雷を放つオーブと口からの火炎をガルドに向けた。テイマーのモンスターが庇おうとしたが、ガルドは自ら前に出た。攻撃が当たる瞬間、ガルドの背後から燃え盛る溶鉱炉が出現して、電撃と火炎を吸収した。
マルチダ「また、吸収する奴か?」
ガルド「俺の精霊ウルカヌス、コイツは親父の奴隷だったお袋の家系から受け継いだ力、【精霊神使い】だ。俺のアダマンタイト操作の力と合わせれば鍛冶や錬金もできるんだ」
その昔、七勇者のキュリア・キャリアは自らの精神力で神を模した精霊を作り出して、あらゆる魔法攻撃を吸収、炎に変えて返したとされる。
ガルドはウルカヌスと名付けた溶鉱炉型の精霊から青い炎を吐かせた。サカキは水のカマイタチを放ったが、青い炎に蒸発させられた。サカキは避けきれずに左足にやけどを負った。
サカキ「ぐわっ!」
ガルド「どうだ、俺には物理も魔法属性も効かないぞ。そうだ、もう一つお前らに絶望を見せてやる。削ぎ落とし!」
ガルドはマルチダに狙いを定めると、威力の低い無数の波動弾を放った。その攻撃をマナ弾幕で相殺したマルチダは突然、飛行能力を失って、地面に倒れた。
マルチダ「体が重い、早く巨大化と吸血バハムートから戻らなければ…」
ガルド「この力を付与した俺の攻撃は直接受けるだけでなく、魔法や装備で防ごうとも対象に効果を発揮する」
ガルド「親父はマシュラ・アシュラの傍系でな、受け継いだ力は対象の持つ能力一つを封じる【削ぎ落し】だ。同じ相手には一度だが、複数人に使うことはできる。削ぎ落し!」
ガルドは部下の狙撃手と交戦するショットシェラーにも波動弾を放った。ショットシェラーは散弾に変身することが出来なくなり、狙撃手からサンダーショットを受けてダメージを負った。
ショットシェラー「そんなバカなシェラ!」
狙撃手「分裂して回避できなくなれば只の的だ。殺人ロボット」
キメラ「七勇者が何だ、チート能力に頼らねば何も出来ぬくせに」
テイマー「よそ見は禁物だぞ、魔獣金縛り」
キメラはテイマーの放った拘束ワイヤーを受けて動きを封じられた。テイマーの命令でシルバーベルゼブブがキメラを捕食しようとしている。
テイマー「フハハ、お前のような虫にビビる猫野郎はいらねえ、餌で十分だ」
その時、シルバーベルゼブブに闇魔法が命中した。それと同時にモットを乗せたナデシコがレーザーブレードでキメラをワイヤーから解放、他のメカ娘達は負傷した味方をマルチダの周りに移動させた。それを確認するとモットはナデシコから離れて周囲の味方をテラヒールで回復しながら着地した。
ガルドはモットに向かって多数の金属球を放った。そのうちの一つがモットを掠め、モットは何らかの能力を失ったが動じない。
モット?「変身能力をそぎ落とされたか、しかしワイには無意味だ。シャドウミスト!」
モットは黒い霧で姿を消した。するとその場から南寄りの場所に巨大化したモットの怪人体こと邪神大総帥が出現して、他の巨大化怪人達と共に南側の敵に大損害を与えている。
ガルド「どういう事だ、奴の変身能力は無効化したはずだぞ」
モット「うまくいったな、ロドリデゲス」
実は盆地の中心に現れたモットはロドリデゲスに変身させた偽物で、テラヒールはモットの作ったスクロールを直接触れないように地面に投げて使用させていた。また、削ぎ落としを受けたロドリデゲスは黒い霧を放って転移スクロールで離脱しており、ガルドだけでなく味方までも欺かれている。
アダマンジャー呪術師「いくら大きな的とはいえ、巨大化した怪人相手では分が悪いですね、北側への転移ゲートを開きます」
アダマンジャー魔導技師「ガルド様、どうかご無事で!」
巨大化怪人達の攻撃を生き延びた一部のアダマンジャーとハンターギルドは魔王軍の背後へと転移した。モットは残った魔王軍を巨大化怪人達に任せると、リリンダとラビットファイアーを連れて盆地の中心部を向いた。ちょうどその時、ヤマタノオロチのイオンカノンがモットと中心部との間にいる敵部隊を薙ぎ払った。
モット「艦隊も指示どうりやってくれた、火を吸収しろリリンダ、ラビットファイアー」
盆地の中心部ではその様子を見た敵味方が混乱しながらも戦いを再開した。ナデシコはマルチダやキメラの援護に駆け付けた改造魔獣達と共に巨大化をしようとした。
ナデシコ「ハイ、ショットシェラー、ロボ怪人用のビッグリギアよ」
ショットシェラー「断る、私は機械では無いシェラ!」
改造魔獣達「マルチダ様、キメラ様、ここは私達に!命果てるまでご奉仕を!」
機械の腕のゴーゴン、爆弾と合成されたミミック、自力で巨大化できるマシンレーザーを持った緑のタイタンが先に巨大化して北方向から来る魔王軍を蹴散らし始めた。
ナデシコはショットシェラーと何かを言い争った後に1人で巨大化した。回復を済ませたサカキとマルチダとキメラはガルドや他のアダマンジャー達との戦いを再開した。
モットとリリンダとラビットファイアーはマルチダ達に合流すべく盆地の中心部へ向っていた。北から攻め込んできた魔王軍とも戦い、モットの肉食バクテリアが通用しない魔法生物等の軍をリリンダやラビットファイアーが蹴散らし、ヤマタノオロチの艦隊からの援護射撃もあり、中心部まであと少しの距離まで迫った。
リリンダ「総司令官殿、そろそろゲロナイトリュウムエナジーが切れる頃であります」
ラビットファイアー「ワシも禁獣妙薬の効果時間が」
モット「2人は僕の背後に、北からの魔王軍が増えてきたからヤマタノオロチの艦隊も後退させ…」
その時、北方向に出すぎていた飛行艇が突然爆発して墜落を始めた。
モット「どの船だ!?ミッドカットのじいさん達の船か、あれほど前に出るなと言ったのに」
飛行艇を撃墜したのは魔大臣タマであった。その矢は艦隊の周囲を飛び回るモブファイターを4機撃墜して、他の飛行艇を貫いて中破させた。
モット「急いで艦隊に煙幕を張れ!」
モットはギルド端末で支持を出すと矢の飛んできた方向へとダークネスバンを連射して魔大臣の視野を遮った。
魔大臣タマ「時間稼ぎか、無駄だ。テレポート!」
魔大臣は盆地中心部へとテレポートしてマルチダ達の前に現れた。ちょうどその時モットの巨大化が解除された。
モット「ここまでか、マルチダ、戦闘中で悪いが僕を迎えに来い!」
端末から指示を受けたマルチダはモットのいる方向へとテレポートしてモット達を見つけると、世界樹の切株前へのポータルを出現させた。
魔大臣タマ「ビスターの奴が陣を乱したようだが、この私が来た限りここがお前達の墓場だ!」
モット「お前に仲間は撃たせない、僕が相手だ!」
ガルド「確かに魔大臣の旦那が来たからには俺達の勝利は確定だな」
魔大臣タマは周囲に貫通する矢を放って巨大化怪人達にダメージを与えた。キメラは巨大化して怪人達の回復を優先した。
モット「くそーっ、こっちを狙いやがれ!」
魔大臣タマ「お前はそのような姿にもかかわらずに勇者を自称していたな、勇者とは不条理に抗うもの、都合よくこの戦いが進むとでも思ったか?」
モット「だったら貴様を不条理な目に遭わせてやる、殺人泥爆弾!」
モットはアイテムBOXから渇いた泥団子を魔大臣タマに投げつけた。魔大臣タマはその泥団子を光を付与した武器で叩き落として粉砕した。しかしそれは貝殻の粉末が仕組まれたただの泥団子で、魔大臣タマは飛び散った粉末を浴びた。
モット「かかったな、カルシウム吸引!」
魔大臣タマ「ぐおおっ!」
モット「どうだ。ただの貝殻の粉で練習しといて使えるようになったんだ」
魔大臣タマ「今のは久しぶりに効いたぞ、だが、私には契約の力がある」
モットが吸引したはずの骨粉が魔大臣タマへと戻ってゆき回復した。魔大臣タマは複数の矢を放ち、モット、サカキ、ナデシコ、改造魔獣数体にダメージを与えた。
ガルドを相手にしていたサカキは、その際にガルドからの削り取りを受けてしまい、カマイタチが使用不能になってしまった。
また、リリンダは体を属性魔法に変換することでダメージを無効化した。
サカキ「くそっ!」
ナデシコ「植物再生!危なかった」
マルチダ「何だ、この違和感は…」
魔大臣タマ「貫通させても無効な者がいるようだな、ならばオーラアロー!」
今度はオーラを纏った矢が放たれた。リリンダとラビットファイアーが射抜かれて、その場に倒れた。次に魔大臣タマはモットに向けてホーリアローを放とうとした。
しかしその時、マルチダはモットの前へ出ると両手を広げて庇う体制を取った。すると魔大臣タマの動きが止まった。
魔大臣タマ「グググ、撃てぬ、何故だ!?」
マルチダ「今までの攻撃でコイツは私だけを無意識に狙っていないようだった」
マルチダ「(あの矢を受けるんだ私)」
マルチダ「何だ!?」
ガルド「旦那どうしたんだ?ならば俺がこの龍族をやっちまうぜ!」
モット「(やめろーっ!)」
ガルドはアダマンタイトのドリルブレイドを取り出すとマルチダに向かって飛ばしてきた。モットは咄嗟にミスリル球でその攻撃を弾いたがミスリル球は砕け散った。
魔大臣タマ「ええい、今だ、ホーリーアロー!」
魔大臣タマがモットの背後を狙いホーリーアローを放ったその時、狙っていたかのようにマルチダがモットを突き飛ばしてその攻撃を受けた。ホーリーアローはマルチダの属性無効の能力をさらに無効化して右肩を貫通した。そして間もなく魔大臣タマが苦しみだした。
魔大臣タマ「ぐああああ!頭が、体が、割れるように痛い!」
モット「な、何が起きたんだ?」
マルチダ「声が聞こえたんだ。自分の声が、あの矢を受けろってな…」
モットがマルチダを回復している隙に魔大臣タマはもがき苦しみながら何処かへとテレポートした。突然の出来事に唖然とするアダマンジャーや魔王軍にモット団の反撃が始まろうとしていた。
テイムモンスター
マジックミラー:打撃を除くエネルギーを反射する宙に浮く鏡の魔法生物、側面と背面が弱点。
ドリアード:アルラウネより大型で強力な植物系モンスター、再生能力もある。
アイスゴーレム:永久凍土と氷でできたゴーレム、ミスリルの鎧とかぎ爪で武装している。
シルバーベルゼブブ:銀色の昆虫系上級モンスター、特定の属性を跳ね返したり、眷属のギンバエを弾丸のように飛ばす。汚物に目がない。
スカルザウルス:肉食恐竜の化石にドラゴンの魂を憑依させて作られたアンデッド、化石に含まれる魔鉱石とミスリルによってターンアンデッド数発に耐えられる。