生命の穢れ
読んで戴きましたら嬉しいです。
エディーは立ち尽くすグリーンの前に回り込んで肩を掴んだ。
「どう云うこと?
キミは何を知ってるの?
知りたいよ、聞かせて
ボクの事なんだからボクには知る権利がある筈だよ
ボクの知らない、ボクの何を知ってるの? 」
顔を背けるグリーンの顔を覗き込んでエディーは怒鳴った。
「言ってっ!! 」
エディーの剣幕にグリーンは身体をびくんと震わせ上目遣いでエディーの顔色を伺った。
エディーは怖い顔をしてグリーンの目を見据えている。
グリーンは顔を上げ、瞳を震わせてエディーの顔を見詰めていたが、やがて目を伏せ諦めたように話し始めた。
「.......今夜........君は............
酷い喘息の発作に倒れて仮死状態になるんだ
そんな君を見付けたニーナは半狂乱になってお向かいのハザウェイ夫妻に泣き付く
それほど凄い力を持っている教祖様なら息子を生き返らせてくれって...........
果たして教祖がやって来て祈祷を始めると君は息を吹き返してしまう
単なる偶然が教祖の偉大な力の証明になってしまうんだ
カートランド一家は揃って洗礼を受け、一切の財産を『ミラクルアーシティズン《奇跡の人民》』に捧げ、組織の居住区に全員で身を寄せた
そして三年の間にすっかり洗脳されたカートランド一家は狂った教祖の予言でお決まりの集団自殺の犠牲になる....」
エディーは目を見開き、そこに嘘や冗談の欠片を探して、黙ったままグリーンの顔を見詰めた。
だが、グリーンの表情の何処にもその欠片は見当たらなかった。
エディーは表情を険しくして言った。
「そ...........
そんなバカげたこと.........」
エディーは傍の壁を拳で叩いて怒鳴る。
「信じられる訳ないだろ!! 」
エディーはグリーンの胸ぐらを掴んで怒鳴り続けた。
「ボクは家族を心から愛しているし、今の状態にも満足している!
そのボクがパパやママ、ジェシーの人生を変え破滅させるなんて、例え君の言葉でも信じられない!
いい加減なこと言わないでっ!! 」
グリーンは自分の胸ぐらを掴むエディーの拳に手を添え、冷めた表情で言った。
「だけど、真実なんだ
だから僕はその原因を絶とうと、ずっと迷い悩んでいた
君のその喘息は君の生命に降り積もった穢れが引き起こしている
僕が君に口付ける事はその穢れを吸収する.......」
だが興奮し冷静さを失ったエディーにはその言葉は聞こえず、エディーは大声で叫んでグリーンの言葉を遮った。
「出て行ってっ!!
もう、聞きたくない!
キミは誠実じゃない!
キミは嘘つきだよ!
口にするのもおぞましい事平気で言ってのける口唇にキスなんて、とてもできない! 」
「エディー............」
エディーは額に手をあて、感情を抑え静かに言った。
「出て行って
そしてもう二度とボクの前に姿を現さないで」
グリーンは胸ぐらを掴むエディーの手をそっとほどいて顔を背けエディーの横を通り過ぎると、初めて逢った時の様に柔らかな光になって弾け消えた。
エディーは項垂れしばらくそうしていたが、思い付いた様に窓を勢い良く閉じ、カーテンを引いた。
読んで戴き有り難うございます。
いよいよ明日で完結です。
我が家の裏で毎日のように夜鳴き鳥が鳴いていたのです。
きっとあの木で鳴いているんだろうなあと、思っていたのです。
私は毎晩聞こえる夜鳴き鳥の声に安心したり、可愛いなあと喜んでいたのですが、その木がある日斬り倒されてしまいました。
どうやらすぐ傍の家の人がうるさく感じて斬っちゃったみたいです。
一年くらい夜鳴き鳥の声が聞こえなくなったのですが、また最近別の木で鳴くようになりました。
同じ鳥かは解らないですが、うちの裏は夜鳴き鳥には住みやすいのでしょうかね。笑