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知っている声。


「…様。…ー……お嬢様‼︎」


知らない声のはずなのに聞き慣れた声がする。


「…ッ、セーツお嬢様‼︎お目覚めになられたのですね」


そう言いながら、目の前の薄紫色の髪色でクラシカルメイド服に身を包んだお婆さんが、目に涙をためながらこちらに手を伸ばしてきた。


「本当に良かったです。セーツお嬢様……本当に…良かったです……」


「……?」


今私の頬を優しく撫でながら泣いているこのお婆さんは誰なんだろう。セーツお嬢様って私の事を言ってるの?


「お嬢様、本当にお目覚めになられて良かったです。旦那様と奥様、アーダ様もずっと心配なされていたのですよ、今お呼びしますね」


お婆さんはもう一度撫でてから、部屋から出て行ってしまった。


取り敢えず体を起こそうと思ったが、動けない。足や指の先まで鉛が入ったように重くて動けない。

仕方ないので、首が動く範囲で周りを見渡してみた。

真上には、薄ピンク色の布のかかった天井?屋根?みたいなものがある。首を右に傾けると30個以上のピンク色の動物達のぬいぐるみが並んでいる。左に傾けると、少し見辛い位置だが大きな出窓がある。横に括ってあるカーテンはやっぱりピンク色だ。

分かった事はセーツお嬢様と呼ばれる子はピンクが好きだということくらいだ。


ダダダダ、ドン


「セーツ目を覚したのか‼︎」

「セーツ…あぁセーツ」

「セーツ!あぁ神様ありがとう」


遠くの方からすごい音が近づいて来たと思ったら、扉が急に開いてびっくりした。誰だろう、知らないはずの声が3人分聞こえた。


「お嬢様がびっくりされてしまいますよ」


この声はさっきまで私のそばに居た、お婆さんの声だ。という事はさっき聞こえた3人の声は、1番低い声が旦那様、女性らしい素敵な声が奥様、旦那様よりは高いが落ち着く優しい声がアーダ様なのだろうか。


「セーツ……セーツ」


旦那様らしい薄ピンク色の髪をした人がそう言いながら、私を抱きしめた。声や肩が震えている。

抱きしめられた時に体を起こしてくれたので、旦那様らしき人の肩口からお婆さん、奥様らしい人、アーダ様らしい人の顔がよく見える。3人とも泣きながら優しい顔で私をみている。


「……え?」


お婆さんの声を聞いた時から思ってた。ここにいる4人の声は聞いたことがないはずなのに、聞き覚えがある気がする。

何故か凄く安心する気がする。

何でなのか分からなかったけど顔を見た時に分かった。私は彼らの顔を知っている。名前も声も知っている。


「セーツ?セーツどうしたんだ」


体の震えが止まらない。

私を抱きしめていた旦那様……いや、お父様がびっくりした顔をして私の顔を見ている。


「セーツ……大丈夫よ…大丈夫だから」


女性らしい素敵な声に、優しいピンクの髪色のお母様が震えながら私を抱きしめくれた。


「セーツお嬢様、どうされましたか‼︎すぐお医者様をお呼びします」


薄紫色の髪色をしたばぁやが、そう言いながら部屋から飛び出て行ってしまった。


「…セーツ。何処か痛むのかい?お兄様に言ってごらん。」


薄ピンク色の髪を持つお兄様がそう言いながら、私の手を握ってくれた。


「……わ、私は……」


体の震えがさっきよりも酷いし、頭が割れるように痛い。そして視界がだんだん暗く染まって行く。


そこで私の意識は途切れた。

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