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青き狼、胎動...2

年末年始、連続投稿8日目です。

面白いと思っていただければ幸いです。

評価やコメントも頂けると、今後の励みになります。

拙い文章力ですが、引き続き書き続けますので、よろしくお願いします。

<毎週土曜日掲載>


「うっ、ぅぅうん・・・ここは、何処?」


気を失ってたみたい。

たしか、今日はお父さんと村で仕入をして、それから・・・っは!! お父さん! お父さんは何処?! 荷馬車で街へ向かってたら、急に大勢の人に囲まれて、わたしは・・・・・・


どうも硬い地面の上にに寝かされてたようで、半身を起こして辺りを見回すけど暗くてよく見えない。

洞窟、なの? それに・・・何? この生臭い匂いは?

暗闇の中ただ1人の恐怖心を押さえ込み、這うようにして進むと水溜りのようなものに触れた。

でも、触った感触は水とは違い。 ぬるっとしていて、乾きかけの樹液のように粘ついている?


あっ、それよりも、まずは此処を出なくっちゃ。

立ち上がり、壁伝いに歩く。 何処かから、風が吹き込んでる。 風の流れる方向へ向かえば、外に出ることができるはず。

そう思い歩きだすと、壁にも床と同じような、液体が付着していて・・・


「ひぃっ!」


何か柔らかくて、弾力のある生暖かい塊りが、壁にたくさん付着してる。

気持ちが悪いので、余り壁に触れないようにしつつ、ゆっくりと、ゆっくりと歩みを進めていく。

少しずつ暗闇に目が慣れてきて、辺りが少しだけ分かるようになってきた。


何かしら? 床に白いものが、散らばってるようね。

他にも、大きさが大小様々な、塊りが同じように散らばってるみたい。

なんか気味が悪いので、それらには近寄らず出口を目指した。


ふと視線を上げると、青白い光が暗闇の中、そこだけ光を放っていた。

すごく、凄く、冷たい光を湛えて・・・

出口もそっちみたいで、恐怖心に抗いながら、徐々に青い光に近寄っていった。


「ひっ・・・」


光の正体・・・それは、青い毛並みの狼だった。

わたしはその姿を目にした瞬間、暗闇の中ただ1人の恐怖よりも、その狼に魅了されてしまっていた。


「綺麗・・・・・・」


ただ、ただ、その狼を見つめていた。

吸い込まれそうな瞳・・・色は(プルルス)? いえ、(カエルレウム)に見える。

なんて、悲しそうな瞳なの・・・様子も酷く疲れたようで、酷く怯えたようで・・・・・・


わたしは何故か更に近寄り、その狼に向けて手を伸ばしていた。

噛殺されるかも知れないのに、『そうするのがいい』と自然に思えて・・・・・・


「グゥルルルルル・・・」

「ひっ!」


触ろうとすると声を出して威嚇され、その瞬間は怖くて声が出ちゃった。 けど、もう一度手を伸ばした。

触れるとそれは酷く冷たく、生き物の温かさを一切感じさせない。 まるで、何かを拒絶するかのように・・・


「こ、怖くない。 怖くないよ。ね?」


わたしはそのまま、抱きつくように、抱きしめるように、顔を、頬を、手を、体を、埋めていった。

やさしく、優しく、親が子を、慈しむよう、撫でながら・・・


「ほら、怖くない。でしょ?ね?」

「グゥ・・・・・・」


気付くと青い狼はその場に横たわってり、わたしも狼に寄りかかり包まれていた。

変わらず冷たいその体。 でも、わたしを包む1箇所だけ、暖かな温もりに満たされていた。


「クウォゥゥゥウウウウウウッ・・・・・・・・・」


急に一声鳴いたかと思うと、狼の体が光に包まれだした。

突然の事で、何が起きたか分からない。 どうしちゃったの?!

手で目元を覆うけど、目を、開けて、いら、れな、い・・・・


「ううっ・・・・・・」


光が収まってくると、そこには小さい魔物がいた。 体中いたる所に、黒い痣(?)が覆っている。

近づいて触ると薄い膜のようで、剥がれ落ちて消えていった。 何なんだろう?

よく見ると、コボルトのようだ。 神々に妖精として創造され、森で糧を得、人に害を与えず生きるモノ。


「可哀相に、何があったの?」


近寄り、そっと撫でる。


「いきて、いる、の?」


よかった・・・呼吸してる。

突然青い狼が光ったと思ったら、現れたのは森に生きる魔物(コボルト)

何が起きてるの? 在りえない事ばかり、この場所だって、さっきのだって、この子だって・・・

でも、このまま此処に、この子を置いてはいけない。 背負うのは・・・無理ね。

う~ん。 脇に手を入れて、引き摺るくらいならっ! そうやって、出口に向かって進んだ。


「はぁ、はぁ、もぅむりぃ~~~」


何とか、外に出られた。 ああっ、小さいって言っても、もう腕がパンパンよ。

外はもう夜、森の中も真っ暗だ。

月明かりはあるので辺りを見回してみると、地面に毛布が無造作に置かれていた。 誰が使ってたんだろ?

昼間は温かくても夜は冷えるので、目を覚まさない魔物(コボルト)へ掛けてやる。

暖を取りたいけど、火の熾し方知らないし・・・はぁ~、仕方ない。 夜が明けるのを待とう。

横を見ると呼吸が、落ち着いてきてる。 月の光を浴びて、毛並が青色に輝く。 そっと、その毛を手で鋤く。

この毛色は先ほどの狼のよう・・・・・・やっぱりこの子が、あの青い狼なのよ、ね?


そうして夜は深けていき、わたしも少し眠りにおち、て・・・


◆◇


「うっ、ううぅぅん・・・えっ、もう朝!?」


眩しさに目を覚ますと、すでに辺りは明るくなっていた。

いやぁぁあああああああっ! 寝坊したわっ!! お父さんに、怒られるっ!!


「あっ・・・」


辺りを見回すと、洞窟の入り口前の、開けた場所だった。

そうだ。 わたし攫われて、お父さんも・・・


「うっ、ぅう・・・ぐすっ」


泣いちゃダメ! 泣いたら、お父さんが悲しむ。 そうよ!

横を見ると、魔物(コボルト)が静かな寝息を立てていた。


むっ・・・・・・・・・悪戯しよう。

何があったから知らないけど、こんな不幸なわたしがいるのに、ねぇ?

そうと決まれば、えいっ! 鼻の穴を塞ぐ。


「・・・・・・すぴっ」

「・・・・・・・・・むぐぅぅ」


苦しそう、苦しそう。


「むふっ、くすくすくす」


手足がジタバタしてる。


「・・・・・・・・・・・・むぅぅぅっ! ぶはぁっ! はぁはぁはぁはぁ」


顔を、覗き込んで見る。


「起きたかしら? あなた、誰?」


ん? 何だこの少女は? いや、そもそも、ここは何処だ? 俺はいったい・・・


「ねえ、あなた名前あるの? どっから来たの? 家は何処? ねぇねぇ」


いやいやいや、見知らぬところで起きたら、これまた知らない少女の、質問攻めが開始って・・・


「・・・オレ、ジー、ク。 オマ、ナニ? ッ!?」

「あっ、喋った! よかったぁ~。 言葉、通じるよね?ね?」


いや・・・いや、いやいやいやいや、コボルトに戻ってる!? えっ、何で?!

で、この目の前の少女は、魔物の姿の俺に話しかけている?? 意味が分からない。 え?


「ああ、気にしなくていいよ? わたしもある意味で、あなたと同族だから」

「ドウ、ゾク? オマ、チガ」

「ううん。 わたしは小人族(ドワーフ)よ。 名前は、ロヴィーサ。 みんなは、ヴィって呼ぶわ」


小人族(ドワーフ)・・・地上に住む、もう一つの種族。

目の前の少女ヴィは、見た目は人族の少女と変わらない容姿で・・・・・・


「なっ、何よ。 ジロジロと見てって、ちょっと! 今どこ見てたのよ! ねぇ! ちょっとってば!!」

「ン、ナモ、ナイ。 キ、スナ」

「ふん! どうだか、どうせ小さいですよ! べぇ~っだ」


べ、別に変な風に見たつもりは無いんだけど、何か勝手に勘違いして不貞腐れてるな。

いや、それよりも、今のこの現状は・・・


「それよりもあなた、ジークだったかしら? 何か、言うことは無いの?」

「? ナニ、ドタ?」

「ん~~? 覚えてないの? ここまで運ぶの、重かったのにぃ~~~~」


運んだ? どう言う事だ?

いや、それよりも、昨日の事を思い出すほうが先だ。

たしか、薬草採取してたら声が聞こえて、向かってみると盗賊が居たんだよな。

で、行商の男は殺されてしまって、子供が攫われたようだったから、盗賊達の後を追って森へ入ったんだよな。 そうれから、住処らしい洞窟へ着いて、見張りを倒して中へ入って・・・


「ちょっと、なに黙ってるのよ? こんな、いたいけな少女を無視して」

「チョ、ダマ。 オレ、オモ、ダス」

「ひっどぉ~~~いっ! 黙れって言ったでしょ! ねぇ!ねぇってば!」

「ウサッ! ダマ、シズ、スル」

「ぶぅ~~~、ぶぅぶぅ~~~~~~~」


ったく、何なんだよ。

で、中に入って様子を見てたら・・・・・・あぁ~~~、霞がかかって思い出せない。

いやっ! それよりも、盗賊達はどうなったんだ?! ここは、盗賊達の住処の前だよな?


「ふんっ、まあいいわ。 で、あなた!」


腰に手を当てて、ビシッ!っと指を指してくる。


「何か、思い出したの?」

「イヤ、ムリ。 モイ、ダセ、ナイ・・・デモ、ココ、アブ。 ト、ゾク、イル。 キケ、ハヤ、ニゲ」

「盗賊? そんなの中にも、外にも居なかったわよ。でもそう・・・思い出せないのね。 なら、仕方ないわね。 でも、洞窟からあなたを連れ出したのは、わ・た・し!なんですからね。 お礼の一言も、あっていいじゃないかしら?」


盗賊達は居ない? どうしてだ? あんなに沢山いたのに・・・それに洞窟から、連れ出した? 俺は倒れていたのか? う~ん・・・・・・


「また黙って・・・」

「・・ト」

「ん? 何か言った?」

「・・・ァリ、ト」

「え~っと・・・」

「タス、アリト。 オマ、イヤツ!」

「いや、あの、その、べ、べべ、別にいいのよ。 お礼なんて、うん! 困ったときは、お、おお、お互いさまよ! そうよ、そう!」


な、なんなんだ? 経緯は分からないが、助けられたみたいだし、礼を言えと煩いから言ったら、しどろもどろのこの態度・・・・・・分からん。

しかし、このままは意思疎通もそうだが、街へ帰還する事も出来ないからなぁ~。 よしっ・・・


嫉妬(インウィディア)


頭の中で呼びかけると、装身具(呪具)が淡く光る。

頭の中に、選択肢が浮かぶ・・・


人族(男)・人族(女)・灰色狼(ラーウス ルプス)・ゴブリン・オーク・UNKNOWN『地を揺らす者』


ん? なんか選択肢が増えてるけど、最後のってなんだ?? まあ、今はいいか。

選択肢から、”人族(男)”を意識する。 再度、、装身具(呪具)が淡く光る。


「えっ? なに、なんなの? えっ、ええっ!!」


身体に変化が表れ始めるが、それもほんの一瞬の出来事で、戻ったって表現はおかしいけど、今までの容姿には戻れたようだった。


「っ!! あっ、あああっ、あんた、いったい何なのよ!?」

「うん? ああ、すまなかった。 訳があって、今は人の姿を取ってるんだ」

「えっ? あんた、姿を変えれるの?」

「ああ、ちょっとした力があって・・・」

「すっ、すっ」

「ん? どうした? すって・・・」

「すっご-------っい! えっ! なに、どうなってんの? えっ、これ本物? えっ、本物よね?ねぇ? 触った感触は、あたしと同じだわっ!」


いたい、痛いって、こらこら、髪をひっぱるな! ほっぺたを、ひっぱるなって!


「いひゃい、痛いって!」

「ああ、ごめん、ごめん。 興奮しちゃったわ。 えへへへっ」

「はぁ~、まあいいけどな。 俺の正体が魔物でも驚かないし・・・なあ、正体は秘密にしてくれよ?」

「あ、ああ、うん。 それは、いいけど・・・ねえ? あなた、狼になれたりする?」

「ん? 狼って何だ? 力を使えばなれるかも知れんが、今までそんなのになった事ないぞ」

「あ~、ふぅ~ん。 そう、なんだ・・・へぇ~~~」

「なんだよ。 気になる言い方だな」

「いや、いいのいいの、うん。 そっか・・・」

「変な奴だな。 まあそれよりも、俺の服や装備って知らないか?」


何故か毛布一枚を羽織ってるだけで、ここに来る時に身に付けていた服や、装備品一式が今は一切見当たらない。


「えっ、いえ、知らないわ。 洞窟の中で見た時は、もう魔物(コボルト)の姿だったもの」

「そうか・・・理由は分からないが、盗賊は居ないみたいだし、洞窟の中へ探しに行くか」


毛布を腰に巻き、洞窟へ入っていく。


To be continued...

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