討伐...6
年末年始、連続投稿6日目です。
面白いと思っていただければ幸いです。
評価やコメントも頂けると、今後の励みになります。
拙い文章力ですが、引き続き書き続けますので、よろしくお願いします。
<毎週土曜日掲載>
マスタが呼んでる? 何だろと思いつつ個室へ入る。
「来たか、まあ座れ」
促されたので、机を挟んで座る。
「お話しがあると伺いましたが・・・」
「ああ、今回はご苦労だった。 新人としては、十分すぎる働きと聞いている」
「はぁ、必死だっただけで、そんなことは・・・」
「ああ、それはいい。 呼んだのは、ランクの件でだ」
「はあ・・・」
「なんだ? 興味ないか? まあ、どうだろうと構わんがギルマス特権で、お前は今から”Ⅴ:クィーンクェ“だ。 プレートとカードは、今新しいのを渡す。 前のは後で、受付に渡しておけ」
隣に控えていた受付嬢から、新しいプレートと冒険者カードが出される。
はっ? えっ? あの時の? はっ?
いやいやいや、そんなこと言ってましたけど・・・
「まあ、異例だが実力もあるようだし、他の新人共のやっかみ等も捩じ伏せれるだろう」
「・・・」
「まあ、俺の決定に噛みつく馬鹿は、このギルドにはいないだろうがな」
いやいやいや、なに“ニヤッ“って、雰囲気だしてんの?
てか、あれは戦力になりそうだからって、一時的な措置だったんでしょ?ね?
「働き振りからは“Ⅳ:クァットゥオル“にしてもいいが、まあ経験が少ないのでは早死にするだけだしな。 こんな事は今後無いだろうから、じっくりと実力と経験を積んでくれ。 さあて、俺もまだまだやることが多い。 話しは以上だ」
そう言うと、席を立ち出ていった。
って、ちょっと! 言うことだけ言ってって、もう居ないし・・・
なんでこうなった? あれ?
席を立ち部屋を出ると、酒場からブレナンが手招きしていた。
「早かったな。 で、話ってなんだったんだ?」
ニヤニヤして、分かってるんだろうに・・・
「正式に、”Ⅴ:クィーンクェ“になりました」
「おおっ、良かったじゃないか。 ”Ⅶ:セプテム”から一段飛ばしで昇格かぁ~。 こりゃ、話題の新人になるな!」
「からかわないでくれ。 厄介ごとしか、起こるきがしないよ」
「まあまあ、悪い事ばかりじゃないさ。 それより、報酬を別けちまおう」
ああ、そう言えば今回の、討伐報酬がまだだった。
「いいか? いいな? 驚くなよぉ?」
ん? えらく、もったいぶった言い方だな。
そんなに、高額だったのか? まあ、余り期待はしないでおこう。
ドンッ!
以外に大きな袋が、机の上に無造作に出される。
ブレナンが袋の口を開けると、金色と銀色の輝きが覗き見えた。
んんっ?!
「いやぁ~、今回はギルドからの報酬と、領主様からも報酬が出た。 まあ相手が、災害級だったからな。 危険に見合う、十分な報酬だぞ?」
そう言ったブレナンだが、内訳はこうらしい。
当初はギルドも異常事態との認識でも、魔物の異常発生程度と思っていたそうだ。
だが偵察の結果、実際は災害級イムペラートル オルクスを含む集団(軍団)で、放置した場合は街の滅亡も在りえた事態だった。
その事が分かったギルドと領主側は討伐では無く、ある程度の間引きが出来た段階で街を放棄し、全住民の避難準備へ移行していたらしい。(この時、街道側の調査も平行して行われ、かなりの数の旅人や商人が死んでいたそうだ。 どおりであの時、人とすれ違うことが無かった訳だ)
しかし予想に反して、イムペラートル オルクス達は討伐された。(討伐された経緯は、伏せられたらしいけど・・・)
で、当初予定されていた報酬を上積みして、また領主様からも褒賞が出たそうだ。(死亡者も若干出たがそちらは、別途家族へ恩給が出るそうだ。 家族の居ない者は、孤児院へ寄付されるそう)
肝心の報酬だけど・・・
・ギルド報酬 1人当たり
Ⅲ:トレース 金貨2枚
Ⅳ:クァットゥオル 金貨1枚と大銀貨5枚
Ⅴ:クィーンクェ 金貨1枚
Ⅵ:セクス 大銀貨5枚
Ⅶ:セプテム 大銀貨3枚
・領主様からの褒賞
一律 金貨1枚
高いのか安いのか分からないけど、贅沢しなければ金貨1枚で1家族が、一か月暮らしていける額らしいから、破格の報酬と言っていいものだろう。(振舞われた飲食等を考えると、本当に破格な額かも・・・)
で、俺への報酬はギルドと、領主様とで金貨2枚だ。
ブレナンから報酬を受け取るが・・・
「で、今のが臨時を含む今回の報酬だが、更にここに討伐報酬が上乗せされる」
ん? 討伐報酬?
「おっ、不思議そうだな。 今のはまだ参加報酬で、最悪に近い事態への上積み分だ。 で、それ以外に討伐した事への報酬がある」
ほぇ~、あの倒して放置したやつかな?
どうも、あの後”Ⅵ:セクス”や”Ⅶ:セプテム”の後方組みが、昨晩からずっと回収を続けていたらしい。
放置すると、他の獣や魔物を呼び込んだりと、後々に問題になってくるので、全てを回収する必要があったらしい。
で、回収した結果が・・・
・イムペラートル オルクス
・ミーレス オルクス
殆んど消し炭状態で、素材の回収は出来なかったが、特大と大の魔石を回収。
・オルクス
殆んどの素材を回収。(食肉として需要があるそうだ) 中の魔石を回収。
・ミーレス ゴブリン
小の魔石を回収。(一部、マギーア ゴブリンが含まれたが、こちらも消し炭で魔石のみ回収)
・ゴブリン
小の魔石を回収。
と言うことで、それなりに買取価格が付いたそうだ。
で、それを均等に配分することにしたそうで、1人当たり大銀貨3枚が報酬として支払われた。
最終的に俺は金貨2枚と、追加で大銀貨3枚を受け取ったのだった。
一気に、財政問題解決です!
手持ちの資金:金貨2枚、大銀貨3枚、銀貨3枚、大銅貨9枚、銅貨4枚。
改めて貨幣価値を類推すると・・・
・銅貨1枚 = ・・・・・・100円
大銅貨1枚 = ・・・・1,000円(銅貨10枚、鉄貨100枚)
・銀貨1枚 = ・・・10,000円(大銅貨10枚、銅貨100枚)
大銀貨1枚 = ・・100,000円(銀貨10枚、大銅貨100枚)
・金貨1枚 = 1,000,000円(大銀貨10枚、銀貨100枚)
ほぇ~~~、二百万ほどの資金です。 こ、怖い・・・
「報酬は、以上だ。 無駄遣いするなよ?」
子供じゃあるまいし、ってニヤニヤするなっ!
「さって、これでひと段落ついた訳だが、ジーク?お前これからどうする?」
「どうするって、なにがだ?」
「いや、これからも1人で活動するのか? ランクも上がったし、なんなら俺達のところに来ないか? オーロフやスヴェンも同意している」
「ああ、そういうことか。 そうだな・・・それもいいが」
「なんだ? 何か問題でもあるのか?」
「いや、俺は知りたいことがあって旅を続けている。 だから、ずっと此処で冒険者をすることはできない」
「・・・そうか。 目的がある奴を、留めるわけにはいかないな」
「ただ、すぐと言う訳でもないから、少しの間でも構わないか?」
「ふっ、律儀なやつだな。 ああ、構わないさ。 じゃあ、(仮)加入だな。 よろしく頼む」
「ああ、こちらこそ」
こうして俺は、”新しい絆”の一員になった。
その後は今後の予定を簡単に話し、今日はこれで解散ということになった。
忘れずに、”Ⅶ:セプテム”のプレートとカードを、受付に渡しておく。
ギルドを後にしても特にする事が無いので、俺は装備一式を揃えるため商業区へ向かった。
商業区に着くと、商店が所狭しと軒を連ね。 屋台等もあって、一種お祭りの様な雰囲気だ。
資金にも余裕があるので、屋台で買い食いしつつ、宛も無く歩き回った。
そんな時、一つの店が目に留まった。
看板は森と日差しの、差し込む様が描かれ、下に”森の木漏れ日”と書かれていた。
う~ん、何処かで見聞きした気がするけど・・・
まあ、買い物しなければいけないので、その店に入ってみることにした。
「いらっしゃいませ。 本日は何を・・・おや? あなたはたしか」
「ん? あっ、あの時の」
「いやぁ~、無事身分証は、発行できましたか?」
「ええ、お陰さまで、何とか手に入りました」
「それは、ようございました」
そうか、見覚えのある店名だと思ったら、街に来たばかりの時の親切な人の店だった。
そう言えば、店名も聞いた気がする。
「あの時は親切にしていただき、本当にありがとうございました」
「いえいえ、困ったときはお互い様です。 おおっ、ご挨拶がまだでしたな。 わたくし店の主で、コルムと申します。 以後、お見知りおきを」
「ああっ、俺はジークです」
「ジーク様ですね。 で、本日はどのようなご用で」
「様はよしてください。 いえ、冒険者となったので、装備一式を揃えようかと」
「ほぉ~。 冒険者に、それはそれは」
「どういった物があるか、見せていただいても?」
「はい。 では、こちらへどうぞ」
店の中へと案内される。
店自体は細長い作りのようで、入り口付近から中程までは日用品が、その奥はカウンターで仕切られ、従業員が他のお客の会計を行っていた。
う~ん、前世の感覚だと、駄菓子屋(?)って感じかな?
カウンターの仕切りを上げて更に奥へと案内された先には、大小様々な大きさや種類の武器や防具が整然と並べられていた。
ほぇ~~~。 物珍しさからついつい、視線が彼方此方してしまう。
「いかかですか? 用途目的の関係上と値も張りますので、このように店の奥にて取り扱っておりますが、種類・品質共に自信を持って販売しております」
「え、ええ、凄い数ですね。 えっと、触って診ても?」
「はい。 どうぞお持ちいただき、ご自身にあった物をお選びください」
まあ、そんな拘りがあるわけじゃないし、講習の時と同じ長剣と小盾、皮鎧を揃えればいいかな?
剣は適当に手に取りつつ、握りがしっくりくる物を、盾は金属補強された物を、鎧も胸の部分が金属補強された物を選び、傍で待ってくれたコルムさんに値段を確認する。
手持ちが足りなければ、最悪剣だけは購入しよう。
「おお、ご自身にあった、堅実な品をお選びになられましたな」
「いえ、ギルドから借りた際に、使い勝手が良かった物を、選んだだけですよ」
「いえいえ、新人の方々は得てして、背伸びをしたがるものです。 そう言った意味でも、よい品を選ばれてらっしゃる」
「はあ・・・」
「おっと、失礼しました。 ではお支払いですが、剣が大銀貨4枚、盾が大銀貨1枚と銀貨5枚、鎧が大銀貨3枚。 全て併せまして、大銀貨8枚・銀貨5枚でございます」
ほっ、なんとか足りた。 代金を支払い、手持ちを差し引きすると・・・
手持ちの資金:金貨1枚、大銀貨5枚、銀貨8枚、大銅貨8枚、銅貨2枚。(途中の買い食いで、大銅貨1枚と銅貨2枚も・・・)
支払いを済ませ、品物を受け取る。
「本日はお買い上げ、ありがとうございました」
「いえ、こちらこそ、ありがとうございます」
「装備品は、身に付けていかれますか?」
「そうですね。 持つにしても嵩張るので、そうさせていただきます」
身に付けたことがあるので、時間を掛けず手早く身に付けていく。
「本日出会ったのも、何かのご縁でございます。 次回お立ち寄りの際は、装備品の調整は割引いたしますので、また当店を御贔屓の程お願いいたします」
「ああ、はい。 その時は、此方こそお願いします」
うん。 いい買い物が出来た。 これで、一端の冒険者かな?
さて、明日以降の予定は決まってないし、今日は早めに宿で休んでから、早めにギルドで依頼を探すか。
取りあえず、”新しい絆”としての活動は、直ぐの事でもないし。
To be continued...
『面白い』『続きが』『頑張れ』と思って頂けた方、最新ページから評価をいただけると・・・。
よろしくお願いします。




