始まり...2
はじめまして、ifと申します。
人生初めての連載投稿です。
ある思いで書き始めた話ですが、面白いと思っていただければ幸いです。
仕事しながらなので、毎週土曜日に掲載します。(最初の一週間は、毎日掲載します)
よろしくお願いします。
◆◇
・・・・・・ッ!
「くくくっ。 やあ! お目覚めかい?」
「どうだった? 愉しかった? 思い出した? ふふっ」
「いや~~、君面白いね~~。 異世界からの、転生者だったのか~~」
!?
コイツ何を言ってるんだ・・・転生?
つっ! 頭が割れるように痛い・・・さっきの光景はいったい・・・
「ウゥゥゥゥゥ・・・・・・ッ」
「ああ、そう簡単には、受入れられないか。 くくくっ」
「転生前の記憶が流れ込んで・・・いや、思い出していて、今の記憶と混じりあおうとしてるんだから」
「さて、今の君の身体を見てごらん。 魔物(?)では無いよね? ふふっ」
・・・身体を見ろだと?
・・・・・・っ!
なっ!なんだっ! どうしたんだコレは!?
人族の手・・・だと!?
触ってみると、顔も、体も、村を襲った奴等と、同じだと・・・っ!
何が、何が起こってるんだ!?
「オマ、ナニシタ! モト、モドス!」
「ははっ、何もしてないさ。 それは君の、もう1つの姿、だよ?」
「まあ、正確には、魂の・・・かな? ふふっ」
「グッ、グアァァァァッ!!」
あっ、頭がぁぁぁっ・・・・・・
「ハァハァハァッ、ウゥゥゥ・・・・・・」
さっきの光景以外に、色々な光景が流れ込んでくる?
「アぁァ~~~~っ!!」
懐かしい光景、懐かし思い出、懐かし気持ち・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
そうか、そうなんだ。
あの時やっぱり・・・ようやく、思い出した。
そして・・・今までの事も。
「おレは、てんセイ?シタのカ。 コこハ、いセカイなノカ!?」
「パチパチパチ~~! ご名答~~!!」
「いや~~、以外に順応早いね~~。あははははっ」
「そう! 君は、この世界に転生したのさ」
「・・・あア、ワかっタ。 デ、オマえハ、ナンなンだ」
「ん? さっき言ったけど~~、神ってところかな~~? あはっ」
「チャんと、こタエろ」
「う~~ん。 まあ、いいや! ところで君~~、僕と契約しないかい? 君がここに来たのは、偶然ではないようだしね~~。」
「ケいやク?」
「そう! け・い・や・く!」
◆◇
「そう! け・い・や・く!」
「・・・・・・」
”ナニカ”は一人で、饒舌に語り掛けてくる。
そもそも、コイツはなんなんだ?
広いのか狭いのか全く距離感の掴めないこの白い空間に、人(?)の様なおぼろげな輪郭で存在している・・・。
顔の部分は耳目が無く、大きな口だけがある・・・一種異様な・・・
本当に、この世界の神・・・なのか?
「・・・・・・・・・でね! 僕はねぇ~~、この空間に閉じ込め・・・いや!囚われてるんだぁ~~。で、ここから出るために、君に手伝って欲しいんだよぉ~~。しくしくしく」
「・・・・・・」
「やだなぁ~~、黙っちゃって~~。 ほらほら、ちゃちゃっと済ませちゃお? ねねっ!」
「悪いようにはしないからさ~。たのむよ~、お・ね・が・い!」
・・・ナンなんだコイツは? 最初からやけに、馴れ馴れしいと言うか・・・
それよりも、さっきの光景から転生してる事実は、理解しつつある・・・が、コイツ今ぽろっと何と言った?
『閉じ込められている?』
神と言っていたのに・・・・・・?
「あれ~~? どうしたのかな~~? ふふっ」
「まあ、此方からお願いしてるんだから、君の望みが叶うようにちょ~~っと、力を与えるってのでどうかな?」
「悪い話じゃないと思うよ~~? 何せ、僕の”力”の一部だからね! ふふっ」
!? 望み・・・何のことだ?
「おや? 分かって無いって感じかな~~?」
「君の体験は見させてもらったけど~~、君の集落を、友人を、家族を、妹を殺した人間達に、復讐・・・したくないかい? くくくっ」
「ほ~ら、ほらほら~。もう一度、思い出してごらんよ~」
・・・っ! 殺されたっ!!
そうだっ・・・小さいながらも幸せに過ごしていたのに、まるで遊びのように、仲間の、家族の、命を刈り取っていった奴等!
命ごいもしたのに、幼い妹を目の前で・・・っ!!
「グゥゥゥッ・・・、グアァァァァッ!!」
”ナニカ”に導かれるままに、溢れ出る涙と共に黒い感情が、気持ちを!思考を!塗り潰していく・・・・・・
『にぃ~~』
「ははっ、さあさあ! 思い出したようだし、どうだい? 契約してくれるよね! ねっ!」
「善は急げだ! さあ、゛コレ゛を受入れるんだ。」
何処からか”ナニカ”が、闇紫色の塊を取り出し、それを差し出している。
あの穴で見た物に似ているが・・・その禍々しさは似て非なるものだ。
・・・っ! だっ、駄目だ! 頭の隅で、本能的に警鐘が鳴っている。
゛ソレ゛を、受け取っては駄目だと・・・転生前の自分が叫んでいる。
だが、黒い感情が邪魔をして、何も考える事が出来ない・・・差し出されるまま、゛ソレ゛を受け取ってしまった。
『にやっ』
「・・・ッ!! ガアァァァッ!!」
なんだっ! 何が起こってるんだ!?
受け取った瞬間に、黒い力の奔流が駆け巡り、かっ、身体が・・・・・・裂けるっ!?
「グッ、グアァァァァ! ガアァァ、アァァァッ!!」
身体中を掻き毟りながら床を転がり回るが、尋常では無い痛みに意識が飛びそうになる・・・
あまりの苦痛に爪が食い込み、鮮血が転がる都度に周りを濡らす。
「グゥゥゥッ、アァァァッ・・・アァァァァァァァッ!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
どれ位経ったんだろう・・・?
何時間、何日、何週間・・・いや、数分、数秒かも知れない・・・
いつ終わるとも分からない痛みの中、気付けば感じていた痛みは無く、先程から居る静謐な空間に蹲っていた。
あれ程に暴れた感情は、驚くことに静かに凪いでいた。
そして、奥底から感じるこの・・・
「どうだい? 力を手に入れた感想は?」
!! そうだった、この”ナニカ”に・・・
「うんうん、上手く受入れてくれたみたいだね! ほらほら、自分の手を見てごらん? ふふっ」
・・・手を見るだと?
っ!!
何だこの痣のような紋様は・・・右手の甲だけじゃない。 左手にも、胸、腹、両足にも、それぞれ違う紋様の痣がある。
これは一体・・・
「そう! その痣が、契約の証しさ! 良いだろ? カッコ良くない? ふふふっ」
「君には、僕の望み、君の望みを叶える為に、7つの権能を与えてあげたよ」
傲慢
嫉妬
憤怒
怠惰
強欲
暴食
色欲
「さて! 契約も無事終了出来たし、もっと色々話してあげたいけど、これ以上は此処に留めて置けないんだ」
『そろそろ彼奴にバレちゃうしね』
「では、名残惜しいけど、お別れの時間で良いかな? かなかな?」
「囚われの身としては、頻ぱんに連絡は出来ないけど、契約を履行してもらうためにも、不定期だけど何らかの形でまた呼ぶからね~~。 あはははははっ」
「まあ、与えた”権能”に関しては、向こうに戻れば理解出来るから! 心配しないでね~~」
まっ、待ってくれ。 この”力”や”契約”に関して、まだ聞きたい事があるんだ。
「マッ、マダ!」
言うことだけ言って、”ナニカ”の存在がだんだん遠くなり、来た時と同じく意識を失った・・・
◆◇
「っンん。 こコハ・・・」
ピチャン・・・・・・
ピチャン・・・・・・
戻ってきた(?)ようだ・・・
アレは一体・・・なんだったんだ・・・
虚ろげな意識が覚醒しつつ、周りを見回してみるが、まだ外は暗いままだ・・・
意識を失ってからそれ程、時間は経過していないようだ。
夢を見ていたんだろうか・・・不思議な空間と、感覚だった・・・
考えてみても答えがある訳でもなく・・・疲労が色濃いように感じられる中、あの出来事から『悪い夢を見たんだ』と、そう思う事にし今は身体を休めようと、意識を手放しかけ・・・・・・っ!
突然、身体の一部が暗闇の中、怪しく闇紫色に光を放ち始めた。
「コれハッ!?」
身体に浮き上がる様々な紋様の痣・・・夢っ、じゃ・・・ないっ!
”力” ”契約”
あの時”ナニカ”が言っていた事は事実・・・だったと?
・・・自分は異世界に転生した?
しかし、先程体験が夢でなく現実でなければ・・・そうでなければ、この状況の説明が出来ないっ・・・
「グゥゥゥゥッ、アタまガ・・・いシキが、こンドうすル」
『憤怒』
「アァァァッ! ニク、いぃぃぃ、ユル、さナイィィィ、グゥゥゥッ」
額の痣が強く、光を放っていた・・・
感情が制御出来ない・・・あの時の黒い感情が、溢れ出ようとする!
「ガァァァッ! ハァハァハァ・・・」
『モヤセ、もやせ、燃やせ、オノガ、おのが、己が』
『イカレ、いかれ、怒れ、ココロヲ、こころを、心を』
『コロセ、ころせ、殺せ、スベテヲ、すべてを、全てを』
『ホロボセ、ほろぼせ、滅ぼせ、カミヲ、かみを、神をっ!!』
”ナニカ”が頭の中で荒れ狂う、焦燥、叫び、混迷、恨み、呪い、焦れ、執着、そして・・・
駄目だ! 駄目だ駄目だ駄目だっ、それは駄目だっ!!
溢れ出ようとしている”ナニカ”、だが・・・身体に限界がきたせいか徐々に、その光も勢いを落ち着かせていき・・・・・・
「ハァ~、ハァッ~~・・・ヒューッ、カフッ」
「ガフッ、ゴホッゴボッ、ヒュー、ヒュー・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
”ナニカ”が言った転生の事実や”契約”、突然の激しい憤怒と共に沈んでいく意識の中では、上手く整理できる訳もなく・・・薄れゆく意識の中で今はゆっくり、や、す、も・・・身体が欲する睡魔に飲み込まれつつ・・・わたしは、深い眠りに落ちていった。
そう、全ては明日から・・・・・・
この時わたしは、今一度死すべきだったのかも知れない・・・望まない死から、新たに得た生だったというのに・・・・・・
『くくくくくっ、今はゆっくりおやすみ~。 君には、大いに期待しているよ~』
『奴等め、精々今のうちに、我が世の春を謳歌しているが良い! はははははははっ』
『あはははははははははっ・・・・・・』
to be continued...