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始まり...1

はじめまして、ifと申します。

人生初めての連載投稿です。

ある思いで書き始めた話ですが、面白いと思っていただければ幸いです。

仕事しながらなので、毎週土曜日に掲載します。(最初の一週間は、毎日掲載します)

よろしくお願いします。

◆◇



「ハァハァハァ・・・・・・」


何も分からない・・・

形振り構わず森の中を走り続け、何昼夜過ぎただろう・・・・・・

道なき道を走ったせいで、身体中傷だらけだがそれでも走り続けた。


あの光景から、兎に角逃げたかった・・・

あの場所から、兎に角逃げたかった・・・

あの人間から、兎に角にげたかった・・・




◆◇




そう、何時もと変わらない。何時も通りの朝・・・

何の前触れもなく、奴等は突然表れ・・・そして、殺戮が始まった。


平和だった集落、朝挨拶した隣人、冗談を交わした友人。

そして、家族だったナニカ・・・・・・?


「ギャァァァッ! ニッ、ニゲッ!」

「ヒィーッ! ドコッ!ニゲ・・・ギィイイイイ」


ナンだコレは・・・何故? 集落全体が、家が、仲間が燃え、倒れ死・・・殺されている!?

ナンなんだ? 何が起こっているんだ?


狩を終え戻る途中、煙と叫び声が遠く聴こえた。

何故か胸の中を一抹の不安が這い上がり、集落を目指しその足を速める事にした。

急いだ事もあり、普段の半分程度の時間で到着し、た、が・・・森を抜けた先に広がっていた光景は、いつも見慣れたのどかな風景では無く、いたる所に仲間が倒れ伏し、炎が立ち上がっていた・・・


呆然と立ち尽くす中、動く気配を感じ咄嗟に、近くの茂みに身を伏せた。

近づく何かを確認しようと、息を殺し注意深く見据えていると・・・・・・人族!?

ナゼ人族が集落に?

混乱し逸る気持ちを抑えつつ、狩の時と同じように息を殺しつつ待った。


集落の中に、男(?)と女(?)の人族・・・いやっ! 他にも複数居る!?

奴等は回りを警戒しつつも、徐々に一箇所に集まり何か話している。


「アハハハハッ、弱いな~~コイツら~~? こんなのが、本当に脅威なのか~~?」

「そうです。放置すれば、何れ人里を襲います。 魔物と言う存在は、そういう物なのです」

「ふ~~ん。そっか、分かった。俺達はコイツ等を討伐しつつ、力を付けていけばいい!?」

「!っと、っぶないな~。よっと」


『グギィイイイイイイ・・・・・・』


「弱いくせに、不意打ちとかって・・・どうなの?」

「相手は魔物。狡賢く、狡猾ですので、最弱とはいえども・・・」

「あっ、ごめんごめん。ちょ~っと油断しちゃったよ。気をつけるね」

「にしても、護衛の騎士2人と、魔術師の君だけでも、十分討伐できるんじゃね?」

「はい。討伐は可能ですが、そもそも経験を積んでいただく事が目的で・・・」

「ああっ! そういえば、そんな事言ってたな~。ははっ」


くっ、仲間が簡単に殺された・・・殺したってのに、何故愉しげなんだ!?

いったい、俺達が何をしたと言うんだ?

憤りは強いが、奴等は危険だ。

他に生き残っている仲間を見つけて、ココから離れる事を優先しよう。

後のことを考えるのは、それからで良いはずだ・・・っ!


奴等の近くの物陰に、何かが蹲っているのが見える。

・・・!! いっ、妹だ。妹が生きてる!

妹が居る場所は死角になって、話に夢中の奴等には、まだ気付かれていない。


・・・大丈夫だ。

狩猟の時と同じように、気配を殺して廻りこめば、妹を助けられる!






◆◇






「ハァハァハァ・・・・・・」



もう限界を越えたのは分かっているのに、身体も意識も休む事を許してはくれなかった。

いや、意識を手離すのが怖いだけだ・・・・・・



「ハァハァハァ・・・・・・」



だが、限界だった・・・


プツッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


































「ウッ・・・、ウウッ・・・・・・」


ここは、何処だ・・・身体はうまく動かない・・・

目だけ動かして、回りを見てみると・・・森の中の茂みに、居るみたいだ。

木々や葉の隙間から、陽射しが差してる。 今は昼前か、過ぎた辺りだろうか・・・?

意識がだんだんとはっきりしてくる中、身体中が熱を持ってるように疼いて痛い・・・



「ウウッ・・・・・・」



まずは、身体を起こそう。

痛む身体を引きずりながら、近くの若木を背に寄りかかった。

落ち着いて耳を澄ませば、少し離れたところから、水が流れる音がする・・・

なんとか這うよに起き出し、音のする方へ向かっって行った。


ズルッ、ズリィッ・・・ハァハァ・・・

ガサッ、ガサガサッ・・・ハァハァ・・・


あっ、あった。水だ・・・っ!

水辺に辿り着き、蹲るようにして、水に手を伸ばした・・・

伸ばした手をよく見ると、至る所で血がこびり付き固まっていた。

何も気にせず走ったため、木々の枝葉等で傷つけてしまったようだ・・・

その為か、今は喉が乾いてる。


「ハァハァハァ・・・・・・」


浅い流れのようだ・・・


バシャッ、バシャバシャッ!


「ゴッゴッゴッゴッ・・・・・・ッ、プハッ!」


手で掬うことは諦め、顔を突っ込んで水を飲んだ。


「ハァハァハァ・・・・・・」


渇きを潤したことで、気持ちが少し落ち着いてきた・・・・・・

傷む身体を起こし、周囲に目をやる。

・・・と、近くに湧き水を持つ、小さな沢のようだ。

更に周りを見ると、少し離れた所に・・・小さな穴(?)が見えた。

丈の高い草があり、よく見なければ分からないだろう。


ただ、此処の光景は、見たことがある気がしたが・・・一先ず身体を休める場所が欲しかった。

痛む身体を引きずりつつ歩き、草を掻き分けなんとか穴へ向かった。

そして、たどり着いた瞬間、安堵と疲労からか・・・また、気を失った・・・・・・・・・











ピチャン・・・・・・











ピチャン・・・・・・










「ッ! ウッ、ウゥッ・・・・・・」




どれぐらい、気を失っていたんだろうか・・・・・・

穴の入り口部分に目を向けたが、外は既に陽射しは無く・・・夜のようだ。

意識は戻ったが、今の状態では・・・まともに動けない。

外に出れば、熊や狼等の獣の餌食になるだけだ・・・

もう、少し、だ、け、休も、う・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ッ・・・


離しそうになる意識の隅で、穴の奥で何かが・・・僅かに光った気がした。


何故か分らないが、身体が痛むのも構わず、その光に誘われるように、近づいて行っていた。

近づいてみると・・・それは、闇紫色に光を放っていた。

闇紫の”ナニカ”の周囲は、禍禍しいと感じるほどに、濃い気配を放っていた・・・・・・

普通なら手を伸ばそうとは思わないが、この時はただ月光に向かう羽虫のように、誘われるままに其れを掴んでしまっていた・・・・・・



そう、後に後悔する事になるとは知らずに・・・ 






・・・・・・・・・・・・






「・・・・・・ッ!」


何処だ? 何が起こったんだ?

”ナニカ”を掴んだ瞬間、意識が吸い込まれる感覚があった後、気を失ってしまったようだ。

・・・其れにしても、ここは何処だ?

さっきまでは、薄暗い穴に居たはずだ。

でも此処は・・・何もない。 ただ、白い空間が広がっている。

いや、何かある・・・? 四角い・・・台座?


恐る恐る近づいて見ると、その台座には”ナニカ”が座っていた。



「やあ!」



ビクッ!


・・・・・・・・・・・・



その”ナニカ”は、話しかけてきた。


「はははっ、そう身構えないでよ~~。でも、此処にお客は初めてだな~~」


話しかけられ、反射的に問いかけていた。


「グルルゥゥ、、、オマ、ナンダ」


「僕かい? う~~ん、神かな~~? クスクスクス」


「ギィィ、、、キイタ、コタル。 オマ、ナニ」


「まあまあ、いいじゃない。僕のことなんて~~。くくくっ」

「さあ、話をしよう。 まず、何からが良いかな~~」

「うん、じゃあ! 君のその面白い魂からってのはどうかな? クスクス」

「っ!」


”ナニカ”がそう言った瞬間、気づいた時と同じように、意識がまた吸い込まれていった・・・。







◆◇






ジリィリィリィ、、、、、、!


っ! 目覚ましの音が鳴り響く、、、


「ふぁ~~あ、あぁぁっ! んん~~っ! はぁ、朝か~~」


盛大に伸びをしつつ、溜息を溢してしまう。

社会人になってから過ごす、何時もと変わらない平凡な1日。

それが、また始まるのだ。


わたし(河野 秋拡(アキヒロ))は、所謂バツいちの自由気ままな独身貴族だ。

子供も2人居るが・・・妻が引き取っているので、年に何回かしか会ってはいない。

両親と妹もいて健在だが、そちらとも疎遠になって久しい。


これと言った趣味や特技も無いので、学生時代から1人も友達は居ないし、会社でも中間管理職の立場上、上からも下からも突き上げられ、うだつの上がらない人種と言うヤツだ。


「さってと、風呂に入って目を覚ましてきますかっ、とととっ、、、!」



ガタガタッ、ドサドサドサッ・・・・・・・・・



ベッド脇にうず高く積んだ本に、起き抜けの寝ぼけたまま躓いてしまった。


「ってて~~、朝からもうっ!」


と、独り愚痴るのも今更だ。


趣味は無いと言いながらも、子供の頃から読書だけは好きで、ジャンル問わずに読み更けっていた。

片付けベタの結果が、この様だ・・・また、適当に積上げ、風呂に向かう。


「んん? 6時かぁ~、急がないとな~~」


目を覚ますだけなので、簡単にシャワーで済ませ、洗面台で身だしなみを整える。

一通り終え準備を終え、アイロンを掛けることも無く、ハンガーに掛かったままの、皺皺のワイシャツに袖を通し、最低限の荷物と身仕度を整えて家を出た。


・・・そう、いつも通りに。


朝食はコンビニで済ませるか等と考えつつ、”ぼーっ”としながらバスが来るのを待っていた。

この何でもない時間も、いつも通りに過ぎている中・・・・・・


ふと時刻を確認すると、すでに7時半を回ってる。


「うん? 今日はいつもより、到着が遅いな~~」

「キキィーーーーーーーッ!」

「ん!?」


唐突に車が急ハンドルを切る音がし、その音の方へ周りの人達と共に振り向くと、一台の車が蛇行しながら猛スピードで、此方に向かって来ているところだった。

明らかに、異常な運転だ。


車の進行方向はちょうど信号が変わり赤で、歩行者が横断歩道を渡り始めたばかりだった。

その歩行者の先頭には、小学校低学年の子供がおり、向かってくる車の正面に来つつあった。



「っつ!」



周りの大人達はまだ事態が飲み込めず、其々に距離を取って向かってくる車を、避けようとしているばかりだった。

わたしはそれを見た瞬間、横断歩道へ向かって走り出していた。

運動ベタでそれ程足も速く無く、”ヒーロー”って柄でもないのに、何故か見た瞬間に走り出してい

た。

多分・・・たまにしか会えない我が子に、その姿が重なったんだろうか?



「間に合えーーーーーーーーーーーーっ!」


「っし!」


なんとか、間に合った! やれば、出来るもんだ。

辿り着いた瞬間に子供の脇に手をいれ、背後の歩道へ向けて力一杯に放り投げたっ!

投げた瞬間に子供と目があった・・・ビックリしてるな~~。


『もう、大丈夫だよ?』


何となく、ぎこちない微笑が出たと思う。


近くに居た大人達が、子供に駆け寄るのが一瞬見えた。

そして振り向くと、車はもう目の前だった・・・・・・



キィイイイイッ・・・・・・ドンッ!!



勢いよく飛ばされながら、意識はゆっくりと流れていった・・・・・・・・・・・・・・


ああっ、堪らないような・・・それでも、ある程度は満足した人生だったかな~~


そして、わたしは意識を失った・・・・・・


To be continued...

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