プロローグ
感想等は受け付け無しにします。
何か御用があればメッセージや活動報告からお願い致します。
1月27日・更新再開したのでついでに感想の受付開始します
よいしょ。
適当に落ちている少し太めな木の棒、それに白い風呂敷にこれからの必需品を入れて結ぶ。
小さな水を入れる瓶、僅かな薬草。
小さい風呂敷にはそれしか入らなかった。ただ今の自分にとってはこれしか入らない。
「もう行くのか?」
大きな大きな城の中で、準備をしていた俺にそこの主である魔王は膝を折り、自分に尋ねた。
ピキ!
ぷにぷにの身体で鳴き声をだす。声は出せるが、それだけで十分。
今にとって声はコミュニケーションを取るだけのものとなったのだ。
「今のご時世、スライム1匹では辛いのではないか?元とはいえ同族に狙われ、命を落とす事もあるかもしれない」
魔王は人間の事を言っているのだろう。
元々俺は人間だった。それどころか、魔王討伐という勇者一行の仲間であったが、仲間の姿や生活に絶望して俺は人間をやめる事を決意した。
黒く丸いプルプルから目と口を開いて答える。
「大丈夫です。魔法から戦闘術まで色々鍛えていたので、先程魔法がいつも通り出来る事も確認しました」
「貴殿が魔王軍に入る器をもっているだろう。しかし、他の魔物がそれじゃ納得しなくてな。力になれなくてすまない」
「いえいえ、元人間の俺にここまでしてもらって、頭が上がりません」
ぷにぷにな体の小さなトサカを垂らしてお辞儀の振りをする。
「これからどうするのだ?」
「旅に、北のアマルデラ平原を通ってハイエナ森林の中にあるセイレン湖へ。そこにあると言われてる絶景を見に行きます」
そう答えつつ黒い自分の体に先程の棒を刺して、魔王の方へ向き直る。
昔から旅は好きだった。
本来、勇者との旅に出た理由も各地の景色を見たかったから。
「旅が好きで、命ある時まで旅をしたかったのですが、目的の相違で中途半端になりました。それに魔物身体にしてもらい、老いを感じる事無く旅が出来るのは魔王様のおかげです」
「礼の代わりにといってはなんだが……その、名前で呼んでくれぬか?」
「はい?ええっと、マルキデス様でいいですか?」
「様も構わない。我らの軍に属している訳ではないのでな」
「マルキデス、さん。それではまた何処かで」
再びトサカを下げ、城の城門を開けてもらって外へ跳ねながら飛び出した。
「行っちゃいましたね」
「ベリアルか、そうだな」
「あの方を入れなくてよかったのでしょうか?下手をすれば人間共を一掃する兵力に相当する戦力になるでしょうに」
「1つ聞いてもいいか?」
「なんでしょうか」
「儂もたb……「ダメです」」
「そう言わ……「ダメです」」