表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/99

71

世界が震えている。


まるで、私の決断を待っているかのように。


亀裂は光を放ちながら、地面を這うように広がり、境界が曖昧になっていく。

ここはどこなのか。私は誰なのか。

いや、それすらも今となっては意味のない問いなのかもしれない。


シラーチルが私を見つめている。


「お前は、答えを見つけたのか?」



その問いが、意識の奥深くへと沈み込んでいく。


——私は答えを見つけたのか?


「……わからない」


その言葉を口にした瞬間、シラーチルの微笑が、ほんのわずかに歪んだように見えた。


「そうか」


「お前がわからぬというのなら、私にもわからぬのだろうな」


彼はゆっくりと目を閉じる。


風が吹いた。

重く、湿った風。

まるで、世界の底から立ち昇るため息のような、深い風だった。



私は、ずっと見ていた。


遠い城から、人間の営みを。

彼らの愛を、憎しみを、絶望を、希望を。


何度も自問した。

なぜ彼らはこんなにも愚かなのか。

なぜ彼らはこんなにも愛おしいのか。


その答えを知りたくて、私は人間として生きることを選んだ。


そして——


今、私はここにいる。



「創造主」


リーモアが、静かに私を呼ぶ。


私は顔を上げた。


彼は、ゆっくりと近づいてくる。


「君が求めた答えは、きっとすでに君の中にある」


その言葉に、私は息を呑んだ。


答えは——


すでに、私の中に?



シラーチルが手を伸ばす。


「お前が選ぶのだ」


その指先が、私の額に触れようとした——


その瞬間。


世界が、弾けた。


光と闇が混ざり合い、すべてが溶け合うように揺らぐ。

私は、意識の奥へと引きずり込まれていった。


——私は。


——私は、何を選ぶ?



そして、私は目を開けた。


そこには——


新たな世界の始まりか。世界の終焉か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ