表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/99

66

光が渦を巻く。


目を細めると、そこには白一色の世界が広がっていた。天井も、壁も、床も、すべてが光を孕んだ白。境界が曖昧で、どこまでが地面でどこからが空なのか、すぐには分からなかった。


リーモアは、何もかも知っているような顔で静かに微笑んでいた。


「ここは?」


「君が歩むべき最後の道の入口さ」


リーモアはゆっくりと歩き出す。彼の足元にだけ、淡い影が落ちる。それがなぜか、とても不思議に思えた。


——影がある。


それはつまり、光があるということ。


ならば、この世界の光はどこから生まれているのか?


「……リーモア」


「なんだい?」


「この光の正体は?」


リーモアは少しだけ足を止め、振り返った。


「それはね——君自身の記憶だよ」



記憶?


思わず足元を見つめる。


白い床。


白い壁。


だが、目を凝らしてみれば、そこにはかすかに揺らめく何かがあった。水面のように、触れれば波紋を広げそうな、淡い揺らぎ。


——記憶。


「君が歩んできた道、見てきた景色、感じた想い……そのすべてが、この世界を形作っている」


リーモアの言葉に、息を呑む。


今までのすべてが、ここに集約されている?


「だからこそ、君はここで選ばなければならない」


「……選ぶ?」


「そう。君が、何を見て、何を感じて、何を願うのか——その答えを」




ふと、視界の片隅に変化が生じた。


——闇。


真っ白な世界に、ぽつんと小さな影が落ちる。


それは、最初はただの影にすぎなかった。だが、ゆっくりと、それは形を持ち始める。


「……これは?」


リーモアは、目を細めた。


「君の内にある、もう一つの可能性」


影は、ゆらゆらと揺れる。


まるで問いかけるように。


まるで待ち望んでいるように。


「君は、この世界をどうしたい?」


リーモアの声が、静かに響く。


——どうしたい?


この世界を?


この、すべての始まりと終わりを?



思考が、加速する。


リーモアは、ただ見つめている。


選ぶのは——私。


光と、影と。


創造と、破壊と。


終わりと、始まりと。


私が——選ばなければならない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ