表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/99

rainy days

奇妙な夢を見た。歩いても歩いても光が見えない。永遠に続くのだろうか。夢というものは、時に現実のように感じることがある。ありもしない疲労感さえ感じる。どれくらい歩いただろうか。暗闇の中、古びた木製の引き戸の扉がポツンと目の前にある。躊躇もせずに私は手を伸ばした。微かに男の人の声が聞こえる。扉を開けるとそこには白い天井だった。

激しい雨の音のせいか、目が覚めて枕元の時計を確認する。みだ4時30分じゃないか。普段起きる時間まで、まだ2時間もある。さっきまで夢を見ていた気がするが、既にそれは記憶の中から消えていた。思い出したくない夢ほど簡単に思いだせたりする夢というものは大変いい加減のように思う。スマホを手に取りニュースサイトを開いた。朝のルーティーンの一環だ。海外のニュースでは、ある国がある国を侵略中という記事ばかりだった。最近は連日取り上げられている。現在の世界情勢は私が生まれてから今までで1番よろしくない。戦争に疎い私でも、今の状況は日本も大変危険なことは理解できた。不条理な話だった。前触れもなく起きたそれは日に日に状況は悪化していた。遠く離れた国の話ではあるが、いつ日本も同じ状況下に陥っても不思議ではない。そんな中、連日他人事のようにメディアは扱っていた。テレビのニュース番組であれば、流石に報道中は緊迫した表情でキャスターは読み上げるのだが、少し経つとエンタメニュースに切り替わり。先程の表情が嘘のようにニコニコキャスターが画面に映っていた。暗いニュースばかりだと気が滅入るのは確かだが、私はそれに違和感しかなかった。ネットニュースを一通り見終え、そろそろスマホの画面を閉じようとしていた時、その記事が目に入った。[城の住人は地球で生活している?!]

ライターの名前を確認すると、定期的に城の記事を上げている人だった。憶測でしかないと思われる記事はバッド評価が付きがちだが、私は好んでよく見させてもらっている。今回の記事は簡単に言うと、一般市民に紛れて城の住人は生活しており、私たちが気づかないだけで地球の情報収集にあたっているとのこと。不審な人物がいたら連絡求む。最後はライターの連絡先が記載してあった。この記事を読み終えた大半の人はこう思っただろう。「城の住人はそんな簡単に見つかるわけない。」何百年前から空に浮かんでいたそれは、現在まで何一つ情報がないのだ。無くなった祖父でさえ何一つ手掛かりさえ発見できなかった。漠然とした予想だけが私たち人間の間で飛び交うだけだ。今こうして第三次世界大戦が始まるかもしれないという緊迫した状況下でさえ、城の住人は何も干渉しない。もしかすると明日急に何かが変わるかもしれない。その期待感だけが毎日重なっていくだけだ。窓を開けて空を見上げると、大雨の中それはいつものように浮かんでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ