39-青と赤の現実
—意識が、沈んでいく。
深い、深い闇の中へ。
(……リセット?)
あの“私”はそう言った。
なら、私は——消えてしまうの?
その瞬間、何かが私の中で弾けた。
白い世界に戻る。私はまだここにいる。
だが目の前の“調整者”は、驚いたように私を見つめていた。
「……抗うのか?」
“調整者”は、小さくため息をついた。
「君は、本当に厄介だね。」
次の瞬間、白い空間が歪んだ。
「……っ!」
足元が崩れ、私は重力に引かれるように落ちていく。
目を開けると、私はまた別の場所にいた。
暗闇の中、どこか湿った空気が漂っている。
(どこ……?)
足元には水たまり。石造りの壁には、かすかに光る文様が刻まれている。
「……地下?」
私が呟いたその時——
——カツン。
何かが遠くで足音を立てた。
「……誰?」
息をのむ。
闇の中から、ゆっくりと“それ”は姿を現した。
「こんにちはお嬢さん」
それは、黒いローブをまとった少女だった。
顔は影に隠れてよく見えない。
「……誰?」私は再び問う。
「知る必要はないの。でも知って欲しい。ほら、面倒くさいでしょ。」
少女は、手を差し出した。
「綺麗だと思ったでしょ。私の手。お人形さんなの。」
何を言っているのだろう。
本当に分からない。
「私の名前はシラーチル。あなたの名前は...リトマス試験紙!そう!リトマス!リトマス!」
不適な笑みを浮かべながら、17歳ほどに見える少女はそう言った。
....これは一体なんなんだろう。
頭の整理が追いつかない。
私はおかしくなったんだろうか。