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37 I'm
私は震える手で胸を押さえながら、黒い“私”を見つめる。
「答えは、君の中にある。」
黒い“私”は静かにそう言うと、一歩下がった。その瞬間、空の赤が激しく渦巻き、雷鳴が大地を震わせる。
塔の扉が軋む音を立てて開いた。
中から溢れ出したのは、黒い霧——否、何かの影だった。
「っ——!」
私は思わず後ずさる。だが、影はまるで意思を持つかのように、私の足元へと這い寄ってくる。
「これは……?」
「...」
反応がない。
扉の奥から、声が聞こえる。
——
どれも、どこかで聞いたことがあるような声。
影が足に絡みつく。その瞬間、意識が引きずられるように揺らいだ。
ひとつ、思い出すたびに、何かを失う。
頭の奥で誰かの声が響く。
「人間なんて、些細な出来事で物語は変わるもの。あなたのことは好きだけれど、今のあなたは好きじゃない。この物語に私は不必要。不要な成分は排除される。Mrエンフィフィ」
...誰だ?
...誰だ?
...誰だ?
「実験プログラム49-763。重大なエラー感知。微量な侵食も確認。49-147まで復旧。」
...誰だ?
...誰だ?
...誰だ?
ああ
そうか