35/99
35
まばゆい光が視界を覆い、思わず目を閉じた。
耳鳴りのような音が響く。
——違う。これは音じゃない。
記憶の残響だ。
頭の奥に、まるで忘れ去られていた映像が流れ込んでくる。
暗い空の下、私は剣を握っていた。
目の前には 黒い影の軍勢 。
その中央に立つのは、黒い鎧を纏った 何か 。
(……私は、この戦場を知ってる。)
「立て、セラ!」
誰かが叫ぶ。
私は、 セラ ?
「お前が負けたら、世界は——」
声が途切れる。
視界が闇に飲み込まれる。
——はっ。
気がつくと、私は元の場所に立っていた。
「……思い出した?」
黒い“私”が静かに問いかける。
私は、ゆっくりと頷いた。
「……少しだけ。でも、確かに……私、戦っていた……。」
「そう。君は“セラ”だった。」
セラ。
それが、私の本当の名前?
「今の君はまだ不完全。でも、その記憶が完全に戻れば——」
「……私は、何をすればいいの?」
黒い“私”は、にっこりと笑った。
「簡単だよ。 この世界を救うこと 。」
その言葉とともに、私は 真実の扉 へと導かれていく——。