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視界がぐにゃりと歪む。
一瞬、めまいがして、足元の感覚がなくなった。
——落ちる。
そう思った瞬間、私は 硬い地面 に叩きつけられた。
「……っ!」
息が詰まり、全身に衝撃が走る。
目の前には、荒れ果てた戦場が広がっていた。
空は赤黒く染まり、燃えさかる炎が地を舐める。
金属の軋む音、叫び声、剣戟の響き。
どこまでも広がる戦いの音——
「……ここは……?」
私が立ち上がると、足元に 誰かの剣 が転がっていた。
血に染まり、刃こぼれした剣。
「ようこそ、戦場へ。」
背後から、先ほどの “あの声” がした。
振り向くと、そこには 黒い甲冑を纏った男 が立っていた。
その顔は——
「……嘘……」
—— 私と同じ顔をしていた。