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城の中は、まるで時間が止まったかのように静かだった。


広々とした石造りの廊下。壁には古びた燭台が等間隔に並んでいるが、火は灯されていない。天井の高いアーチが影を落とし、奥へと続く闇はどこまでも深く、不気味だった。


私は慎重に足を踏み出す。


コツン、コツン——


靴音が響くたびに、空間が少しずつ歪んでいくような錯覚を覚える。


「……ここ、本当に現実なの?」


自分の声すら、壁に吸い込まれていくように感じる。


だが、それを確かめる術はない。


とにかく、前に進むしかない。


私はゆっくりと奥へ進んだ。


——そのとき。


背後で、静かに扉が閉じる音がした。


振り向いた瞬間——


「ようこそ、お客人。」


耳元で、男の声が囁いた。


私は反射的に後ずさる。


「……誰!?」


そこにいたのは、一人の青年だった。


漆黒の外套をまとい、淡い銀髪をなびかせた男。


鋭い金色の瞳が、私を値踏みするように見つめていた。


「君を待っていたよ。」


「……私を?」


「そう。」


男は静かに微笑んだ。


「さあ、選んでくれ。」


「……選ぶ?」


私が聞き返した瞬間、空間が揺れた。


次の瞬間、目の前には——


三つの扉 が現れていた。


それぞれ異なる紋章が刻まれている。


左の扉には 鎖、中央の扉には 剣、右の扉には 蝶。


「どの道を進むかは、君の自由だ。」


男は静かに告げる。


「ただし、一度選んだら、戻ることはできない。」


冷たい空気が、頬を撫でる。


私は息をのんだ。


選択肢は三つ。


どれを選ぶかで、何かが決まる。


——私は、どの扉を開くべきなの?

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