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「……来て。」


“私”はそう言いながら、赤く光る扉に手をかけた。


ギィィ……という重々しい音を立てて、それはゆっくりと開いていく。


扉の向こうには、広大な大広間が広がっていた。


天井は異様なほど高く、壁には無数の燭台が並び、青白い炎を揺らめかせている。


——けれど、そこには誰の姿もなかった。


不気味なほど静まり返った空間に、私の足音だけが響く。


「ここは……?」


「記憶の間。」


“私”はそう言うと、中央に設置された鏡の前へと歩み寄った。


それは、人の背丈ほどもある大きな鏡だった。縁は黒く歪み、表面はまるで水面のように揺れている。


「見て。」


促されるまま、私は鏡を覗き込む。


すると——


「っ……!」


鏡の中に映っていたのは、幼い私だった。


けれど、それだけじゃない。


幼い“私”は、誰かに手を引かれていた。


顔は見えない。けれど、その手は確かに温かそうで、私をどこかへ導こうとしていた。


「……この人、誰?」


思わず呟くと、鏡の表面が激しく揺れた。


——そして、映像が切り替わる。


そこに映っていたのは、闇に包まれた街だった。


荒廃した建物、空を覆う黒い霧。


そして、その中心には——


「……!」


見覚えのある影が立っていた。


それは、さっきまで私をここへ連れてきた“私”だった。


けれど、鏡の中の“私”は、無数の黒い鎖に縛られ、苦しそうにもがいている。


「……どういうこと?」


私は混乱しながら、“私”を振り返る。


すると、“私”は微笑みながら静かに言った。


「君に選んでほしいんだ。」


「選ぶ……?」


「そう。私は、君の“可能性”だから。」


「……可能性?」


「君がどの道を選ぶのか。それによって、私は変わる。」


——この場所で、私は何かを決めなくてはいけない。


けれど、その“何か”が何なのか、まだ私には分からなかった。

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