3話 姉、兄、父、メイド登場!!
さて、異世界に転生して2日目…かな?やばい、もうすでに日付の感覚がない。俺は朝の日差しと共に目覚めた。うむ、いい朝だ。
すると、部屋のドアがガチャリと開く。
「「朝だよー!」」
そんな可愛らしい声の主は、見た目5歳ぐらいの女の子と、3歳ぐらいの男の子。姉と弟、だろうか。もしかして、俺には兄弟がいるのか?
2人が俺の寝ているベッドのすぐそばに来る。そして男の子の方が、俺の頰を突いてくる。さらに、
「えいっ」
と言って頭をペチペチ叩く。痛くはない。だが、それを見た女の子の方が、
「ダメでしょ!」
と言って男の子の頭にゲンコツをくらわせる。おいおい。
「うぅー、いーたーい!」
あーあ、泣いちゃった。どうすんの、これ。
「どうかいたしましたか?また兄弟喧嘩ですか?」
母が来るかと思ったら、別の人だった。その声の人物はこの部屋に入ってくる。
「朝から元気ですね」
中学生ぐらいの外見の割に、落ち着いた雰囲気の、青髪の子だった。
しかし、外見にはもっと大きな特徴がある。なんと、メイド服、それにしかもエルフ耳なのだ。まさかの2属性!まさか、こんな人生序盤でエルフを見られるとは。
「2人とも、もう朝ご飯の用意ができていますので、食べてきてください」
そう言って、せっせと2人を連れて行くメイドさん。なかなかの手際だ。
俺はまた部屋に1人となる。それにしても、姉に、兄に、メイドさんまでいたのか。意外と賑やかな家なのかもしれない。
しばらくして、メイドさんだけ戻ってくる。俺はメイドさんに抱えられ、リビングへ行った。
ーーーーーーー
リビングで、母、姉、兄の3人がテーブルに着き、食事をしている。俺は、メイドさんの腕の中を堪能中だ。
「今日、お父さんが帰ってくるのよ」
母が言った。
「「ええっ!?」」
驚愕する2人。俺も驚きだ。出張中だったんだ、その人。
「だから、キロ、フーガ、いい子にしてなきゃダメよ?」
「「はーい!」」
お父さん、好かれてるんだ。どんな人なんだろう。あと、名前判明したな。姉がキロで、兄がフーガか。よし、覚えよう。キロ、フーガ、キロ、フーガ…
「ミア、お迎えの用意をお願いするわ」
「かしこまりました、セレナ様」
おっと、ここでまたしても名前判明。母がセレナで、メイドさんがミアだな。よし、キロ、フーガ、セレナ、ミア、キロ、フーガ、セレナ、ミア………
ーーーーーーー
俺がふと【ステータス閲覧】を使った時、【暗記】スキルが加わっていた。まじか。それはいいとして、正午ぐらいに、馬車がやってきた。俺も外に出されてお出迎えした。
馬車より先に、街の風景に目が止まった。街は、かなりのどかな感じの、田舎だった。緑が美しい。
「「お父さん!!」」
2人は父のもとへ駆けてゆく。俺もそっちに視線を向けると、フーガ兄さんに似た茶髪とエメラルドの瞳を持った、けれども体型はまったく似てない肥満体型のおっさんがいた。この人が父か。
「ハッハッハ、久しぶりだな!」
とりあえず、厳格そうな人物でなかったので、よかったと思う。子供に好かれるのも納得できる明るさだ。
セレナ母さんが俺を抱え、父の方へ近づく。
「モンド」
父の名前はモンド、か。
「セレナ、久しぶり」
そう言って俺の方を見ると、モンド父さんは申し訳なさそうな顔になった。
「その、すまなかったな、立ち会えなくて」
なるほど、俺が生まれた時にいなかったのか。
「いえ、いいのよ。気にしないで。それより、この子、クロウに挨拶してあげて」
モンド父さんは、俺の顔をジッと見た。
「……とても、穏やかな顔だな」
そうして俺を抱き上げ、
「はじめまして。お前のお父さんだぞ」
はじめまして。心の中で返事をしておく。
「そうだ、お土産を持って来たんだ。話もしたいし、早く中へ入ろう」
父がそう言った。
さて、無事に家族全員揃ったようで何よりだ。名前も分かったし、判定スキルでも使っておくか。
《セレナ・ルナアーク》ー母
《モンド・ルナアーク》ー父
《キロ・ルナアーク》ー姉
《フーガ・ルナアーク》ー兄
《ミア》ーメイドさん